「全国から若者たちが集まってくれた。辺野古でもこの現象はなかった」――沖縄平和運動センター・山城博治氏インタビュー  2016.8.8

記事公開日:2016.8.9取材地: テキスト動画独自
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(取材:原佑介、阿部洋地、 文:原佑介、ぎぎまき)

※8月9テキストを追加しました!

 2016年8月8日、高江「N1裏」テント近くで行われた集会後、「ヒロジ」の愛称で知られる、沖縄平和市民センターの山城博治事務局長がIWJのインタビューに応じた。辺野古新基地建設反対の運動でも指揮を取り続けてきた山城氏は、那覇市から車で3時間という便の悪い山奥に、辺野古よりも多くの市民が大挙している現象に、「驚き、嬉しく思っている」と口にする。

 「県外から圧倒的に若者が押しかけてくるというのは、かつてない出来事。辺野古でもなかったことです。こういう現象が起きている背景は、インターネット中継による配信。どういう仕組みなのか、私たちの年齢ではついていけないが、全国から若者が結集したのは初めての経験。嬉しく思っています」

 県外から訪れる参加者の中には、沖縄が抱える基地問題について無関心だった自分を責め、「申し訳ない」という思いを口にする人も少なくないという。しかし、山城氏は次のように優しく反論した。

 「真摯に自分を見つめたり、社会事象について真剣に考えようとする人には、そうやって自分を責めてしまう人が多くいます。自分の責任を大きく感じてしまうんですね。でも、私はこう思います。真摯に向き合おうとする人たちがここに来なければ、一体、他の誰が来るというのですか、と」

▲沖縄平和運動センター・山城博治氏

▲沖縄平和運動センター・山城博治氏

 山城氏は続ける。

 「今日にも明日にも機動隊が来るかもしれないという緊張の中で、運動に慣れていない20代の若者たちが、自身の恐怖を乗り越えて来てくれる。長くやってきた我々には、新鮮に感じます。自分たちにもこんな時があったのかなと、初心に戻るようなね」

■山城博治氏インタビュー

  • 日時 2016年8月8日(月)
  • 場所 沖縄県東村高江

「政府権力の暴力をここまで炙り出したのは、沖縄の運動のカッコつきの成果」

 「N1表」に設置されていたテントを撤去し、県外から投入された500人規模の機動隊が市民らを強制排除した7月22日、躊躇ない暴力に晒された市民の中から3人が、肋骨を折られるなどし、緊急搬送されている。その様子はテレビでも放送され、ネットでは猛スピードで拡散された。

 山城氏は、こうした国家権力による暴力は通常「オブラート」に包まれるはずだが、沖縄の場合は「暴力がむき出しになっている」と話す。

 「ここの課題は、根源的な問いを発していますよね。単に『基地建設』というワンイシューではなく、どんなに県民が総反対しても、押し付ける。しかも、ありえないような警察の暴力。

 膝で体を押さえてあばら骨を折るし、首にひもが巻き付いていても、かまわずひっぱって失神させる。(7月22日は)あらゆる暴力を使っての排除でしたね。県民世論を押しつぶし、具体的に座り込む人を抑え込む。

 国家がタガを外した。タガが決壊して暴走し、国の暴力がむき出しになった。

 国を最後に守るのは警察や軍隊でしょうが、普通はオブラートに包まれているはずのもの。その局面は、できるだけ見せないようにするのが賢いやり方です。しかし、沖縄には適応されない。むき出しの暴力が市民を襲っている。

 政府権力の暴力をここまで炙り出してしまったのは、沖縄の運動が持っている一面です。今、高江に振り下ろされている暴力は、自分たちが作り出してきた、ある意味、かっこつきの成果。そのことをどこかで自覚している。勇気をもって向かわなければならない。ここで腰砕けになり、散るのであれば、何のためにがんばってきたのか」

運動が長引けば参加者の人数は減少する「現地に行こうと呼びかけてほしい」

 「N1裏」テントの撤去期限とされた8月5日を目指し、全国から多いときでは1000人の市民が集まったが、今後、運動が長引くにつれ、参加者の数が減少していくと見られる。山城氏は、今の緊張感をどう維持していくかが課題になる、と指摘した。

 「今週いっぱい、動きがなかったら、気が緩むのは当たり前。それを想定しながら、緊張感をどう維持するかが、これからの課題でしょうね。先週の金曜日から週末にかけて、そして月曜までの大結集はほんとにありがたかった。

 それを維持するのは至難の業。これからの課題です。ぜひ、ネット配信で(高江の状況を)見てもらって、ここにいる人たちと代わる代わる交代して、現地に行こうと呼びかけてほしいです。私も沖縄県民として、県民に向かって呼びかけていきます」

「在特会も米軍基地も同じ。弱いものに押し付けて、踏みにじることは許せない」

 山城氏のインタビューの前、午後6時から、「N1裏」テント近くで集会が開かれた。県外から来た市民が入れ替わりスピーチし、ヘリパッド建設工事の反対運動に参加した思いを語った。

 普段は関西で反レイシズム運動にたずさわっているという大阪の女性。涙ながらに胸の内を話した。

 「もともと関西で反レイシズムの運動に関わっていて、そこから色んな人たちとつながり、辺野古や高江に関心を持ち、自分も来なければいけないと思いました。在特会も基地も似ている。弱いものに押し付けて、踏みにじることが同じ。許せないと思います」

 SEALDs TOKAIの女性もマイクを握り、温かく迎えてくれた高江の人々に感謝の思いを伝えた。

 「私は明日で帰ってしまいます。この間、ずっと皆さんと過ごして、とても温かい場所だと感じました。沖縄の問題は私たちにも責任があります。来ることをためらうくらいですが、それを現地の人は、仲間だよと受け入れてくれて嬉しかったです。ここは私の居場所でもある。だから絶対に守りたい。

 ここで続いた運動をずっと引き継いでいかなければいけないと思います。それは沖縄だけではなく、日本で起こる問題に、当事者ではなくても自分のことだと感じて、自分で動く。私はそれをこれからもずっと続けていきたい。

 今、高江には全国からの注目も集まっています。今日、ヒロジさんの動画をSNSで発信したら、1500人以上の人がすでに見てくれました」

 最後、沖縄の抗議行動には欠かせない歌と踊りで集会は散会。「明日があるさ」を合唱し、参加者全員が手をつないで歌って、踊った。

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