第66回日本アンデパンダン展 館内パフォーマンス 2013.3.23

記事公開日:2013.3.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・阿部玲)

特集 TPP問題

 2013年3月23日(土)19時40分より、東京都港区六本木の国立新美術館で「第66回日本アンデパンダン展 館内パフォーマンス」が行われた。原発、被曝、TPPの問題を真正面から捉えるミュージシャンたちが、普段は反ACTA/TPPチームとして路上で行っているスタイルを、そのまま再現した。息の合った演奏、踊り、スピーチなどで、閑静な美術館が熱気に包まれた。

■全編動画

  • 出演 NAS、ジョニーH、浦邉力、火炎瓶テツ、ザ・テツコーズ(敬称略)
  • 日時 2013年3月23日(土)19:40~
  • 場所 国立新美術館(東京都港区)
  • 詳細

 司会進行役は反ACTA/TPPチームの代表、爆猫氏。壁面には放射能、被曝をテーマとしたインスタレーションが施され、原発作業員を彷彿とさせる、放射線防護のタイベックスーツを着用するスタッフも居た。

 最初に登場したのは、オペレーション・コドモタチの横川圭希氏と、女性ボーカリストPearl氏のユニット、NAS(ナズ)。横川氏は3.11直後から、福島から避難する家庭への支援活動を継続している。今回は、Pearl氏が、支援活動の過程で出会った人たちの苦悩と向き合って作ったという、できたばかりの曲を、わずかばかり披露した。2曲目は、彼らの代表曲である『言葉』。普段はギター1本で演奏されることが多いが、テツコーズがリズム隊としてバックに加わり、ゴージャスなサウンドとなった。

 爆猫氏は「今の社会問題は、思想や政治にあまり関係ない。一般の人たちが、まず自分たちの不自由さに気付き、そこから一人ひとりが動き始めることが大事である」と言う。そのためには「隠されている情報を受け止めること」と指南し、ジョニーH氏を紹介した。ジョニー氏は、替え歌やオリジナル曲で時事問題を扱い、痛烈に風刺をするのが持ち味である。官邸前での抗議行動「ストップTPPアクション」を始め、あるゆるデモや集会に出没し、その存在は異彩を放っている。今回は、原発問題を取り上げつつ、権力者の暴走を示唆する曲『危ない核』をはじめ、リズミカルなナンバーを連発し、会場を熱気で包んだ。「ストレートな抗議だけでなく、風刺やパロディが必要。だが、これも二次創作なので、ACTAやTPPでは規制の対象になりうる」と、爆猫氏は将来を案じた。

 浦邉力(ちから)氏は、経産省テント前で、定例のストリートライブを主催していることで知られる。一般のメディアでは、音楽家や芸能人が原発問題に触れることはタブーとされる中、ここではオープンマイクでさまざまなミュージシャンたちが登場し、普段は中々言えない思いを発露していく。浦邉氏は、普段から「亡くなった人たちの声に耳を傾ける」ことを訴えている。彼の代表曲である『死人にこそ発言権を』は、今回も披露され、会場は厳粛さと興奮という、一見相反する空気に包まれた。

 最後を飾ったのは、火炎瓶テツ氏。毎週金曜日の経産省前対話集会をはじめ、各種デモのコーラーとして欠かせない存在となっているが、「こんな自分が目立っているうちは、日本はダメだ」と話す。群馬大学の早川由起夫教授が作成した放射能汚染地図を歌った『早川マップの歌』を、強烈なレゲエのビートに乗せて披露したかと思うと、急遽依頼されたスピーチでは、「3.11、地面が揺れたが、いまだ変わらぬ涙は、揺れたその次にやってきたもの。それは放射能。自由の名の下に、力を持った人は、その力をただ守るだけ。仲良しクラブがこの世を支配する」など、詩とも語りとも言えない、独特の節回しで心情を訴えた。

 爆猫氏は、締めの言葉として、「この国が腐り切ってるのは、皆わかっている。自分たちが、がんばるしかない。政治とか、宗教とか、どうでもいい。少なくとも、こどもたちの未来だけでも守ろう」と述べて涙ぐんだ。

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