【衆院選2017・緊急事態条項】自民党の選挙公約にある「緊急事態対応」は「ナチスの手口」だ!〜社民党・福島みずほ参院議員「基本的人権の制約がアウシュビッツにいたった」 2017.10.19

記事公開日:2017.10.19 テキスト動画
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(IWJ編集部)

 2017年秋の衆院選選挙公約に自民党は憲法改正を盛り込み、自衛隊の明記・教育の無償化・参議院の合区解消と並んで「緊急事態対応」を4項目の一つに設けた。「緊急事態対応」とは選挙向けに急いであつらえた名称だが、紛れもなく「緊急事態条項」のことである。その実体は2012年の自民党の憲法改正草案第9章の「緊急事態」と何ら変わらない。

 2017年10月2日、岩上安身のインタビューの中で社民党の福島みずほ参議院議員が緊急事態条項の法的諸問題を浮き彫りにした。福島議員は、「緊急事態条項の最大の問題は国会の立法権を取り上げること」と指摘し、国家授権法によって全権力を掌握、基本的人権を停止させ、アウシュビッツでのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)をもたらしたナチ・ドイツを引き合いに出し、その危険性を説明した。

 また、岩上が「東日本で、大変な津波が来ました、という時に関西や九州で、人権停止をしなきゃいけないですか? 自民党のやろうとしている緊急事態発議はそういうことですよね」と疑問を投げかけ、与党が「災害」を口実に緊急事態条項の新設を急ぐ欺瞞をあぶり出した。

 さらに、2人は戒厳令と緊急事態条項を比較して、戒厳令が空間的・時間的な制約があるのに対して、緊急事態条項にはいっさいの制限がなく、一度発令されると、永久に独裁体制が固定してしまうという危険な性格に触れている。

 この猛毒のような緊急事態条項を、目立たないように、話題にならないように、こっそりと、今回の選挙公約に入れている自民党の真の目的とは何なのか。緊急事態条項は1938年制定の国家総動員法と非常によく似ている。国家総動員法の目的は国家国民の総力をあげての侵略戦争の遂行であり、その結果が、無残な敗戦だった。この緊急事態条項が、新しい侵略戦争を隠れた目的にしていないと、はたして断言できるだろうか。そして、その結果は前回の敗戦よりも遥かに深刻で凄惨な結末をもたらすのではないか。(IWJ編集部)

自民党改憲草案の緊急事態条項は内容を知れば「冗談じゃない!」となる

岩上安身(以下、岩上)「自民党改憲草案の中で緊急事態条項事が危ないと、ずーっと言い続けていますが今回、自民党は公約の改憲案に「緊急事態対応(条項)をそろっと、入れています。高校無償化とか、そんなのは法律でやればいい。今、改憲なんて必要ないんです。

 改憲案の一つが9条。そして、もう一つが緊急事態条項。そして、左派の人たちは、もう9条にしか反応しないんです。それがもう、本当に問題。9条よりも緊急事態条項を理解してくれと。というのは、緊急事態条項の中に、すべてが含まれていて、当然、全部の憲法が含まれていますから、9条も当然含まれるわけですよ。この中で、緊急事態条項発令したけど、9条だけは平穏無事だった、なんてことは絶対ないですからね。9条だけってありえないですから」

福島議員「うん。そうですね」

岩上「9条の改定には、賛成する人たちも沢山いるわけですよ。9条2項を変えて、自衛隊を入れようと言っている人はたくさんいるから、そこだけアピールしてれば、まあ、勝てると踏んでいるんだと思います。ですが、問題は、緊急事態条項は、自民党、希望、維新の支持者だって、無事ではすまないこと。本当に内容を知ったら、彼らだって冗談じゃないと思うような内容です。ご説明願えませんか?」

福島議員「はい。自民党のその憲法改悪案の中に、緊急事態条項があって、これはナチス・ドイツの国防授権法(全権委任法)と一緒です」

岩上「麻生さんの言ったナチスの手口ですね」

▲福島みずほ参議院議員

最大の問題は立法権を内閣が奪うことにある!安倍総理の「立法府の長」発言は前哨戦!?

