【ハイライト】「ガラスから遠ざかること、それ以外に打つ手なし」~ これがリアルの戦争で外交官の下した結論! Jアラートは北朝鮮製ミサイルに間に合わない!元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビュー 2017.6.23

記事公開日:2017.6.23 テキスト動画
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(文:林俊成 文責:岩上安身)

 安倍政権は本日6月23日から、北朝鮮のミサイルからの避難方法を紹介するテレビCMを放送する。放送期間は7月6日までの2週間で、在京民放の5局で放送されるそうだ。都議選のまっただなか、政府は露骨に北朝鮮のミサイルの脅威を宣伝し、あからさまに政治利用する。

 CMでは最初に、ミサイルが日本に落下する可能性がある場合、「Jアラート」で緊急情報が流れることを説明し、その後の対応として、物陰に隠れる等の避難行動を紹介するとのことで、政府はさらに、全国の新聞やインターネットの検索サイトでも、同趣旨の広告を掲載する予定だそうである。

 政府は各都道府県に対し、北朝鮮のミサイル着弾を想定した住民避難訓練をおこなうように要求しており、すでに秋田県男鹿市、福岡県大野城市、山口県阿武町、新潟県燕市などで政府共催の避難訓練がおこなわれている。また、7月20日には長崎県雲仙市で訓練がおこなわれる予定となっている。

 なぜ地方、それも県庁所在地でもない小さな自治体ばかりで避難訓練をするのだろうか?

 ミサイルが日本に向けて飛んでくるというのは、すなわち「戦争」状態であり、真っ先に狙われるのは、軍事基地、そして最も効果的にダメージを与えられる大都市のはずだ。仮に基地のない地方が狙われるとすれば、原発が第一の標的になるのではないだろうか?

▲IWJパワーポイント資料より(画像をクリックして拡大)

 そもそも核兵器や生物化学兵器の時代に、この「避難訓練」に現実的な効果があるのだろうか。

 考えてみればわかることだが、頭を手でおさえて畑でしゃがみ込むことで、ミサイルの直撃被害からまぬがれることなどありえない。そもそも北朝鮮がミサイルを発射して日本列島着弾までに10分。Jアラートは、これまで発射直後、着弾前のタイミングで警戒警報を発令できたことが一度もない。実際、そんな速度でミサイル発射を認知し、警報を出すことが物理的にできないのだ。現代は、B29によって空襲を受けた第2次大戦の時代ではない。

 実際に北朝鮮製ミサイルが頭上から降ってくるという体験をした人は、日本人ではほとんどいない。しかしそんな稀有な体験をした人がいる。外務省でイラン・イラク戦争当時、イラクに参事官として赴任していた孫崎享氏である。

■【孫崎享氏のリアルな戦場体験】
岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビューより

 当時、イランは北朝鮮からテポドンを買い入れ、対戦国のイラクに撃ち込んでいた。「日本大使館にも着弾するかもしれない、その時どうするか――。どうにもできない。せめてガラスのそばから離れよう」。これがリアルな戦場と化したイラクで、日本の優秀な外交官たちが議論の末、下した結論だった。

▲イラン空軍による防衛演習(WikimediaCommonsより)

 2017年4月22日に行われた岩上安身のインタビューの中で、孫崎氏は、この時のテポドン体験について生々しく語っている。日本政府のプロパガンダに煽られないために、事実をできるだけ多くの人に理解してもらうべく、この動画を、多くの人にすすめていただきたい。

 役に立たない「避難訓練」の励行や煽りCMを流す日本政府の狙いは、国民の命を守ることではなく、北朝鮮の「脅威」をやたらと煽り、北朝鮮に対する恐怖心や敵愾心を植え付けることにあると思われる。安倍政権には、「外国の脅威」を煽ることで、憲法9条の改悪、そして緊急事態条項の新設を含む改憲を進めようという狙いが強く感じられる。

 今国民に求められるのは、安倍政権のプロパガンダに惑わされて無意味な防空訓練に時間を費やすことではなく、冷静で理性的な思考である。また政府に必要なことは、国際協調と外交交渉により、相手国に「ミサイルを撃たせない」ことが一番の「防衛」だと腹を決めることだ。いたずらに国民の恐怖心を煽るな、と言いたい。

▲富山市小島町の防空演習(WikimediaCommonsより)

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