独立を望んでいるのは沖縄だけではない! ハワイ、グアム、プエルトリコ、西パプアなどの国々が独立に向けて連帯を強化している! 2018年2月に国連人権高等弁務官から、ハワイを独立主権国家と認める手紙がロバート・カジワラ氏に届いた! IWJでは、この重要なレターを全訳! 2019.3.15

記事公開日:2019.3.15 テキスト
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(文・翻訳:尾内達也、文責:岩上安身)

特集 辺野古

 ロバート・カジワラ氏は、2019年2月21日に行われた岩上安身のインタビューの中(質問6)で、注目すべき事実を語っている。それは、最終的に沖縄独立をめざすカジワラ氏とそのチームが、グアムの先住民族、チャモロ族と密接に連帯して活動を行っているという事実である。

 グアムは、辺野古基地の代替案として浮上した島であり、すでに、グアムの負担で膨大な軍事基地が建設されている。この建設には日本も資金を負担している。

 グアムだけではなく、事実上の米国の植民地と言っていいプエルトリコやハワイ、沖縄、そしてインドネシアに属する西パプアが独立に向けて連帯を強化しているという事実である。

 そうした状況の中で、昨年2月に、沖縄にとっても非常に重要なレターとして、インタビューの中でたびたび言及している国連人権高等弁務官のアルフレッド・ディザイアス博士のレター(2018年2月25日付)が、ロバート・カジワラ氏の許に届いた。

 IWJでは、この重要なレターを以下で全訳している。ぜひ、ご覧いただきたい。

 このレターが重要なのは、第一に、ハワイの政治的な地位は連続した主権民族国家であると認めている点であり、第二に、現在のハワイは、米国の不法な軍事占領と不法併合の結果であるとしている点である。第三に、ハワイの土地の所有権は、ハワイ王国の権限で実施された土地配分を起源としており、米国の不法な占領には、法的な根拠がないとしている。第四に、これを根拠づけるのは、米国の国内法ではなく、国際法と慣習国際法であり、この点、米国の最高裁の判例がすでにあることまで指摘しているのである。

 カジワラ氏は、このディザイアス博士のレターが沖縄にとっても重要だと述べている。それは、沖縄が、ハワイと同様に、米軍に不法に占領され軍事基地化されているからである。沖縄の場合、米国による不法占領だけでなく、そもそも、日本による不法な併合(1879年、明治12年)という現実が存在している。

 ディザイアス博士のレターを沖縄にあてはめれば、琉球王国の土地配分に起源をもつ沖縄の土地の不法占領は、米国国内法はもとより、不法に併合した日本の国内法ではなく、国際法と慣習国際法にしたがって裁定すべきだという論理的な帰結になる。

 このディザイアス博士のレターは、米国の多くの政府高官にも送付され、官僚たちに覚醒をもたらし、ハワイの独立運動を以前よりも真剣に捉えるようになったという。

国連人権高等弁務官の国連人権事務所

覚書

日付 2018年2月25日

発信元 アルフレッド・ディザイアス博士
国連独立専門官
人権高等弁務官事務所

宛先
グレイ・W・H・チャン閣下、ジーンネット・H・キャスタグネッティ閣下、ハワイ州司法のメンバー

ルース・ボロメット嬢事件について

国際法の教授として、国連人権員会の前事務局長として、『国連人権委員会判例1977-2008』の共著者として、そして、近年では、民主的で平等な国際秩序の推進に関わる国連独立専門官として、私はハワイ諸島の法的な政治的地位は、連続した主権民族国家のものだということを理解するようになった。しかし、米国による奇妙な形態の下にある民族国家である。それは米国による不法な軍事占領と不法併合の結果である。

したがって、国際法(ハーグ・ジュネーブ協定)によれば、ハワイ諸島という被占領地域内の統治・法律問題は、被占領国家(この場合、ハワイ王国)の法律を適用すべきであって、占領国(米国)の国内法を適用すべきではない。

この理解に基づいて、国連総会に提出した私の2013年の報告書(A/68/284)の69(n)項に従って、ハワイ諸島の人民に対して――そして類似状況にある他の人民や国家に対しても――、国際法で保護された権利の行使のために、国連の手続きおよびメカニズムへのアクセスを提供するように勧告した。ハワイ諸国の土地取引に関する判決もハワイ王国と国際法の問題であり、米国国内法の問題ではないだろう。

私は、ルース・ボロメット嬢が2017年に国連人権高等弁務官事務所に提出した不平について検討し、ハワイ人の土地に対する、現在も継続中の歴史的な不法占有を指摘した。とりわけ、ハワイ王国の権限の下に実施された土地配分を起源とする土地の権利を保有する相続人と子孫の土地の不法占有について指摘した。

パケット・ハバナ号事件(1900年)注)の米国最高裁判決に準じて、米国裁判所は地権争いにおいては、国際法および慣習国際法を考慮に入れなければならない。ハワイ州裁判所は、地権所有者の権利をあからさまに侵害し、妥当な国際基準の重要性を踏みにじる行為に加担すべきではない。

したがって、ハワイ州裁判所は、所有権は米国の法律だけで認められているのではなく、エレノア・ルーズベルト主導の下に採択された国際人権宣言第17条でも認められている点を心に留めて、私有地の不法な占有を可能にしたり、あるいはそれに共謀したりすることがあってはならないのである。

注)パケット・ハバナ号事件:パケット・ハバナ号事件は、米西戦争中の1899年4月に発生した。スペイン船籍の沿岸漁船パケット・ハバナ号がキューバ沿岸で米国軍艦によって拿捕され、米国に曳航され、没収後競売に付された。パケット・ハバナ号側が、先の掌捕が違法であるとして、同船と積荷の売却の中止および損害賠償を請求した。米国最高裁は、鮮魚の捕獲と運搬を業とする沿岸漁船が、戦時捕獲から免除されることは、国際法の規則(慣習法)であることを認め、船舶と積荷の売却収益を、賠償と費用とともに原告に返還するよう命じた。

アルフレッド・ディザイアス博士

※出典『OCCUPIED OKINAWA』pp.187-188(ロバート・カジワラ著、ヤン・R・ヴァインベルク編、2019年)

 カジワラ氏は、向こう10年のうちに、沖縄、ハワイ、グアム、プエルトリコ、西パプアなどの諸国の独立について多くの進展がみられるだろうと述べている。

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