福島議員「唯一の立法機関は国会です。腐っても国会。なぜかというと、主権者である国民から選ばれた国会でしか法律は作れない。憲法41条で定められた『唯一の立法機関』です。どんなことがあっても、国会でしか法律は作れない。基本的人権を制限する法律は、主権者である国民によって選ばれた国会でしか作れないんです。しかし、その立法権を内閣が取り上げるんです」

岩上「だから、誰も、議論に参画できない」

福島議員「そう。政令でできちゃうんです」

岩上「法律と同じ効果をもつ」

福島議員「法律と同じ効果を持つ政令って、実質的に法令を内閣が作れるってことなんですよ。

 つまりこれって、国会の立法権を内閣が取り上げるぞってことなの。三権分立で、立法機関と行政機関と司法権なのに、取っちゃうぞと。だから、安倍総理が国会に来て、私は立法府の長だというのは、これ(緊急事態宣言の発令)の前哨戦じゃないかと思うぐらいですね」

岩上「国会の権限が完全に取り上げられてしまう。空洞化して何一つできない。国会が、論戦を戦わせる場にならない」

福島議員「だから、これはナチス・ドイツが、まさに内閣限りで、基本的人権を制限できるという国防授権法を通して独裁政権を作ってしまったのと同様に、緊急事態宣言条項も、内閣限りで、バンバン、バンバン、バンバンと、基本的人権を制限できる。ナチス・ドイツはそのあげく、あのアウシュビッツまで行ってしまったと」

岩上「そう。最終的には、そうやって人々の絶滅まで可能なんですよ」

福島議員「だから、法律と同じ効果を持つ政令というのは、実際、法律を作るということ。法律は基本的人権の制限もできる」

岩上「それは、総理大臣が予算措置を行えると同時に、内閣が出せるんですね」

福島議員「そうです。だから、国会を殺しちゃうんですよ」

国会の予算承認権と地方自治も奪い、衆議院の任期も無期限延長! 「永久独裁」が事実上可能

福島議員「だから、緊急事態条項は国会殺人事件で、国会の立法権を取り上げる。それから予算権を取り上げるんですね。国会でしか予算の承認ができないんだけど、予算措置ができるから、国会から予算の承認権と、それから立法権を取り上げる。地方自治との関係も深刻で、地方自治体の首長に対して、指示ができると言ってるんですよ」

岩上「そう。地方自治がなくなってしまうんですよ」

福島議員「対等なのに命令ができる」

岩上「でも、国会は形式上、存在はしている。また、必ず任期が来たら解散になるから、独裁が永久化するわけないだろうと思う人もいる、ところがなんと、衆議院の任期を延長することができて、これをよく見ると、ずーっと延長可能なんですね」

福島議員「そうです」

岩上「だから、これ永久独裁状態になるわけですよ」

福島議員「ある意味、戒厳令がとても長引くことになりますよね。永久戒厳令ですよ。予算は出せるし、地方自治体に命令ができるし、それからまさに基本的人権を制限できるんです。内閣限りで」

緊急事態条項は資産家の財産権も奪う! 生存権取り上げで「徴兵」も簡単!?

岩上「基本的人権っていうと、よくマイノリティの人がギャーギャー言ってることだろ? みたいな冷ややかな態度を示す人がいる。ところが影響が及ぶのはそれだけではないんですね。」

福島議員「財産権だって」

岩上「そうなんです。お金持ちのあなた、財産権なくなりますよ、言っときますけど。ぶんどられますから。国家総動員法が施行された戦時中の日本では、お金持ちからでもバンバン取り上げました。それから、生存権も保障されなくなるわけですよ。だから、徴兵だって簡単ですね、もはやね」

福島議員「内閣限りで作れるんですから」

岩上「内閣限りで、一切の基本的人権を制限できる。そしてなんと、恐ろしいことに期間に制限がない」

福島議員「だから、戒厳令は永遠です」

岩上「もう一つ書いてないんですけど、解除の手続きがない。驚くべきことですね。永遠なんですね。永遠の独裁が可能で」

福島議員「更新があるけれど、それに期間の定めがないっていうのが問題だし」

岩上「自動延長が無限に続くということにしようという政令も、あとから出せる。そしたら、終わりですよ。我々はこれと議論できないから。内閣が出しちゃうわけですからね。司法も全く機能しなくなるでしょうね」

福島議員「そうですね」

東日本大震災は現行法で対処できた! 「災害」を口実に緊急事態条項の必要性を訴えるのは「詐欺」

岩上「統治行為論が元々あるわけですから、司法は高度な政治判断を要することには、行政には口を挟まないと言ってるわけです。あらゆる基本的人権が制限されますから、集会・結社・言論・報道の自由も制限される。制限というよりはもう、完全に服従させられると思います。こういう『ナチスの手口』が、今回の選挙の公約に入ってるんですよ。マスコミは全然取り上げない。誰もやらない」

