2012/12/06 現代日本のメディア・アクティビズム

記事公開日:2012.12.6
このエントリーをはてなブックマークに追加

 2012年12月6日(木)19時より、東京都文京区の東京大学本郷キャンパスで、東京大学情報学環の林香里研究室「メディア研究のつどい」のワークショップとして「現代日本のメディア・アクティビズム」が行われた。講師として、自由報道協会代表理事の上杉隆氏、OurPlanet-TV代表の白石草氏、日本報道検証機構 gohoo.org代表の楊井人文氏、そして岩上安身が、それぞれの活動や日本のメディアについて話をした。

■詳細 http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/event_detail.php?id=1574

 冒頭、林氏から「今回は、デジタル時代のジャーナリズムについて考えてみたい」という趣旨説明があった。続いて、岩上が、自身の経歴と、代表を務めるインディペンデント・ウェブ・ジャーナル(IWJ)について話をした。「IWJは、インディペンデント(独立系ジャーナリズム)とウェブでの展開を抱き合わせた組織として、2010年12月に設立した。当初は無償で情報を流していた。東日本大震災の直後は、東電会見や保安院会見を24時間中継し続けた。2011年3月12日に、初めての反原発行動となった経産省前の反原発デモも中継した。現在の中継数は、月に380本ほどになっている。いろいろな問題は、常にローカルな狭いところから起きる。それを探し出し、グローバルな情報にする必要性を感じた。今後、ニュースソースを世界中につなげたい」と話した。

 上杉氏は「当協会はメディアとは違う。記者クラブ制度の弊害には、1999年くらいから疑問を持ち、外国人特派員記者クラブをモデルに、ジャーナリストの神保氏と共に自由報道協会を立ち上げた。今は、マスコミや記者クラブが出さない情報が求められる。つまり多極化、多様な情報こそが民主主義の健全性、言論空間の自由を保つことができる。その趣旨のもと、当協会は、公正な記者会見の開催、政府や記者クラブへの会見申し入れの運動、平等な記者クラブ制度の確立などを目ざす」と語った。

 次に、白石氏が「OurPlanet-TVは、2001年の9.11の後に立ち上げた。軍事力以外で平和構築ができないか、市民の声をいかに可視化するか、ということでNPO法人として発足。趣旨は『Standing together , Creating the future』。既存マスメディアでは取り上げないニュース、市井や弱者、被差別者の声などを取り上げ、可視化し、社会の課題を共有しあうことを目ざす。また、組織のポリシーは、フラットな人間関係。同じく外とも平等に接すること。ビデオ・ワークショップのメディア・カフェも運営している。3.11の震災以降、ワークショップに参加する女性が増えたのが興味深い」と話した。

 楊井氏は「報道被害を減らすため、賢い読者になるために、そして、報道の正確性、質の向上を促すために、誤報の可視化が必要だ。事実に基づかない報道、読者が事実を誤認しやすい報道を探し、検証し、それをホームページ上で掲載している」と述べた。「報道の現場は誤報と隣り合わせにあるが、マスコミ報道には品質管理が欠けている。その是正手段として、2012年4月からGohooというサイトを運営し、誤報レポート、注意報、訂正報道一覧などを発信している。マスコミが機能しなくなることは、社会にとって大きな弊害となるので、監視活動を続けていきたい」と語った。

 質疑応答では、「メディア・アクティビズムとは何だと思うか? それに対するイメージは?」という質問に、各ゲストが答えた。白石氏は「それは、メディアを使って社会をより良くしよう、とすることだと思う」と回答。上杉氏は「ジャーナリストは、メディアを良くする視点より、記事そのものが問われる。メディア・システムの病理、硬直した部分を打ち破る人たちのことだと思う」と述べた。岩上は「メディア・アクティビスト、と言われることもある。それには、ポジティブとネガティブの両面がある。ネガティブな面は、活動家なんだろ?との指摘だ。また、ジャーナリストに対する一般的解釈は間違っている。ジャーナリズムは職業的な特権ではない。すべての人がジャーナリスト。特権的になってはいけない」と語った。

 また「情報の送り手の教育は? また、マスコミとネットの二極化が顕著になった現在、マスコミの受け手への啓発はどうしたらいいのか?」との質問に、白石氏は「送り手のミスは、時間の制約や競争のなかで起こる。そういう構造から脱することが重要。受け手を変えるのは、テレビ電波の開放が一番早いと思う」と答えた。上杉氏は「誤報は書いた本人が一番わかっている。自分自身が検証するしかない。受け手の啓発に一番いいのは、ジャーナリズムにユーモア、エスプリを取り入れることだ」とした。岩上は「誤報やミスは訂正すればいい。それよりも、意図的にする情報操作が、とても危険だ。受け手への啓発は、集いが大事。直接、自分の生の声を聞かせることだ」と語った。【IWJテキストスタッフ・関根/奥松】

このアーカイブの完全版は、IWJ会員のみ閲覧・視聴ができます。
会員の方はここをクリックしてください。
会員登録はこちらから。
このアーカイブだけを有料で閲覧・視聴する場合はこちらから。

IWJのこうした取材活動は、皆様のご支援により直接支えられています。ぜひIWJ会員にご登録いただき、今後の安定的な取材をお支え下さい。

新規会員登録 カンパでのご支援

一般会員の方で、サポート会員への変更をご希望される場合は、会員ログイン後、画面上部の会員種別変更申請からお進み下さい。ご不明の際は、shop@iwj.co.jp まで。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です