日刊IWJガイド・非会員版「ロシアへの抗議で半数の国々が退席との情報も、退席は米、英、加、EUのみで、日、独も残り米英に追随せず!! G20は4対16に分裂!」2022.04.22号~No.3508号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~G20へのロシアの参加に抗議し、欧米日など半数の国々が一斉退席すると見られていたが、実際に退席したのは米、英、カナダ、EUのみで、非西側諸国だけでなく日本もドイツも韓国もフランスも残り、米英加に追随せず!! G20 は4対16に分裂! 日本のマスメディアの多くは、米国主導で退席した国より、残った国が4倍も多いことを伝えず! 他方、対露制裁のおかげで、カナダも原油高騰に便乗して原油増産で大儲け!

■4月は支出をさらにしぼって、これまでのご寄付の月間目標の420万円を20万円削減し、400万円といたしました! 昨年8月から3月末までの、第12期の8か月間にわたる累積の不足金額は297万8184円です。4月の未達分をあわせた410万3464円まで、4月末までにご寄付が集まることを期待しています! ウクライナ報道で孤軍奮闘するIWJをご支援ください!

■【中継番組表】

■ツイッター「IWJ_Sokuho」4月20日・21日、米国はG20でロシア排除に失敗! 米国のウクライナへの軍事支援は、ウクライナの年間軍事費の8倍、世界各国による軍事支援の全体の86%! 膨大な支援を受けたウクライナ軍は数日で4万発の砲弾を消費、クラスター爆弾の使用、対人地雷の使用も指摘される! イエレン米財務大臣は「世界の食糧危機は全部ロシアのせい」と述べ、プーチン大統領は「経済制裁はWTOの精神に反する」と皮肉! 日本のウクライナ支援物資を輸送する自衛隊機の受け入れをインドが拒否! インドの「スタンドアローン」の精神、際立つ!
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■はじめに~G20へのロシアの参加に抗議し、欧米日など半数の国々が一斉退席すると見られていたが、実際に退席したのは米、英、カナダ、EUのみで、非西側諸国だけでなく日本もドイツも韓国もフランスも残り、米英加に追随せず!! G20 は4対16に分裂! 日本のマスメディアの多くは、米国主導で退席した国より、残った国が4倍も多いことを伝えず! 他方、対露制裁のおかげで、カナダも原油高騰に便乗して原油増産で大儲け!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 ワシントンで現地時間の20日(日本時間20日夜から21日朝)開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議が閉幕しました。

 G20とは、財務省によると「国際金融システム上重要な国々が、主要な国際経済問題について議論し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長の達成に向けて協力することを目的としたフォーラム」で、「参加メンバーはG7、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、サウジアラビア、トルコの各国財務大臣、財務大臣代理、中央銀行総裁と、EU議長国財務大臣と欧州中央銀行(ECB)総裁のほか、IMFや世界銀行等の国際金融機関の代表」です。

※20か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)等(財務省)
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/g20/index.htm

 今回のG20は、ロシアによるウクライナ侵攻後初の会合です。ロシアのシルアノフ財務相は、オンラインで出席しました。

 開催直前の19日、ロイターは「これ(ロシアの参加)に対し西側諸国は、ロシアのウクライナ侵攻に抗議するため、一斉退席やボイコットを計画している」と報じていました。日本のマスメディアでもこうした外国の報道を受けて、欧米日を含むG7とEU、韓国、オーストラリアの10ヶ国程度が一斉退席するのではないかなどと予測したり、残るのは10ヶ国で、G20は同数で分裂するのでは、という予想もありました。

※ロシア、G20財務相会合に出席へ 西側諸国はボイコットの構え(ロイター、2022年4月19日)
https://www.reuters.com/article/ukraine-crisis-g20-russia-idJPKCN2MB1LE

 ところが、結果は驚くべきものでした。

 実際には退席したのは米、英、カナダの3か国とECBなど、参加国の一部にとどまり、日本の鈴木俊一財務大臣や、ドイツのクリスチャン・リンドナー財務大臣は、退席しませんでした。

 また、退席しなかった国は、日本、ドイツ、フランス、イタリア、アルゼンチン、オーストラリア、韓国、トルコ、中国、ロシア、ブラジル、インド、南アフリカ、インドネシア、メキシコ、サウジアラビアです。

 G20は、4対16に割れたのです。多くの国々は、米英に追随しませんでした。はからずも、米国が音頭をとっても踊らない、米国はもはや覇権国とはいえないことが「可視化」されてしまった、歴史的な瞬間が訪れてしまいました。

 しかし、この「歴史的瞬間」を、多くのマスメディアは16ヶ国が米英に追随しなかったことを薄める表現で報じています。

 21日付けNHKは、「鈴木財務大臣は途中退席しなかったものの、イギリスのスナク財務相は、ツイッターへの投稿で、ロシアの代表が発言する際、アメリカやイギリスなど、複数の国の代表が席を立ったことを明らかにし、異例の展開となりました」と報じています。米国とともに席を立った国が少数であることに触れていません。残った国が多数であること、その国名にも触れていません。

 NHKは「議論の成果をまとめる共同声明も採択されず、対立の構図が鮮明になりました」と報じています。「対立の構図が鮮明になりました」といいながら、その割れ方が、4対16であり、ロシアとともに残った国が、退席した米国側の4倍にもなることは触れていませんし、米国が席を立ち、日本が残って、日米が「対立」した形となったことの意味についても何も伝えていません。これで「報道」と言えるのでしょうか?

