LINEの「既読スルー」だけでも成立してしまう!? 米国が日本に導入を迫るった真の理由は日本の情報をすべて手に入れ、法的にも「植民地化」すること!――海渡雄一弁護士インタビュー 2017.2.18

記事公開日:2017.2.24取材地: テキスト動画独自
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(取材・文:谷口直哉)

緊急特集 共謀罪(テロ等準備罪)法案シリーズ

※4月22日テキストを追加しました。

 犯罪の実行や準備がなくとも、計画しただけで罪が成立してしまう「共謀罪」。政府は、この「共謀罪」と趣旨が同じ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を3月21日に閣議決定し、国会に提出した。

 これまで、共謀罪は過去3度国会に提出されたが、犯罪を実行していない「話し合い」の段階でも処罰が可能となることから、捜査機関が恣意的に運用するおそれがあるといった批判を受け、いずれも廃案となってきた。

 安倍総理は3年後の東京オリンピック開催時のテロ防止を口実に、批判の多い共謀罪を「テロ等準備罪」と名前を変え、この法律の本当の危険性を誤魔化そうとしている。その証拠に、当初、政府が準備していた「テロ等準備罪」法案には「テロ」という言葉がひとつも入っていなかった。

 そのことに批判が集まると、政府は慌てて修正案を出し、処罰対象となる集団として「テロリズム集団その他」との文言を追加したものの、法案の目的にテロは追加されず、テロの定義も示されなかった。

 批判を避けるための対処策として、政府は「テロリズム集団その他」との文言を入れたと見られるが、この修正案でも、「その他」との文言を入れることで処罰対象を限定しないなど、捜査機関の恣意的な乱用や、一般市民が処罰対象になる危険性があることには変わりはない。

 政府は国連の国際組織犯罪防止条約を批准するために、共謀罪の整備が必要だと主張しているが、そもそも、政府はこの条約の交渉初期には、共謀罪の導入に反対していた。また、この条約はマフィアなど、国際的な組織犯罪を防止するためのもので、テロ組織はその対象となっていないという事実が十分説明されていない。

 そもそも現行法でも、爆発物使用や殺人などの重大犯罪には、共謀罪や予備罪・準備罪がすでにあり、テロ対策のためなら現行法や法改正で十分対応できるとの意見もある。

 このように、様々な問題が指摘され「平成の治安維持法」とまで呼ばれる共謀罪の危険性について、2月18日、日弁連・共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士に話を聞いた。

 IWJは共謀罪について「【緊急特集】共謀罪(テロ等準備罪)法案シリーズ」と題してシリーズ化している。ぜひ、これまでに掲載した記事もご一読いただきたい。

■ハイライト

  • 日時 2017年2月18日(土)12:00頃〜
  • 場所 東京共同法律事務所(東京都新宿区)

LINEも怖くて使えない!「既読スルー」で共謀罪が成立!?

 共謀罪とは、「人と人との意志が合致すること」を犯罪化する法律である。

 まだ、何も犯罪を実行していない段階でも、計画や相談・合意をしただけで、警察は逮捕や家宅捜索をすることができるようになる。犯罪の合意の段階で捜査ができるということは、実質的には内心の処罰であり、表現の自由が脅かされることにつながる。

 海渡氏はこうした共謀罪の危険性を、我々が日常的によく利用するコミュニケーションツール「LINE」(ライン)を例にとって説明した。

 「LINEというのは、共謀の道具としては非常に使いやすいと思うんですね。何かしようぜと言って、『うん』と言ったら合意であることは間違いないですけれども、何も言わずに、読んで『反対だ』と言わなかった人も共謀したことになると思うんです。いわゆる『既読スルー』(※1)というんですかね」

 「既読スルー」しただけで、取り調べや逮捕までされてしまうとは、まさに戦前・戦中の治安維持法の恐ろしさを思い起こさせるが、海渡氏はさらに驚きの政府答弁を紹介した。

 2005年、社民党の保坂展人衆議院議員(当時)の質問に対して、法務大臣が「目配せでも相手に意思が伝えられるかなと思います」と答弁し、はっきりとした合意がなくても「目配せ」だけで共謀罪が成立するとの見解を示した、いわゆる「目配せ答弁」だ。この政府答弁をふまえて、海渡氏はこう語った。

 「社民党の保坂展人さんの質問に(政府は)『目配せ』で共謀は成立すると言っていたんです。『目配せ』に比べればLINEの『既読スルー』はもっと明確ですよね」

(※1)既読スルー(きどくスルー):インスタントメッセンジャーのLINEにおいて「受信した内容を読んだにも関わらず返信をしないこと」を意味する俗語。

▲LINEのメッセージを「既読スルー」しただけでも共謀罪が成立!? (作図:IWJ)

密告・盗聴・司法取引――捜査機関の大幅な権限拡大で現実になる「監視プラス密告」社会の恐怖!

 「まさしく『監視』と『密告』ですよね。密告したもの勝ち!」

 海渡氏は、このように共謀罪が成立した後の社会を表現したうえで、実際にどのようなことが日本で行われるようになるのか語った。

 「共謀罪の特徴はAさんとBさんの意志が合致した段階で犯罪が終わりです。実際に犯罪が起きても、起きなくても共謀罪は成立してしまっている」

 「共謀してしまったら『犯罪をやめよう』と言っただけでは(罪を)逃れられないんです。警察にICチップなどの録音を持って行って、相手の人を処罰してもらうように密告する以外に逃れる手段はない」と密告社会の恐ろしさを指摘した。

 実際に、現在、政府が準備している「テロ等準備罪」法案には、密告による刑の免除が盛り込まれている。その上、2016年5月に成立した刑事訴訟法の改正案では、盗聴法の拡大と司法取引制度の導入が決まっている。

 密告・盗聴・司法取引――。今後、こうした手法を自由に使えるようになる捜査機関が、拡大された強大な権限を、はたして乱用しないと言えるのか?現段階の法案では、法律を拡大解釈できる余地が非常に多く、捜査機関が恣意的にこの法律をもちいる可能性は否定できない。

▲監視・密告社会の恐ろしさを語る海渡雄一弁護士

米国との非公式会合のあと、180度態度を変えた日本政府の謎

 2月7日の「サンデー毎日」の報道により、国際組織犯罪防止条約の非公式会合の内容を報告した機密公電の存在が明らかになった。

 当初、日本政府はこの条約交渉の中で、国内法を大きく変更しなければならない共謀罪の導入に反対していたが、米国政府・カナダ政府との非公式会合を境に態度を180度転換し、最終的に「共謀罪を設けないと条約の批准ができない」と主張するようになったと、海渡氏はこの記事の中で述べている。

 この非公式会合で何が話し合われたのか?海渡氏に改めて聞いた。

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“LINEの「既読スルー」だけでも成立してしまう!? 米国が日本に導入を迫るった真の理由は日本の情報をすべて手に入れ、法的にも「植民地化」すること!――海渡雄一弁護士インタビュー” への 1 件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「既読スルー」だけでも共謀罪は成立する!? 日本に迫る監視+密告社会の恐怖!海渡雄一弁護士インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/365265 … @iwakamiyasumi
    漠然と「共謀罪ってやばいかも」と思ってた人の目を覚ます具体的なお話。こんな社会冗談じゃないよ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/835080852933529600

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