連日、安倍政権の足元を揺るがす森友学園、加計学園問題が世間を騒がせているなか、突如、始まった米軍によるシリア政府軍基地へのミサイル攻撃。あっという間に、その火種は地球の裏側の北朝鮮にまで飛び火しているようです。アメリカの(日本も含めて考慮した?)あまりの手際のよさに思わず唸ってしまいました。
1961年(昭和36年)4月12日、ソビエト連邦は、宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンを乗せたボストーク1号を大気圏外まで飛ばし、地球を108分かけ1周。無事、帰還に成功させました。それにちなんで4月12日は、『世界宇宙飛行の日』。世界各地でユーリーズナイトで祝うといいますが、こんな世界情勢では、それどころではありません。
この世界初の有人宇宙飛行ですが、あとになって数々の真実が明かされました。まず、国際航空連盟が、パイロットは、宇宙船と共に着陸しなければ公式な宇宙飛行とは認めなかったため、ソ連は機体とともに着陸したと公表しました。ところが機体にその能力はなく、ガガーリンは、なんと地上7km上空で脱出、パラシュートで帰還していたのです。さらに地球1周に1000kmほど足りなかったとも言われています。
また、ガガーリンの『地球は青かった』といった名言をご存知の方は多いと思います。これも実際は、『空は非常に暗かった。一方、地球は青みがかっていた』という発言を、当時の日本のマスメディアは、意訳し記事にしたといいます。そして『しかし、どこを見回しても神はいなかった』という言葉が続きますが、やはり作り話だったことがわかっています。
さらにアメリカ宇宙開発の父 ヴェルナー・フォン・ブラウンの影に隠れ、この偉業を成功させた宇宙開発指導者のセルゲイ・コロリョフも、当時のソ連が超秘密国家だったため、その存在はまったく表には出てきませんでした。
コロリョフは、ナチスドイツのV2ロケットを発展させ、R-7ロケットを設計。見事に世界初の人工衛星スプートニクからボストークでの有人飛行を成し遂げ、なんと2008年までソユーズに搭載した改良型が活躍したのです。
ところが、この有人宇宙飛行も、ソ連の対アメリカ攻撃用の大陸弾道弾(ICBM)の開発の一環だったというから、ソ連のしたたかさには驚かされます。
ガガーリンの世紀の大イベントもつかの間、キューバの共産化を懸念し、カストロ政権転覆を企てていたアメリカは、3日後の4月15日、キューバ空軍基地を爆撃しました。ところが制空権をとれず失敗。続けて17日、1400人の亡命キューバ人部隊がピッグス湾に上陸するもキューバ軍を前に、114名戦死、1189名が捕虜に囚われ、敗北してしまいました(ピッグス湾事件)。
そして両国間の対立の火は、くずぶり続けていましたが、ついに1962年10月14日、アメリカの偵察機が、キューバの首都ハバナから100km弱離れたサン・クリストバルを撮影したところ、ソ連製準中距離弾道ミサイル(MRBM)や中距離弾道ミサイル(IRBM)を発見。米ソ間の緊張が一気に高まり、核戦争へのカウントダウンのボタンが押されてしまったのです。
当時のアメリカ大統領は、ジョン・F・ケネディ。対するソ連はニキータ・フルシチョフ首相でした。息も詰まるギリギリの攻防の末、10月28日日曜、フルシチョフはミサイル撤去を発表。人類最大の危機を寸前で回避できたことは、『神は確かにいた』としか言いようがありません。
- 「核」のプロフェッショナルが「沖縄発の核戦争が勃発する直前だった!」というスクープの裏側を語る!~岩上安身によるインタビュー 第602回 ゲスト 共同通信編集委員・太田昌克氏(前編) 2016.1.8
そんな当時の世界情勢と、今も状況は似てきているのではないでしょうか。シリアを介した米朝の構図です。ただ、当時のケネディにもフルシチョフにも第二次世界大戦の悲劇は、心に刻み込まれていたはずです。しかし、トランプ米大統領やプーチン露大統領、金正恩最高指導者はどうでしょうか? 彼らに、世界が破滅するという深刻な危機感が、どれだけ共有されているでしょうか?
ないこともさも自分が体験したかのようにさせるのは、VR(ヴァーチャルリアリティ)だけではありません。人間には天賦の創造力が備わっているのです。大げさかもしれませんが、岩上さん以下、IWJスタッフ一同、(核)戦争という人類最大の悲劇をさせない、起こさせないために少しでも、創造力のエナジーになるよう日々、情報を発信していきたいと切に願ってやみません。