※G20閉幕 ロシア代表の発言時 米英などが席を立つ異例の展開(NHK、2022年4月21日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220421/k10013591421000.html

 また、21日付け共同通信は「先進7カ国(G7)は引き続き会議を開き、ロシアのG20参加を『遺憾』とする声明を発表した」「戦争終結の糸口を見いだすことはおろか、世界経済の不安材料に関する議論は深まらなかった」などと報じています。G20において退席しなかった16ヶ国のうち、日本、ドイツ、フランス、イタリアの4ヶ国はG7のメンバーです。その矛盾についてスポットを当てることもなく、なぜ、日本を含めてこの4ヶ国が退席しなかったのか、その理由も報じていません。

※G20、ロシア対応で亀裂 欧米代表、抗議の退席(共同通信、2022年4月21日)
https://nordot.app/889641835166023680?c=39546741839462401

 そもそも、なぜG20が必要とされたか改めて考える必要があります。

 G7だけが先進国であり、経済大国であり、世界の経済の方向性を決めていた、そんな時代はとっくに終わっているのです。

 もう世界経済は、米国が主役だった世界ではなくなっているのです。

 何が何でもロシアとの対決姿勢を貫きたいのは、「米英加」だけであり、特に米国です。ウクライナを「戦場」とする必要性はありません。経済の話し合いの場に他の国々を巻き込まないでほしいという空気が、G20の16ヶ国の大半にはあったはずです。それを微塵も伝えていません。

 こんな報道ばかりで、マスメディアは、報道機関としての使命が果たせるのでしょうか?

 G20の議長国であるインドネシアの大手メディア『ザ・ジャカルタ・ポスト』は21日付けで、「米国のイエレン財務長官が、ロシアの高官が発言した際、退席した」「イギリスとカナダの当局者もボイコットに参加したことが確認された」とした上で、「負債の増加や食糧危機の可能性といった世界的な課題に対処するために招集された会合で、緊張が高まった」と批判的に報じています。

※US leads G20 boycott of Russian finance officials(The Jakarta Post、2022年4月21日)
https://www.thejakartapost.com/world/2022/04/21/us-leads-g20-boycott-of-russian-finance-officials-.html

 この『ザ・ジャカルタ・ポスト』の記事は、ロシアへのボイコットの様子を、次のように詳しく報じています。

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■4月は支出をさらにしぼって、これまでのご寄付の月間目標の420万円を20万円削減し、400万円といたしました! 昨年8月から3月末までの、第12期の8か月間にわたる累積の不足金額は297万8184円です。4月の未達分をあわせた410万3464円まで、4月末までにご寄付が集まることを期待しています! ウクライナ報道で孤軍奮闘するIWJをご支援ください!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、必要なご寄付・カンパの目標額は月額420万円(年間5040万円)としておりましたが、支出をさらに削って、4月からは月間目標金額をさらに下げて400万円といたしました。

 昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、4月で9か月目に入りました。

 今期スタートの8月1日から3月末までの8か月間の累計の不足分は、あと297万8184円となりました。

 また、今月4月は1日から21日までの21日間で、234件、287万4720円、目標額の72%のご寄付・カンパをいただいています。ありがとうございます。

 従って、3月末までの不足分297万8184円に、4月の未達分112万5280円が加わり、410万3464円が必要となります。今月4月を含めて、期末までの残り4か月で赤字雪ダルマを削って、不足分がゼロになるように、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!

 IWJの会員数は現在3202人です。そのうちサポート会員は1099人です(2022年4月18日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1282円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人3734円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。
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※ご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからもお振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2022.4.22 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・大阪】「参院選に関する内容」
視聴URL: http://twitcasting.tv/iwj_areach1
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【IWJ・Ch5】9:30メド~「岸信夫 防衛大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 岸信夫 防衛大臣 定例記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた防衛大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%98%b2%e8%a1%9b%e5%a4%a7%e8%87%a3
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【IWJ・Ch7】13:45頃~「林芳正 外務大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch7

 林芳正 外務大臣 定例記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた外務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%A4%96%E5%8B%99%E5%A4%A7%E8%87%A3
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆中継番組表◆

**2022.4.23 Sat.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・大阪】「参院選に関する内容」
視聴URL: http://twitcasting.tv/iwj_areach1

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■ツイッター「IWJ_Sokuho」4月20日・21日、米国はG20でロシア排除に失敗! 米国のウクライナへの軍事支援は、ウクライナの年間軍事費の8倍、世界各国による軍事支援の全体の86%! 膨大な支援を受けたウクライナ軍は数日で4万発の砲弾を消費、クラスター爆弾の使用、対人地雷の使用も指摘される! イエレン米財務大臣は「世界の食糧危機は全部ロシアのせい」と述べ、プーチン大統領は「経済制裁はWTOの精神に反する」と皮肉! 日本のウクライナ支援物資を輸送する自衛隊機の受け入れをインドが拒否! インドの「スタンドアローン」の精神、際立つ!

