「敵基地攻撃能力の保有」を政府に提言した張本人が防衛相に就任!さっそく会見で保有検討を明言!しかし「ミサイル無力化」など不可能!先制攻撃の結末は残存核戦力による日本全土への「報復」だ! 2017.8.5

記事公開日:2017.8.5 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材協力・谷口直哉 文責・岩上安身)

 「発射前のミサイルを無力化するのが一番確実です。相手の領土にまでとどく装備を持たなければいけない」――。

 これは2017年8月3日に発足した、第3次安倍第3次改造内閣で新防衛相に就任した小野寺五典氏の持論である。

 小野寺氏は極右月刊誌『月刊Will』2017年8月号の中で、「専守防衛から先制攻撃へ」と題し、自民党の中谷元・元防衛相、民進党を離党した長島昭久・元防衛副大臣と鼎談。「実は飛んでいるミサイルを撃ち落とすのは非常に高度な技術が必要です。多弾頭で飛んできたら撃ちもらすことも出てきます」と、日本のミサイル防衛システムの欠陥を認めた上で、冒頭の敵基地への先制攻撃論を展開した。

▲極右月刊誌『月刊Will』2017年8月号

 組閣後の就任会見でも、敵基地攻撃能力の保有に言及。小野寺防衛相の就任が、日本が敵基地攻撃能力を保有する契機となる可能性は十分にありうるだろう。だが「発射前のミサイルを無力化」などできるのだろうか。敵基地攻撃論は、日本の安全保障能力を高めるどころか、日本を破滅させかねない最悪の選択ではないのか。

記事目次

小野寺防衛相は「敵基地攻撃能力の保有」を政府に提言した張本人!

▲8月3日、防衛相就任会見に臨む小野寺五典氏

 かねてより敵基地攻撃論を主張してきた小野寺氏は、自民党内の「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」でも座長を務め、今年3月には「敵基地『反撃』能力」を政府は持つべきだとする提言を発表した。

 「反撃」という言葉を用いたのは、「先制攻撃」との批判を避ける狙いがある。小野寺氏はNHKの取材に、「これは先制攻撃ではない。日本を攻撃する明々白々な事実があって、それに対して反撃するという意味」であると説明しているが、「発射前のミサイルを無力化」する攻撃とは、事実上の先制攻撃に他ならない。中身は日本政府が自ら国是とし、国内外に表明し続けてきた「専守防衛」の枠を大きく逸脱するものである。

 同月30日、小野寺氏らは官邸を訪れ、安倍総理に提言を手渡した。安倍総理は「提言をしっかりと受け止め、党とよく連携していきたい」と応じている。また、自民党の安全保障調査会は6月20日にも「次期中期防衛力整備計画」に向けた提言の中間報告を決定。改めて敵基地攻撃能力の保有や、ミサイル防衛態勢の強化に向けた新装備の導入検討を求めた。ちなみに、小野寺氏はこの安全保障調査会の顧問を務めている。

就任会見でも敵基地攻撃能力保有の検討を明言!予算面では「防衛費1%枠」にもこだわらない考えを示す!

 並々ならぬ執念を燃やす小野寺氏は、8月3日の大臣就任会見で、記者の質問に答える形で敵基地攻撃能力の保有を検討する意向を鮮明にした。

 「自民党の検討チームから、北朝鮮の度重なるミサイル発射に対する防衛強化の一環ということで提言があった。私はこのチームの座長で、安倍首相からも『しっかりと受け止める』との言葉をいただいている。これを受け、これから防衛省、自衛隊としてしっかりさまざまな提言を行っていく」

▲7月4日、朝鮮中央テレビが公開したICBM発射実験の際に撮影されたとする写真

 会見で小野寺防衛相は、「防衛費1%枠」にもこだわらない考えも示した。政府は1976年に、防衛費をGNPの1%程度に抑える(当時はGDPよりGNPのほうが重視されていた)方針を閣議決定した。この閣議決定は1986年に撤廃されたものの、その水準は今日まで維持されてきた。結果的に、こうした予算面での縛りも日本の「専守防衛」政策維持に貢献してきたとみられている。

 しかし、安倍総理は今年3月2日の参院予算委員会で、「安倍政権にはGDPの1%以内に防衛費をおさえる考え方はない」と断言。小野寺防衛相も就任会見で、「もともと1%枠というのはすでにない」と断ったうえで、「必要なものということが基本で、金額ありきではない」と述べた。こうした日本の防衛費増は明らかに米国、特にトランプ政権の要求に応えるものだ。

 敵基地攻撃能力の保有には、偵察衛星、無人偵察機なども整備する必要があり、それら費用には兆円単位の莫大な予算が必要であると言われている。社会保障費を削る一方で、敵基地攻撃能力の保有を考えた場合、「防衛費1%枠」になど、いちいちこだわっていられないというのが安倍政権の本音である。

「敵基地攻撃」が招くのは残存核戦力による容赦ない「報復」

 そもそも敵基地攻撃能力を保有したとして、実際に敵基地を攻撃しさえすれば、「北朝鮮の脅威」を取り除けると思っているのだろうか。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページよりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録

関連記事


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です