福島議員「これって、災害の時に必要だとか言うけれど、福島弁護士会や兵庫弁護士会や色んなところが反対をしていて、むしろ、国が地方公共団体に命令するよりも、地方公共団体がちゃんとできるようにしたらいいんですよね。

 緊急事態宣言条項を入れるべきだという憲法学者も参議院の憲法審査会で、例えば、東日本大震災で緊急事態条項がなくて、困ったっていうことがあるのか? って言ったら、みんなないって言うんですよ」

岩上「ないですよ。例えば、東日本で大変な津波が来ました。じゃあ、その時に関西や九州の人達が、人権停止しなきゃいけないんですか? そう考えたら、おかしいじゃないですか」

福島議員「全然、おかしいんですよね。要らないんですよ。災害は、現行法でも色んなことができるから、災害救助法とかでできるから」

岩上「災害っていうのは、全くの詐欺です」

福島議員「ナチスの国防授権法なんです」

岩上「ナチスの授権法は、大統領と、首相と内閣。それから、議会と、権力が分立されていたものを一緒にした。大統領の権力と、首相の権力を合体させて、総統というものを作ってしまい、総統がすべてを支配するということになったわけです。こういうことまで、結局、この問題はいきますね。で、今回の選挙はこの独裁条項がかかってる」

治安維持法は右も左も弾圧された〜緊急事態条項は戒厳令より広範囲

福島議員「そうなんです。右であれ、左であれ、どんな立場であれ、やっぱり表現の自由が大事だと思うんですね。でも、治安維持法って、右翼も左翼も自由主義者も学者もみんな弾圧されたわけですから。

 そして、韓国もそうだし、フランスもそうですが、アルジェリアとの戦いや、戦争で戒厳令を敷いて。まさに、こういうのは、独裁政治における戒厳令ですからね」

岩上「でも、戒厳令というのは、やっぱり限定的なものですよ」

福島議員「そうなんです。戒厳令よりひどいんですよね」

岩上「はるかに広い。はるかに広範です」

福島議員「戒厳令よりも広いんです」

岩上「戒厳令は、治安強化をするけれども、軍隊は国家の改造を全部1から10までやり続けることはできないので。軍政は強権的な政治をするけれども、軍人が全部の社会をコントロールできるわけじゃない。

 ナチス、ヒトラーの研究の第一人者の石田勇治東大教授は、ナチスが全県を掌握して大統領緊急令(国家緊急権)と国防授権法を足したような内容だと、インタビューで話していただきました。『ナチスの手口と緊急事態条項』という新書が、この石田さんと長谷部(恭男)さんの豪華な組み合わせで対談本が出てるんですよ。ついこの間、長谷部さんのインタビューやったんです。是非ごらんになってください」

緊急事態条項を止めるには、社共だけでは無理! 無党派層を巻き込むことが重要

岩上「長谷部さんも非常に緊張感を持っています。かつ、『緊急事態条項を私がダメだと言っても聞き入れるような人たちではないでしょうから、そのときは統治行為論をなくさないと絶対ダメだ』と言っているんですね。

 こんな大事な、危険なものが、今回の選挙にかかってるんです。なのに、直前でこんなドタバタの茶番政局ですよ。民進党が『解体』して、雪崩を打って『希望の党』へ合流する、などという。民進党の皆さん、それから、それを支えてきた皆さんがストップかけないといけない。社共は立派。本当に筋を通していると思います。でも、(改憲発議阻止に必要な議席の)3分の1は社共だけでは確保できず、このままでは改憲発議は止められない」

福島議員「もちろん、そうなんです」

岩上「ものすごく広範な、多くの人々の力がいる。一般の市民。運動をやってる人々、労働組合。それ以外の無党派の人たちまで巻き込んでやらないと、そして、希望の党へふらつきかけた民進党の前職たちを奪還しないと」

福島議員「そうですね」

本記事は過去のインタビューより抜粋いたしました。インタビューの全編動画は、こちらからご視聴ください⇒「希望の党」はリベラル派排除し「大政翼賛会」を作ろうとしている!? 改憲による「緊急事態条項」絶対阻止!「共闘」で3分の1議席数を!~岩上安身による社民党 福島みずほ参議院議員インタビュー! 2017.10.2

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