 IWJは、ツイッターアカウント「IWJ_Sokuho」で、ウクライナ情勢をツイートしています。テレビでは流れない情報や、石油・天然ガスなどの資源問題、ウクライナの実情もあわせて、多角的にウクライナ情勢をお伝えしています。ぜひ、一度御覧ください。

※IWJ速報@IWJ_Sokuho
https://twitter.com/IWJ_Sokuho

 4月20日、米国がロシアを除外すべきだと主張してきたG20財務相会合が開催されました。ロシアのシルアノフ財務相とロシア中銀総裁はオンラインで参加しましたが、米英加の3カ国と欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁らは退席し、抗議の意を表明しました。しかし、20各国中16カ国が米英加に追随せず、席を立ちませんでした。その中には日本の鈴木財務相の姿もありました。

 詳しくは、本日の日刊でお読みください。

※【速報4860】ロイター、20日:英国のスナク財務相は、20日に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米・英・カナダの代表団がロシア代表の発言時に退席したと明らかにした。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1517150359021494272

 米国によるウクライナ軍事支援が、突出しています。『ブルームバーグ』は19日、キール世界経済研究所の「ウクライナ支援トラッカー」を使って、2月24日から3月27日までの世界各国のウクライナ支援の状況をまとめています。1位は米国総額7.6Bユーロ(約1兆566億円)で、そのうち軍事支援4.4Bユーロ(約6116億円)、人道支援3.2Bユーロ(約4449億円)となっています。米国の支援総額は、2位ポーランドの7.6倍と突出しています。

※【速報4730】『ブルームバーグ』(19日)が、2月24日から3月27日までの世界各国のウクライナ支援の状況をまとめています。1位米国総額7.6Bユーロ(約1兆566億円)は、軍事支援4.4Bユーロ、人道支援3.2Bユーロ。総額で2位ポーランドの7.6倍と突出。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516688300794593280

※【速報4737】ブルームバーグのソースは、キール世界経済研究所の「ウクライナ支援トラッカー」(Kiel Institute for the World Economy、Ukraine Support Tracker)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516687666808778755

 ウクライナのGDPは、おおむね1500億ドル(約20兆円弱)で、軍事費は約4%の約60億ドル(約771億円)とされています。米国が1ヶ月間で提供した軍事支援は4.4Bユーロ(約6116億円)で、ウクライナの年間軍事費の約8倍に当たります。米国は、ウクライナの8年分の軍事費を1ヶ月で注ぎ込んだことになります。

 米国はGDP21兆ドル(約2690兆円)、3月28日に発表した2023会計年度の予算教書で軍事費8130億ドル(約100兆円)とされました。

 米国の軍事費は2位の中国の3.5倍以上、世界の軍事費の約4割を占めています。ウクライナの130倍もの経済規模を誇る米国にとっては、ウクライナへの軍事支援は全軍事費の1%にも満たない金額ですが、ウクライナにとっては途方もない金額です。

※バイデン米政権、国防予算を4%増の100兆円に 中ロに対抗(CNN、2022年3月29日)
https://www.cnn.co.jp/usa/35185552.html

 以下に『ブルームバーグ』がまとめた支援金額の10位までを列記します。

1位 米国総額7.6Bユーロ(約1兆566億円)、軍事支援4.4Bユーロ、人道支援3.2Bユーロ。
2位 ポーランド総額1.0Bユーロ(約1390億円)、軍事支援0.1Bユーロ、経済支援0.9Bユーロ。
3位 英国総額0.7Bユーロ(約973億円)、軍事支援0.1Bユーロ、経済支援0.9Bユーロ。
4位 ドイツ総額0.5Bユーロ(約695億円)、軍事支援0.1Bユーロ、人道支援0.4Bユーロ。
5位 フランス総額0.4Bユーロ(約556億円)、人道支援0.1Bユーロ、経済支援0.3Bユーロ。
6位 イタリア総額0.3Bユーロ(約417億円)、軍事支援0.1Bユーロ、経済支援0.1Bユーロ。
7位 スウェーデン総額0.2Bユーロ(約278億円)、軍事支援0.1Bユーロ、人道支援0.1Bユーロ。
8位 スロベニア総額0.2Bユーロ(約278億円)、軍事支援0.2Bユーロ。
9位 カナダ総額0.2Bユーロ(約278億円)、軍事支援0.1Bユーロ、人道支援0.1Bユーロ。
10位 日本総額0.1Bユーロ(約139億円)、経済支援0.1Bユーロ。

 10位までの国によるこの1ヶ月のウクライナ支援総額は10.8Bユーロ(約1兆5014億円)で、軍事支援は総額の半分近くを占める約5.1Bユーロ(約7090億円)、ウクライナの年間軍事費の約9.2倍にもなります。また、軍事支援のうち、86%を米国が供与しています。ロシアの軍事予算を超えるほどの武器支援を行なえば、ウクライナ軍は持ち直し、戦況は好転するとあるいは逆転すると、米国以下、武器支援を行っている国々は思っているのでしょうか?

