【続報】福島県双葉町の女性は「こんな辛い思いを、私と同じ惨めな思いをさせたくない」~脱原発テント強制撤去に対する緊急抗議会見! 2016.8.21

記事公開日:2016.8.21取材地: テキスト動画
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(取材:葦澤美也子、記事構成:西原良太、文責:岩上安身)

※8月21日テキストを追加しました!

 2016年8月21日未明、原子力行政を所管する霞ヶ関の経済産業省前で脱原発を訴え続けてきた「脱原発テント」が強制撤去された。これを受け、同日午前9時からテント撤去後に設営されたバリケード前で、市民グループのメンバーらによる緊急の記者会見が開かれた。

 メンバーらは会見で、強制撤去の様子を詳細に語り、テント撤去を行った国側を痛烈に批判、今後も脱原発の意志を貫き、抗議行動を継続すると訴えた。以下、記者会見の内容を掲載する。

■ハイライト

■午前9時頃からの記者会見~

  • タイトル 脱原発テントの強制撤去がおこなわれた経産省前から緊急抗議記者会見と現地の模様
  • 日時 2016年8月21日(日)9:00頃〜
  • 場所 経済産業省前(東京都千代田区

強制撤去に居合わせた男性「10分間の間に『私物を全部撤去しなさい』というような命令」〜弁護士が来るまで待ってくれと訴えるものの一切聞き入れられず、写真を撮ることも許されなかった

 会見の冒頭、強制執行時にテント内にいた男性が撤去の流れについて説明した。

 「昨日土曜日の泊まり番でした。私のほかに4名が泊まり込んでいました。1807日目、3時40分、裁判所の方が5〜6名テントの方へなだれ込んできました。表の方には警備員ほか、経産省、警察含めまして、約100名がいたんじゃないかと思っています。その他、マスコミもあらかじめ連絡があったのかは知りませんが、テントの前に大挙して並んでおりました。

 3時40分、強制的に撤去作業が始まったわけですが、その前に、撤去の令状が出ていました。夜明け前ということで、特別な令状が出ていたということです。

 3時40分から50分の10分間の間に『私物を全部撤去しなさい』というような命令でした。私たちは『責任者2名、弁護士が到着するまで撤去作業は待ってくれ』と主張しましたが、一切聞き入れられませんでした。

 写真を撮ることも許されず、表の方に5名は押し出されたということです。全くの不当な強制執行じゃないかと思っております」

テントひろば共同代表の渕上太郎氏「今ここにテントはありません、だからと言って、私たちの脱原発の意思と行動が、変わることはない」

 続いて、テントひろば共同代表の渕上太郎氏が次のように述べた。

 「経産省は、日曜日の3時40分に突然やってきたという状況であったわけです。普通こういう仕事は平日にやるわけです。けれども、わざわざ日曜日の寝込みにやってきた。非常に卑劣で許しがたい行動である。

 そしてまた、この現場を報道する我々のツイキャスも許されなかった、という話もありましたが、それも含めて、非常にナンセンスな行動に経産省が出たということです。ただ少し特徴的なのは、国家権力そのもの、警察官とかが前面には出てこなかったということがあります。

 いずれにしても、本日で1807日目のテントを撤去した。2011年9月11日以来、脱原発、そしてまた東京電力や、それを推進してきた経産省の責任を問うて、ここに脱原発の旗を掲げてきたわけですが、これを撤去したということです」

 渕上氏はこのように経産省の対応を批判し、以下のように続けた。

 「今ここにテントはありません。だからと言って、私たちの脱原発の意思や、今後の行動が、重大な影響を受けるにしても、止めるなどということはありえない。この点は、国や経産省も、しっかりと、肝に銘じるべきだと思うわけです。

 裁判所で私たちの意見、要望は聞き入れられませんでした。今日の司法制度の中では、ある程度予測できることであり、今日の強制執行も、もともとある程度は予想していました。

 しかしこのことによって、私たちの脱原発の意思と行動が、変わることはない。私たちは、引き続き、経産省にものを申し、あるいは国にものを申して、脱原発の旗を高々と掲げて、今後とも頑張りたいと思います。

 私たちが5年間近くにわたって、ここで脱原発の旗を掲げこられたのも、決して、ここにいる数名の人たちの力によるものではなくて、それを支える全国、全世界の人たちの力があったということであります。この力に私たちは依拠しながら、それとともに今後の闘いを続けていくということを、さしあたりお誓い申し上げたい。

 テントがなくなった。テント自身は物理的なものです。したがって、物理的な力で平らにすることはできる。しかし、何度も申しますように、私たちの意思と行動力を、同じようにすることは絶対にできないのであります。

 私たちはこれから、全国の皆さんとともに、全世界の皆さんとともに、闘い続けることをお誓いして、私の一言としたいと思います」

経産省職員による会見の妨害!「国家は国民を守らない」がよほど気に障ったのか?

