「辺野古の海はとてもきれい。そこに米軍基地が建設されるのは非常に恥ずかしい話だ」 ~オリバー・ストーン 基地の島 OKINAWAを語る 2013.8.14

記事公開日:2013.8.14取材地: 動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 「大統領なんか信じるな。政治家など信じてはいけない」──。

 米軍基地の実情を知るために沖縄県を訪れた、米映画監督のオリバー・ストーン氏は、こう発言した。2013年8月14日(水)19時より、宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターで行われた「オリバー・ストーン 基地の島 OKINAWAを語る」での一幕だ。客席を埋めた約1700人の市民は、ストーン氏の呼び掛けに大きな拍手で応じた。

■全編動画

  • 講演者
    オリバー・ストーン氏(映画監督)、ピーター・カズニック氏(米アメリカン大学教授)、大田昌秀氏(元沖縄県知事、沖縄国際平和研究所主宰)、乗松聡子氏(ピース・フィロソフィー・センター代表)
  • 日時 2013年8月14日(水)19
  • 場所 沖縄コンベンションセンター(沖縄県宜野湾市)
  • 主催 琉球新報社

 『プラトーン』に代表される、社会派作品で有名なストーン氏の講演に先立ち、主催者である琉球新報社の富田詢一社長が演壇に立ち、「沖縄は、本当に日本なのか」と訴えた。「現在、沖縄には、在日米軍基地の74パーセントが集中しているが、普天間基地が全面返還されたとしても、72パーセントは沖縄に残る」と指摘した富田氏は、「その『2パーセントを返してほしい』という、ささやかな願いすら無視される」と強調。米政府はもとより、沖縄県民の声に対し、まるで耳を貸さない日本政府の態度を批判した。そして「かくなる上は、オリバー・ストーン監督に力を借りたい」と力を込め、「沖縄が抱える基地問題は、もはや国際世論に訴える以外に解決の道はない」との考えを表明した。

 通訳を務める乗松聡子氏(ピース・フィロソフィー・センター代表)と共に登壇したストーン氏は、まず、「第2次大戦後、米国は冷戦に突入した。そして、共産主義と戦うことを名目に、諸外国の米軍基地をネットワークで結んだ。そのネットワークの中に沖縄もある」と、米国の軍事戦略上の「沖縄」の位置づけを説明。「沖縄は1945年以降、米国の属国的な立場にあり続けた。米国は、共産主義から自由主義を守る楯に、沖縄を使ってきた」と続け、沖縄の米軍基地を視察した折の印象を次のように語った。「戦時中の構図は変わっていないと感じた。もっと言えば、『米国、日本、沖縄という関係の中で、戦争はまだ終わっていない』とさえ思った」。

 ストーン氏は、この日の午前中に、普天間基地の移転先とされている名護市辺野古を訪れている。「辺野古の海はとてもきれい。サンゴや魚が豊かなことが印象的だった。そこに米軍基地が建設されるのは、非常に恥ずかしい話だ。軍隊が入り込むことで、その土地がどれほど荒らされるのかを、私は知っている」。ストーン氏は、名護市長の稲嶺進氏と面談したほか、普天間飛行場移設に反対を訴える地元住民からも話を聞いており、「辺野古の市民運動がどれほどの成果を生むのか、私にはわからないが、稲嶺氏は『闘争する人』のイメージだった」との感想を口にした。

 後半のパネルディスカッションでは、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(早川書房)をストーン氏と共同で上梓したピーター・カズニック氏(米アメリカン大学教授)と、大田昌秀氏(元沖縄県知事)が加わった。進行役を努めた琉球新報社の玻名城泰山編集局長からの、「米政府はなぜ、沖縄に米軍基地を集中させたがるのか」という質問に対し、カズニック氏は「沖縄県民は、(辺野古への移転を含め)さらなる米軍基地を沖縄に建設することを、許してはならない」と話した。

 さらに、玻名城編集局長が「2000年夏に沖縄で開かれたG8(先進8ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議)で、当時のクリントン米大統領は、沖縄県民に対し『米軍配備の負担を軽減していく』と約束したが、ほとんど実現されていない感がある」と水を向けた。ストーン氏は「米国は、大戦で苦労して獲得した沖縄を手放しはしないだろう」とした上で、「大統領なんか信じるな。政治家など信じてはいけない」と力説。カズニック氏もまた、「沖縄の人たちが、県内の米軍基地増強に反対するのは正しいが、米国政府は、アジア太平洋地域の軍事力アップを図っている」と述べた。

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