 ストックホルム国際平和研究所によれば、ロシアの軍事費は、2020年で617億ドル(約7兆9045億円)で、米国の1/10以下です。米国とその同盟国がウクライナに対して現在のペースで軍事支援を続ければ、約7090億円の12倍で約8兆5000億円で、ロシアの年間軍事費を超えることになります。

 当のウクライナ軍もまだ支援が足りないと思っている様子です。『CNN』は、米政府当局者が16日、ウクライナ軍が保持する弾薬が尽きることへの懸念が強まっているとの戦況分析を示した、と報じました。バイデン米政権が発表した追加の軍事支援には、155ミリ榴弾砲の18門、砲弾4万発の提供も盛り込まれましたが、この砲弾数だと数日内に使い切ってしまう可能性があり、ウクライナ軍が弾薬不足になる可能性があると報じています。

※ウクライナ軍の弾薬切れの懸念強まる、米政府当局者(CNN、2022年4月17日)
https://www.cnn.co.jp/usa/35186428.html

 「数日で4万発」の砲弾を使い切ってしまうというウクライナ軍は、大変な数の砲弾を消費しているようです。その砲弾が各都市を破壊している可能性がないとは言いいきれないでしょう。「ロシアのウクライナ侵攻によって」という決まり文句で始まるニュースでは、決まって破壊された都市の悲惨な姿が映し出され、それがロシア軍による破壊のように印象操作されますが、ロシア軍だけではなく、ウクライナ軍の砲撃による破壊も含まれていると考えざるを得ません。

 『ニューヨークタイムズ』は19日、トーマス・ギボンズ・ネフ氏とジョン・イスメイ氏による「ウクライナ軍がクラスター爆弾を使用した可能性がある」、という検証記事を出しました。

 ネフ氏らは、ウクライナの農業集落フサリフカ(HUSARIVKA)で3月初旬、ウクライナ軍がクラスター爆弾を使用した可能性が非常に高いと報告しています。フサリフカはウクライナ東部のドンバス地方にあり、ウクライナ第2の都市であるハリコフ(ハリキウ)と、先日民間人が集まっている駅に砲撃があったとされるクラマトルスク駅の中間くらい、ハリコフから南へ50kmほどに位置しています。

 フサリフカ住民の代表者であるドロシェンコ氏は、フサリフカ村を破壊した砲弾による攻撃は、3月6日または7日に行われ、数マイル離れたトラックに搭載されたランチャーから発射されたと述べています。

 ネフ氏らは、武器の種類や着弾位置を確認し、攻撃に用いられたクラスター爆弾「220ミリのウラガン砲弾」が着弾したのは、当時村を占拠していたロシア軍の本部の極めて近くであり、ロシア軍を標的にしたものだと分析しています。

 ロシア軍による占領中、ウクライナ軍は絶え間なくロシア軍を砲撃し、ロシアの本部からわずか数百ヤード離れたドロシェンコ氏の家のそばの野原に、同じ種類のクラスター爆弾が少なくとも2発投下された、ということです。ネフ氏らは、「フサリフカ農場への攻撃は、ロシアの侵略が2月24日に始まって以来、ウクライナ軍によるクラスター爆弾の最初の使用」ではないかと推測しています。

※【速報4826】『NYT』が19日、トーマス・ギボンズ・ネフ氏とジョン・イスメイ氏による「ロシア兵を押し返すために、ウクライナ人はクラスター爆弾で村を襲った」という記事を掲載しました。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516741713037230086

 また、ロシア国防省は18日、ウクライナ東部イリチで、ウクライナ軍が撤退中に放棄した対人地雷の倉庫全体を発見した、と報告しました。ウクライナは対人地雷を全面禁止するオタワ条約に批准しているはずだ、とロシア国防相は指摘しています。

※【速報4824】ロシア国防省は18日、『テレグラム』で、ウクライナ東部イリチで、ウクライナ軍が撤退中に放棄した対人地雷の倉庫全体を発見した、と報告。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516735899933249542

 「米政府当局者」、『ニューヨークタイムズ』、「ロシア国防省」からのそれぞれの情報は、ウクライナ軍が少なくとも「数日で4万発」程度の砲弾を撃っていること、クラスター爆弾や対人地雷などの非人道的な兵器を使用している可能性が高いことがわかります。ロシア軍がクライスター爆弾を使用したのではないかと、西側メディアは強く非難しましたが、ウクライナ軍も使用している可能性が高いのに、一切批判がでないのはどういうことなのでしょうか。供与した国の責任も問われるからでしょうか。

 ゼレンスキー大統領は18日夜に公開した演説動画で、ロシア軍が予想どおり、東部ドンバス地方で大規模な攻撃を始めたと説明しました。現地当局者も、激しい攻撃にさらされていると報告しています。

※【速報4834】BBC、18日:ゼレンスキー大統領は18日夜に公開した演説動画で、ロシア軍が予想どおり、東部ドンバス地方で大規模な攻撃を始めたと説明した。現地当局者も、激しい攻撃にさらされていると報告している。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516742082215690242

 19日、バイデン大統領と、同盟国首脳が、約90分間のビデオ会談で対露政策について協議した、とホワイトハウスのサキ報道官が報告しました。

ジョンソン英首相、トルドー加首相のほか、フォンデアライエン委員長、マクロン仏大統領、ショルツ独首相、ストルテンベルグNATO事務総長、ポーランド、日本(岸田総理)、イタリアの首脳が参加したということです。

 バイデン米大統領、英国のジョンソン首相およびカナダのトルドー首相は、ロシア軍によるウクライナ東部への全面攻撃が始まったとして、ウクライナへの兵器供給を拡大すると明言しました。