 会見中、「国家は国民を守らない」と書いた横断幕が掲げられた。それに対して現場を監視していた経産省の担当者数名が「横断幕を外してください」と大声を出して、記者会見を妨害。会見は一時中断された。

 東日本大震災と東電による原子力災害により、現在でもなお9万人以上もの福島県民が避難を強いられている。自民党は8月17日、福島県の「帰還困難区域」に市町村ごとに「復興拠点」を設け、5年をめどに避難指示を解除する方針を決めた。帰還困難区域は3種類の避難指示区域のうち、最も放射線量が高い地域であり、「放射線量が非常に高いレベルにあることから、バリケードなど物理的な防護措置を実施し、避難を求めている区域」とされている。避難指示が解除されれば、避難者に対する支援は打ち切られる。

 つまり政府は、放射線の影響について、安全性を保証しきれないにもかかわらず、避難者に対する支援を打ち切り、半ば強制的に帰還させしようとしているのだ。さらには「第二の福島」を生み出しかねない原発の再稼動を着々と進めている。

常に犠牲を強いられるのは一般市民であり、「国家は国民を守らない」という横断幕のメッセージは、原子力に関わる行政の姿勢の本質をついている。経産省はこの横断幕が、よほど気に入らなかったのだろうか。

▲「国家は国民を守らない」と書かれた横断幕

▲「国家は国民を守らない」と書かれた横断幕

原発を「トイレなきマンション」「おまる」に喩えて痛烈に批判!「馬鹿げた政策をする安倍政権、経済産業省、資源エネルギー庁、そして、それを推進する原子力規制委員会を、私たちは許すことができない」

 続いて、前日に福島で開かれた反原発議員市民連盟主催の「福島を忘れない全国シンポジウム」に参加し、現場に駆けつけてきた男性が話をした。

 「『福島を忘れない全国シンポジウム』に参加してわかったことは、全く福島は解決していない、まだ全然終わっていないということです。来年4月から始まる帰還政策に対して、帰りたい、帰りたいけど放射線汚染が進んでいる、5年間も仮設住宅で暮らしてきて、それなりのコミュニティができている、そんな中でどうするのか、一人ひとりがものすごく悩んでおられる。その話を聞いてきました。

 そんな状況の中で、経産省が私たちのこのテントを排除した。私は本当に許せません。

 東電はどうなっているのですか。あの事故の犯人である東電は、存続して、利益を上げ売り上げを上げ、そして柏崎刈羽原発を再稼働しようとしているじゃないですか。おかしいと思いませんか。

 絶対におかしいです。経産省はずっと嘘ばっかりついてきました。『原発は安全だ』とか、『原発が安い』だとか、『原発がないと電力が足りない』だとか、そして『原発はゼロ・エミッションでクリーンである』とか、『原発の原料であるウランは純国産である』とか、全て大嘘ですよ。こんな大嘘つきが、我々を排除したのです。

 私たちは、皆さんに訴えたい。形より心です。私たちの心をぜひ、全国、世界中に伝えてください。

 原発は絶対にやってはいけない。使用済み核燃料をどうするんですか。核燃料サイクルは全然上手くいっていないじゃないですか。こんな中で、使用済み核燃料は10万年以上も放射能を出し続ける、それの始末の仕方も決まっていない。『トイレなきマンション』なんて甘い物ではありません。

 おまけに、各原発の現地には、『トイレなきマンション』で言えば『おまる』に相当する、使用済み核燃料が積まれたプールがたくさんあるのです。そんな状態でまたますます原発を動かして、『おまる』に『うんち』を増やそうとしている。こんな馬鹿げた政策をする安倍政権、経済産業省、資源エネルギー庁、そして、それを推進する原子力規制委員会を、私たちは許すことができません。

 だからこそ、私たちはテントがなくなっても、引き続き闘争を続けます。経産省はずっと嘘をついてきている。そして今も嘘をついて実現不可能なエネルギー基本計画を立て、2030年代に原発をベースロード電源として20%から22%にしようとしている。こんな馬鹿げた政策をしている経産省に対して、私たちはずっとNo!と言い続けます」

福島県双葉町の女性「テントは何も悪いことをしていません、テントを撤去するなら、福島の第一原発を処罰してください」

▲福島県双葉町の元住民の女性

▲福島県双葉町の元住民の女性

 続いて福島県双葉町の元住民の女性が訴えた。

 「私は福島第一原発から1.2 kmのところに住んでいて、逃げてくるときも、何も持たない、本当に地獄の思いをしたのです。途中何回も『死んだほうがマシかな』と思いました。

