民進党・前原誠司代表が、小池百合子氏代表との密議によって決定した「希望の党」への「合流」(という名の「併合」)騒動により、解散総選挙に向けて毎日目まぐるしく変化してきた。2017年10月2日、リベラル派が集う新党が結成された。民進党の枝野幸男氏が離党届を提出し、たった一人で記者会見に臨み、「立憲民主党」の設立を発表。「安倍政権打倒」の旗を掲げた。
翌日の10月3日(月)17時より、東京都千代田区の有楽町イトシア前で、枝野幸男氏が立憲民主党届出後初の街頭演説を行った。現場には公式ツイッターにより情報を得た報道陣、市民が開始前から多数詰めかけた。民進党があっけなく崩れ去ったあとの廃墟で、一人その理念を継承する新党を立ち上げた枝野氏に対する大きな注目・期待感が感じられた。
盛大な拍手に迎えられた枝野氏は、党名にも使用されている「立憲主義」について、「どんな権力でも、憲法によって制約をされる。憲法は一人ひとりの自由と人権を守る」と説明し、「ここ数年、立憲主義という言葉をもう一度思い出さなければならない、そんな状況になっている。それは、内閣が、自ら積み重ねてきた解釈を勝手に変えたことだ」と指摘、「ルールなき権力は独裁である!」と、一段と声を張り上げて喝破した。
また枝野氏は、民主主義について「多数決で決めることだけが民主主義ではない」と指摘し、「みんなで話し合って、みんなが納得できるようにものを決めること」と主張した。「国会で多数を持っている人に、この民主主義の本質がわかっているのか」と疑問を投げかけ、「草の根の民主主義を取り戻しましょう!」と観衆に呼びかけた。
安倍政権のもとでの現在の自民党のありかたについて、枝野氏の鋭い批判が続いた。「今の自民党が保守なんですか? 日本社会の良き伝統を壊していい保守なんてない!」「私は保守でありリベラルである」と訴え、拍手喝采に包まれた。
他に、森友・加計問題、情報公開、公文書管理、貧困格差まで話題が及んだ。演説終了後、観衆から「枝野コール」がわき起こった。
終了後、報道陣の囲み取材で、「元民進党議員がいる選挙区に対立候補を立てるつもりはない」「(市民連合が立憲民主党と共産党・社民党の『ブリッジ共闘』の要望を提出したことについて)市民連合とは政策については一致しているので、政治勢力が国会の中で多くの議席を占めることができるよう我が党としてできることはやりたいが、各党の判断」と回答した。
IWJは「自民党と希望の党で3分の2をとれば憲法改正が一気に現実的となり、かねてより安倍政権が公言している「緊急事態条項」の導入が実現する可能性が増す。緊急事態条項の危険性について、改めて枝野氏の見解を教えていただきたい。また今回の選挙が憲法改正前の最後の選挙になるという危機感はお持ちか」と質問した。
枝野氏は、「『緊急事態条項』について、今のような抽象的な質問にはお答えできない。憲法改正について、人によってどういう内容を示しているか違う。何をどう変えるのか、それについて賛成か反対かと聞いてくれないと答えようがない」と前置きをされたが、「私も、従来から内閣総理大臣の解散権が自由であるという議員内閣制の先進国は、もはや少数派である。これは憲法事項であり、変えることを含めて議論しなければならないと思っている。一方で、違憲部分を含んだ、安保法制を前提にしながら自衛隊を明記すれば、違憲部分を事後的に追認することになるので、これは許されることではない」と述べた。
IWJさんの配信を見させていただいている身としては、緊急事態条項の質問に対して、「抽象的な質問にはお答えできない」という回答はとっても違和感がある。すべての改憲論議の上にある大問題であるという認識がないと、2/3の議席を崩せたとしてもまずいことになりそう。
岩上さんとの個別インタビューではもっとちゃんと答えていた気もするのですが・・他メディアがたくさん集まっているところで危険性を指摘し、警鐘を鳴らしてほしかったです。