 バイデン米大統領は、新たな支援は、13日に発表した8億ドル(約1千億円)の追加支援とほぼ同規模になる見込みだが、詳細はまだ検討中だと述べています。

 ジョンソン首相は、「(ウクライナ戦争は)砲撃戦になるだろう。ウクライナはより多くの大砲による支援を必要としており、我々は他の多くの支援に加え、それらを供給する」と英国議会で述べました。

 『ブルームバーグ』は20日、IMFが「G7のうち今後2年間に物価上昇で最悪の衝撃に見舞われるのは英国だ」として、2023年の英国の成長率をG7の中で最低に引き下げた、と報じました。

 IMFは今年と来年の両方について、英国の成長率予想を1月の前回予測に比べ約1ポイントずつ下方修正しています。高騰するインフレへの対処で金利が上昇し、生活費が高騰し投資が減速していることを理由に挙げました。

※【速報4765】ブルームバーグ、20日:G7のうち今後2年間に物価上昇で最悪の衝撃に見舞われるのは英国だ。国際通貨基金(IMF)がこう警告し、同国の経済成長見通しを引き下げた。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516706583103021060

 他国の戦争にこんなに深入りする理由と余裕がどこにあるのでしょうか。

 トルドー首相は重砲などを提供すると確約しました。米国とその同盟国は、まだまだロシアとの戦争を継続する意向です。ウクライナ人の生命と身体を戦争の「道具」として使い、その国土を戦場として、国中を破壊し尽くすまで、やめない模様です。

※【速報4739】ロイター、19日:バイデン米大統領、英国のジョンソン首相およびカナダのトルドー首相は19日、ロシア軍によるウクライナ東部への全面攻撃を受け、ウクライナへの兵器供給を拡大すると明言した。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516692805095026691

 『CNN』は20日、「政権高官3人と、計画に詳しい情報筋2人」によると、米国はウクライナへ新たに1000億円規模の軍事支援を準備していると報じました。

 ロシアは、正式に外交文書でこれ以上の武器供与をしないようにと米国に要請したことが15日に明らかになっていますが、これを踏みにじる形の追加支援になります。まだまだ米国による強力な軍事支援が続きそうです。

※【速報4882】CNN、20日:米国はウクライナに向けた新たな8億ドル(約1000億円)規模の軍事支援パッケージを準備している。政権高官3人と、計画に詳しい情報筋2人が明らかにした。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1517156739489038337

 プーチン大統領は20日、核弾頭を搭載可能な、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト(Sarmat)」の発射実験に成功したと発表しました。『AFP』が21日、報じました。

 『AFP』によると、プーチン大統領は、「地上のあらゆる標的を攻撃できる」と豪語、「この実に唯一無二な兵器は、軍の戦闘能力を強化し、外部の脅威からロシアの安全を確実に守り、攻撃的な言葉でわが国を脅かそうとする者を再考させる」と述べました。

 これは、ロシアの要請を無視して、ウクライナの膨大な軍事支援を続ける米国への威嚇に違いありませんが、ロシアの期待むなしく、米国が「再考」する可能性は薄いと思われます。

※【速報4883】AFP、21日:プーチン大統領は20日、核弾頭を搭載できる新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト(Sarmat)」の発射実験に成功したと発表した。

https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1517156809068343297

 マリウポリでは、アゾフスタル製鉄所に閉じ込められた残りのウクライナ軍の降伏の申し出期間を延長した、とロシア国防省が発表しました。『RT』が20日、報じました。

 当局者は19日遅くの声明で、その場所にいる人々は20日のモスクワ時間の14:00(日本時間20時)から武器や弾薬なしで施設を出ることができるとしました。

 ロシア国防省は、通信傍受によって、ウクライナ政府の承認なしに降伏すると、彼らは軍法会議にかけられる可能性があり、死刑判決が下される可能性があると付け加えています。

 つまり、ゼレンスキー政権が降伏を許さず、降伏すれば死刑に処すという通達を現場の兵士たちに題しているのだと思われます。戦争が終わった時、自国の兵士から投降の権利を奪い、死ぬことを強要したゼレンスキー大統領は、何の罪で裁かれることになるのでしょうか。

※【速報4810】RT、20日:ロシア国防省は、黒海の港湾都市マリウポリのアゾフスタル製鉄所に閉じ込められた残りのウクライナ軍の降伏の申し出期間を延長した。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516731528579260420

 『CNN』は、アゾフスタリ製鉄所で包囲されているウクライナ軍第36独立海兵旅団の指揮官の取材に19日、成功しました。軍第36独立海兵旅団の指揮官は「第三国の手でアゾフスタリ製鉄所に閉じ込められた兵士や民間人を避難させてほしい」と述べました。

 指揮官は「これが私の最後の声明になるかもしれない。残された時間はあと数日、あるいは数時間しかないかもしれないからだ」としたうえで、世界の指導者に対し、マリウポリ守備隊の軍人や、一緒に製鉄所にいる民間人を救出するよう要請。自分たちを第三国に移送して、身の安全を確保してほしいと訴えました。