 このテントがなかったら、自分は今ここにいません。テントの人に支えられて、ここに来た時には、何を聞かれても泣くことしかできませんでした。でもテントの人たちが支えてくれたんです。何にもない、お鍋もない、お箸もない、それもみんなテントの人たちが集めて私を支えてくれたんです。

 だから東電は憎いです。なぜかというと、私の第一の故郷は、東電に奪われたんですよ。そして私の心の中は、このテントの皆さんが私を支えてくれたから、(ここが)第二の故郷って言っています。

 この5年間、経済産業省は嘘ばっかりついています。東電(福島第一原発)の中、どんな風になっているかわからないと思います。

 経済産業省の人に聞きたいんですけど、第一原発、見てきましたか?見てきていないでしょう。どんな風になっているのか。今、汚染水も流れっぱなしですよ。3号機は中へ入ると、人間が即死するくらいの状態です。もう鳥も虫もいません。去年の10月半ばにお墓参りに行ったけど、鳥も虫も何もいません。どんなに辛い思いか。うちを表から覗いたら、動物に荒らされて、中は何もないんです。こんな辛い思いを、再稼働してまた私と同じ惨めな思いをさせたくないんです。だから再稼働反対なんです。

 (経産省の対応や経緯について)海外のメディア何社ともお話ししました。これを、海外の人たちもわかっています。どんな辛い思いをして逃げてきたのかも。日本はこんなのですかって。こんな辛い思いをさせるなんて。

 テントは何も悪いことをしていません。テントを撤去するなら、福島の第一原発を処罰してくださいよ。

 東電がなかったら私はここにいる必要はなかったんですよ。こんな苦しみをしなくてよかったんですよ。東電があんな風にならなかったら、双葉で普通の生活をしていました。ここにきて、この5年間どんな辛い思いをしたか。わかりますか。自分のものは何にもない。一度双葉に帰ったら、(家の中のものを)見事に泥棒がみんな持って行っていました」

 さらに女性は、原発の汚染水を封じ込めるために計画した「凍土壁」に350億円もの税金をかけた上に、全く成功する見込みが立たないことを批判し、現場を監視していた経産省の職員に対して次のように訴えた。

「あなたたちは責任とらないでしょう。税金を平気で使って。こんな辛い思いを二度とさせないでください。なんでこんな辛い思いをしなくちゃならないんですか。絶対経済産業省は嘘をつかないでください。

 なんで余所を見るんですか。こっち見なさいよ。私は腹が立って腹が立って、いますぐ双葉に帰りたいんです。今放射能が全然ないのであれば、飛んででも帰りたいのです。

 こんな良い故郷なんてないです。双葉は、緑がきれいで食べ物が美味しい、お魚も美味しい。なんでこんな惨めな思いをしなくちゃならないんでしょう。

 私は、一番憎いのは東電です。私の敵は、国と、東電と、経済産業省です。私は絶対、このまま身を引きません。最後の最後まで頑張りますから、皆さん、よろしくお願いします」

「テントは福島県からの避難者の声を受けて設立された」―脱原発テント共同代表の男性がテント設立の経緯について説明

 続いて、脱原発テント共同代表の男性が会見しテント設立の経緯について説明した。

 「5年前になりますが、経済産業省に原発問題について論議するための場所としてここを解放しろと、要求をしましたが、特定の団体には貸せないという理由で、認められませんでした。

 しかし半年後、9月11日にここに来て、正直なところ2週間も頑張ればいいほうだと思っていましたが、福島の方々が10月の末に、バス3台でこの場所に来て、『これはいい場所だ、ぜひ国民のために訴えるためにやりたい』ということで、3日間この場所を占拠したということが、このテントの出発点でした。

 それからすでに5年間になりますが、私どもとしては、『原発がなくなりさえすれば、いつでもこの場所を撤退する』と一貫して言ってきましたが、残念ながら、ご承知のように川内が再稼動し、伊方が再稼動するということで次から次におそらく再稼動させるだろうと構えております。

 私としてはとにかく原発を止めるという点で、ぜひ皆さんのお力添えをお願いしたい」

「あなたたちはどう思うのか」経産省職員に問いかけるも応答なし!

▲会見を監視していた経産省職員

▲会見を監視していた経産省職員

 最後に男性が経産省職員に対して「あなたたちはどう思うのか、ぜひご自身のマイクでお話ししてください」と問いかけたものの、職員からの応答は一切なかった。それを受けて男性は次のように述べた。

 「あなたたちは、国の行政を担って毎日仕事をされていると思いますけど、『相手の立場に立って考える』『相手の気持ちになって考える』この部分が全く欠落している。そう言った意味で、あなたたちの非人間性、私たちは残念ながら見つけてしまいました」

 そして、「テントはなくなっても、私たちの抗議は止むことはありません」と述べ、テント設立5周年にあたる9月11日の日曜日午後3時から経産省前でアピールへの参加を呼びかけた。

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