守田敏也さんに聴こう! ~三田っ子の健康を守る食べ物、避難計画のお話~ 2013.2.24

記事公開日:2013.2.24取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・阿部/奥松)

特集 TPP問題

 2013年2月24日(日)13時半より、兵庫県三田市のフラワータウン市民センターで「守田敏也さんに聴こう! ~三田っ子の健康を守る食べ物、避難計画のお話~」が開かれた。講師の守田敏也氏(市民と科学者の内部被曝問題研究会常任理事)は、著作に琉球大学名誉教授の矢ケ崎克馬氏との共著『内部被曝』があり、肥田舜太郎医師へのインタビューを行なうなど、放射線、内部被曝問題に造詣が深い。守田氏は、福島の現状、内部被曝の実態、今後、食べ物をどう考えて行くかなどを、質疑応答も交えて語った。

■Ustream録画
・1/3(13:35~ 58分間)

・2/3(14:34~ 1時間0分)

・3/3(15:34~ 37分間)

  • 日時 2013年2月24日(日)13:30~
  • 場所 フラワータウン市民センター(兵庫県三田市)
  • 主催 三田の未来を守る会 給食を考える部会 未来公房

 守田氏は、まず、群馬大学教授の早川由紀夫氏が製作した地図をスライドで映し、日本の放射能汚染状況の確認を行なった。守田氏は「福島県だけでなく、栃木県にも高放射線量の地域が及んでいる。特に、那須の御用邸や日光は高い。北は岩手県の一関市が高い。放射性物質は谷筋に沿って流れて行く」と、関心が薄くなりがちな西日本の参加者たちに丁寧に説明した。次に、シーベルト、ベクレルなど、専門用語の単位の説明をし、年間1ミリシーベルトの危険度として、「10万人のうち5人がガン死する(ICRP)」「10万人のうち40人がガン死する(ゴフマン/アメリカの研究者)」「ガンだけでなく心臓病など、さまざま影響がある」などの、諸説を紹介した。

 「毎時0.6マイクロシーベルト(以下Sv/h)以上の場所は、放射線管理区域となるが、福島市内はほとんど該当する。新幹線は毎日その中を走っている。世田谷の住宅地でラジウムが見つかった時は、2.8マイクロSv/hで大騒ぎとなり、全国ニュースにもなった。福島ではそれをはるかに超えても、全国ニュースにはならない。なぜなら、そういう数値がそこら中にあるから」と現状を報告。そして笑えない冗談として、「福島のある医師が、新しく診療所を建設した。レントゲン室には放射線管理区域のマークを貼らなくていけないのだが、測定したら周囲よりもレントゲン室の方が放射線量が低かった。なぜなら鉛で覆われているから」という話を紹介した。

 さらに教育の現状として、マスクをして運動会に参加する子ども達の写真を紹介した。「校庭の除染が間に合わなかった、という理由で、子ども達がマスクをして玉入れをしている。よく見ると、マスクから鼻や口が出ている子もいる。周りで見学してる子どもや親はマスクをしていない。これは、もはや虐待。運動会をやるなというより、子ども達を疎開させなくてはいけない。100万人に1人の確率と言われる甲状腺ガンが、わずか20万人の調査で、すでに手術が3人、疑いが濃厚なケースが7人も出ている」と危惧した。

 次に、守田氏は、内部被曝の研究の歴史と、体内のメカニズムを説明した。「原爆と放射線の影響を研究したのは、アメリカ軍の原爆傷害調査委員会(ABCC)、後の放射線影響研究所である。目的は、まず兵器の性能を知ること。もうひとつは『核兵器の非人道性を隠すこと』。何を隠したかというと、内部被曝を隠した。放射線の影響を、爆心地から半径2キロ以内に限定した。これがよく言われる年間100ミリシーベルトの基準。2キロ以外は100ミリシーベルト以下なので、影響はないと言い張った。それ以外の、食べ物などからの内部被曝の影響は、完全にないものとした」。

 さらに、「放射線の影響によりDNAが損傷を受けると、細胞分裂の際にコピーを上手に作れない。身体の中でも、どんどん消耗して新しく作られる細胞とは粘膜である。だから、目、鼻、口、のどに影響が出やすい。子どもだけが影響が高いと思われがちだが、免疫力、体力が落ちている高齢者にも影響が大きい」と警告した。

 後半は、実際に食べ物にどう気をつけたらよいかをアドバイスした。「放射能で気をつけるべきものは、まず川魚。太平洋側の海の魚は、底に生息するものが特に危険。山の幸はキノコ、シイタケ」。ここで、守田氏はOECD発表の体格指数のグラフを、スクリーンに映して、「世界で一番スリムな国は日本。逆に最下位はアメリカで、3人に1人が病的に肥満。注意すべきは下から2番目のメキシコ。TPPの前身のNAFTA加入により、急速に自由貿易化が進み、アメリカからジャンクな食べ物が洪水のように入って来たため、と言われている。日本がこのままTPPに参加すれば、同様のことになりかねない」と話した。

 自己防衛できる対策としては、「白い砂糖を避ける。それは自然界に存在しない。黒糖はミネラルがあるが、白糖は生成の過程で失われるので、体内に入れた時に身体のミネラルやカルシウムが奪われる。情緒不安なども引き起こす。もともと人間は『噛む』ことによって満腹感を得るが、それを低下させる加工でん粉も避けるべき。牛舎や鶏舎で飼われた動物は、ストレスで食欲が落ちるので抗生物質漬けにされる。買うなら平飼いのものを」と具体的に示した。それ以外には、食べ方として「食べ過ぎないこと。また、家族や友人と団らんで食事をして楽しい話題をすれば、消化率も免疫力も高まる」と、肥田舜太郎医師の話を引用した。

 最後に「福島、東北、関東の人の苦しみを忘れないこと。苦しみをシェアして、暖かい気持ちでいること」とメッセージを伝え、講演は終了した。

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