 戦場から、第三国の指導者に、救命を求める、というのは、現実離れした訴えです。

 しかし、ウクライナの将兵の気持ちの中にこの戦争は自分たちの後押しをする米国と同盟国、そしてロシアとの代理戦争なのだ、自分たちは戦わされているのだ、という思いがあったのかもしれません。

※【速報4814】CNN、20日: ウクライナ軍第36独立海兵旅団の指揮官は19日夕、ロシア軍に包囲された都市マリウポリからCNNの電話取材に応じ、第三国の手でアゾフスタリ製鉄所に閉じ込められた兵士や民間人を避難させるよう要請した。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516731731642322944

 プーチン大統領は21日、ロシア軍によって包囲されているマリウポリの最後の要塞、アゾフスタリ製鉄所に残っている残兵を襲撃しないように軍隊に命じた、と『Guardian』が報じました。ショイグ国防相が、まだ数千人のウクライナ兵が残っており、戦闘は続いているものの、都市は「解放された」と説明したということです。

 プーチン大統領は、アゾフスタリ製鉄所を襲撃する計画を「非現実的」であると説明し、代わりにロシア軍に「ハエ一匹通り抜けられないように」その地域を封鎖するように、要請しました。

 プーチン大統領は、兵士や将校の命を危険に晒してまで、「カタコンベ」に入り込ませる必要はないと述べています。

「これは私たちが考えなければならないケースだ。特に、兵士や将校の命と健康を守ることについて考えなければならない。(略)

 これらのカタコンベに入り、これらの製鉄所の施設を通って地下を這う必要はない」

※【速報4900】Guardian、21日:プーチン大統領は、ショイグ国防相からロシア軍がまだ数千人のウクライナ軍と戦っていることを報告を受け、マリウポリに残っている最後のウクライナの要塞を襲撃しないように軍隊に命じた。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1517196194795393028

 米国の保守系メディア『The American Conservative』は14日、レーガン政権の外交アドバイザー、ダグ・バンドウ氏による「ワシントンはウクライナ人が最後の1人となるまでロシアと戦う」という記事を掲載しました。強烈な皮肉で、この戦争の主権と、本質をえぐり出しています。

※【速報4753】米国の保守系メディア『The American Conservative』が、レーガン政権の外交アドバイザー、ダグ・バンドウ氏による「ワシントンはウクライナ人が最後の1人となるまでロシアと戦う」という記事を掲載しました。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516704518662017026

 バンドウ氏は、米国と欧州は平和を構築するためにキエフを支援しているわけではなさそうだ、と指摘しています。

 「ウクライナに対するロシアの戦争は激しさを増している。米国とヨーロッパは引き続きキエフを支援しているが、平和をつくるためではないようだ。

 むしろ、モスクワと、ウクライナ人の最後の1人が戦う限り、(米)同盟国はゼレンスキー政権を支持するつもりだ。これは、常に西側のキエフへのアプローチであった」

 バンドウ氏は、米国はウクライナでの外交的解決を阻害している、と指摘し、長引くほど犠牲が増えると批判しました。

 「最も厄介なのは、ウクライナの人々が最も必要としている平和を支持する同盟国の明らかな失敗であるさまざまな証拠は『米国はウクライナでの外交的解決を阻害している』と示唆している」

 バンドウ氏は、戦争と同じくらいの平和への支援を提供すべきだと述べています。

 「いずれにせよ、戦争が長引くほど、死者の数と破壊の量は多くなる。紛争が長引くほど、悲劇は悪化する可能性がある。

 明らかに、彼らがどのような状況で戦うのをやめるかを決めるのはウクライナ人次第だ。しかし、米国と欧州の政府は、少なくとも戦争と同じくらいの平和への支援を提供すべきである」

 バンドウ氏は、プーチン政権打倒は可能でも、プーチン政権を倒しても状況が改善されるとは限らない、今、西側がやろうとしていることは「モスクワが戦い続けることを奨励する」だけだと指摘しました。

 「戦争で荒廃しているのはウクライナだ。進行中の紛争を止める必要があるのはウクライナ人だ。さらに、彼らはより恒久的で安定した解決を必要としている。それは、紛争の原因、特にロシアの安全保障上の懸念に対処する合意によって最もよく達成される」

 バンドウ氏は、ロシアの安全保障に関する要望を、西側が無視したために、世界が高い代償を支払っていると指摘しています。

 「ロシア政府はウクライナへの侵略に対して全責任を負っている。しかし、米国と欧州の政府は、紛争を引き起こしたことについて責任を共有している。傲慢さと自己正義に満ちて、彼らはモスクワ(の要望)を無視することを決めた。そのために、世界は今、高い代償を払っている」

 「タカ派」といわれた、レーガン政権のアドバイザーであった人物からも、現在の米国のウクライナ侵攻への関与の仕方に対する厳しい批判が出てきたことは、米国の保守派に影響を与えそうです。この論文は、IWJが全文仮訳して、会員向けに公開しています。

 IMFは19日、最新の世界経済見通しを公表し、2022年の世界成長率を3.6%と、1月の前回見通しから0.8ポイント下方修正しました。

※【速報4799】時事、19日:IMFは19日、最新の世界経済見通しを公表し、2022年の世界成長率を3.6%と、1月の前回見通しから0.8ポイント下方修正した。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516719551052120065

 イエレン米財務長官は19日、ロシアによるウクライナでの戦争は、世界が直面している食糧難の状況を悪化させ、価格面および供給面でのショックが世界のインフレ圧力に拍車をかけていると述べました。『ロイター』が報じました。

 イエレン氏は食料価格の上昇だけで世界で少なくとも1000万人以上が貧困に陥るとの推計があり、脆弱な人々や零細農家を支援すべきだとしました。イエレン氏は「この責任はロシアの行動にあることを明確にしたい」と語り、米国はパートナー国や同盟国と緊急に協力し「世界で最も脆弱な人々に対するロシアの無謀な戦争の影響軽減に資する」と述べています。残念ながら、というべきか、バンドウ氏の「米国と欧州の政府は、紛争を引き起こしたことについての責任を共有している」という言葉は、イエレン氏の耳には届いてないようです。

 バイデン大統領が「米国のインフレはプーチンのせいだ」といえば、イエレン米財務長官は「世界の食糧難と貧困はロシアのせいだ」と主張します。しかし、イエレン氏は、欧米諸国が中心となって振りかざした経済制裁の影響について述べることはありません。膨大な武器をウクライナに送って、死者を今も増やしていることについての米国の責任を考える頭もないようです。

※【速報4747】ロイター、19日:イエレン米財務長官は19日、ロシアによるウクライナでの戦争は世界が直面している「すでに悲惨な」食糧難の状況を悪化させ、価格面および供給面でのショックが世界のインフレ圧力に拍車をかけていると述べた。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516694233540796416

 プーチン大統領は、20日、ロシア国内の企業に対して西側諸国が科した経済制裁は、世界貿易機関(WTO)のルールに違反していると主張しました。

 西側諸国は自由主義をかかげ、WTOを通じて各国に自由貿易を拡大させてきました。プーチン大統領のいうとおり、経済制裁は自由貿易の正反対をいく手法です。

 プーチン大統領は、6月1日までにWTOにおけるロシアの戦略を更新するよう政府に指示しました。

※【速報4891】ロイター、20日:ロシアのプーチン大統領は20日、国内企業に対して西側諸国が科した「違法な」制裁は世界貿易機関(WTO)のルールに違反していると主張し、6月1日までにWTOにおける同国の戦略を更新するよう政府に指示した。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1517159921116012544

 ウクライナ侵攻と西側諸国による過激な経済制裁がもっとも大きな悪影響を与えるのは、「世界で最も脆弱な人々」であることに間違いはありませんが、欧州の各国も大きな影響を受けています。

 ドイツのショルツ首相は19日、ウクライナに提供できる兵器の在庫を使い果たした、と発表しました。これ以上直接の武器供与をすることはできないとした上で、ウクライナ政府の要求を満たすために民間の防衛企業と協力することを明らかにしました。
 
 ショルツ首相は「兵器の納入に金を払うつもりだ」として、ウクライナに対戦車兵器や防空兵器を提供するために防衛企業と協力すると説明しました。ショルツ首相は15日、ドイツ政府が今年の軍事支援費を21億6000万ドル(約2800億円)に引き上げ、そのかなりの割合をウクライナに向けると述べていました。ドイツは米国などに比べると、ウクライナへの武器支援に対して消極的なように見えますが、根本的な姿勢はさして変わりはないように思われます。

※【速報4772】CNN、20日: ドイツのショルツ首相は19日、ウクライナに提供できる兵器の在庫を使い果たしたものの、ウクライナ政府の要求を満たすために民間の防衛企業と協力すると述べた。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516708718523858944

 フランスは、武器支援という点では、米英独と一線を画しています。

 フランスは、ウクライナ支援総額は世界5位で0.4Bユーロ(約556億円)ですが、その内訳は人道支援0.1Bユーロ、経済支援0.3Bユーロで、直接の武器供与などの軍事支援は行っていません。

 24日に大統領選挙を控えたフランスでは、現職のマクロン大統領への支持が伸びています。イプソス、オピニオンウェイ、仏世論研究所の3つの世論調査におけるマクロン氏の平均得票率は55.83%に上昇したと、『ロイター』は19日に報じました。8日時点では、5つの世論調査におけるマクロン氏の平均得票率は52.70%でした。

※【速報4771】フランスは、ウクライナ支援総額は世界5位で0.4Bユーロ(約556億円)だが、その内訳は人道支援0.1Bユーロ、経済支援0.3Bユーロで、直接の武器供与などの軍事支援は行っていない(ブルームバーグ、19日)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516708065034539013

 プーチン大統領は18日、ウクライナを巡り西側諸国がロシアに制裁を科したことにより「西側諸国の経済が悪化した」との見方を示しました。

 「今我々は自信を持って、ロシアに対する(西側の)政策は失敗したと宣言できる。経済的な電撃作戦は失敗したことが証明された。制裁は、発案者の目標を達成した。すなわち、欧米における物価の上昇、失業の増加、経済変動の悪化だ。欧州の市民は生活水準が下がり、貯蓄も目減りした。

 ロシアは前例のない圧力に耐えた。状況は安定しつつある。ルーブルの為替レートは、強力な国際収支に下支えされ、2月上旬の水準にまで回復した。

 第一四半期の経常黒字は、過去最大の580億米ドル(約7兆4000億円)を超えている」

 プーチン大統領は、西側諸国による対露制裁によって、皮肉にも西側諸国自身の経済が悪化した、と主張しました。

 もちろん、ロシア経済が苦しくないわけはありません。IMFのチーフエコノミスト、エール・オリビエ・グランシャ氏は19日、ロシア経済はウクライナ侵攻に伴う一連の制裁で受けた打撃からすぐには立ち直らないとの見方を示しました。さらに原油などのエネルギー資源にも禁輸が及べば、ロシア経済が「極めて厳しい成長軌道」に陥るだろうと指摘しています。

 グランシャ氏の分析は一面的です。

 欧州にまだ、ロシアは天然ガスを供給していますが、これが米国などの横やりで完全に禁輸された場合、欧州経済と欧州国民の生活に大きな打撃が生じることと思われます。

 ロシアは、その余ったエネルギー資源を中国に引き受けてもらえるかどうか。中国が輸入を拡大してロシアを助けることを決めた場合、中国が制裁破りをしたとして、米国の怒りが中国へも向き新たな戦争の火種が生まれるかもしれません。

 ロシアの首都モスクワのソビャニン市長は18日、外国企業の操業停止や撤退により、同市で約20万人が職を失う恐れがあるとの認識を示しました。

※【速報4792】ロイター、19日:グランシャ氏は西側諸国による制裁や禁輸措置でロシア経済は「極めて厳しい成長軌道」に置かれ、経済ショックの後によく見られるような回復を遂げる可能性は低くなっていると指摘。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516714368129708034

※【速報4793】ロイター、18日:ロシアの首都モスクワのソビャニン市長は18日、外国企業の操業停止や撤退により、同市で約20万人が職を失う恐れがあるとの認識を示した。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516715452747386882

 岸田文雄総理は19日に開催された米国と同盟国によるオンライン協議に参加しました。岸田総理は「ロシアによる非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場を迎えている」と述べ、「ウクライナの経済を下支えすることが急務だ」と述べ、同国支援のための借款を3億ドル(約380億円)に増額する考えを示しました。

 岸田総理は新たに監視用ドローンと化学兵器対応用防護マスク、防護衣を提供する方針も説明しました。ドローンについて岸防衛相は、「市販品のため、防衛装備品にはあたらない」との認識を示しました。

 岸防衛相の、この認識は、甘いと言わざるを得ません。ドローンが兵器として現実に使われている現在、ドローンが「市販品」だからとか、「防衛装備品」にはあたらないとの理屈は、通じるはずがありません。

 実際日本が監視用ドローンと化学兵器対応用防護マスクを提供すると明らかにしたことは、ロシア側を刺激することになりました。

※【速報4840】読売、20日:協議に参加した岸田首相は「ロシアによる非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場を迎えている」と指摘。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516748302611795970

 ロシア下院の副議長で、ウクライナにおける米国の生物学研究所の活動を調査する議会委員会の共同議長を務めるイリーナ・ヤロバヤ氏は19日、日本が化学兵器対応の防護マスク・防護衣及びドローンをウクライナ政府へ提供すると発表したのを受け、これについて日本は直ちに説明するべきだとの考えを明らかにしました。

 「日本の決定は、迅速な説明を必要としている。なぜなら軍用の化学兵器に対する保護具もドローンも、民間人に対するウクライナのナチスによる化学兵器攻撃または生物兵器攻撃、犯罪に向けた準備と考える根拠を与えているからだ」

 「我々は日本の決定を議会調査の文脈において、またウクライナ領内における米国の犯罪活動の他の証拠との相関関係において検討する」

※【速報4847】駐日ロシア大使館、20日:ロシア下院の副議長でウクライナにおける米国の生物学研究所の活動を調査する議会委員会の共同議長を務めるイリーナ・ヤロバヤ氏は19日、(続く)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1516748743227617288

 日本政府はロシアの抗議を無視するかたちで、ウクライナへの支援を進めようとしていますが、21日の自民党の政調審議会で、支援の計画が遅れることがわかりました。

 『時事通信』は21日、自民党の高市早苗政調会長は21日の政調審議会で、自衛隊機によるウクライナ周辺国への支援物資輸送について、「物資の積み込み地であるインドから自衛隊機の受け入れを拒否された」と明らかにした、と報じました。

 予定では、21日の政審で輸送計画を了承し、22日に閣議決定した上で週末に派遣することになっていましたが、土壇場の20日になって、インド側から拒否された形です。

 インドとは事務レベルで同意を得ていたにもかかわらず、20日になってインド側より拒否されたということですが、インド側は詳しく理由を明らかにしていません。

 インドはロシアから武器輸入をしており、ロシア産原油の購入も拡大しており、対露制裁に加担していません。

 仮に、ロシアに対する配慮として、日本からの支援物資を輸送する自衛隊機の受け入れを拒否したのだとすれば、中国包囲網のための、米豪日印のクワッドの関係にも、大きな影響を与えることになりそうです。
 
※【速報4898】日経、21日:ウクライナ避難民への人道支援物資を運ぶ自衛隊機の受け入れを物資の積み込み予定地だったインドが拒否したことがわかった。自民党の高市早苗政調会長が21日の党会合で明らかにした。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1517163278480203777

 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、城石裕幸、富樫航、渡会裕、中村尚貴)

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