【速報!】「現場で何が起きているか知りたかった」安倍昭恵・総理夫人が沖縄・高江を訪問!~新ヘリパッド強行建設工事に反対する市民からは戸惑いの声――IWJが追ったその一部始終 2016.8.6

記事公開日:2016.8.7取材地: テキスト
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(原佑介)

特集 高江ヘリパッド
※2016年8月6日深夜段階のツイートを並べて掲載しています。ご承知おきください。

 8月6日18時45分頃、沖縄高江のN1裏テントを、安倍総理大臣の妻である安倍昭恵夫人が突如、訪問。カメラマンなどのスタッフを伴った三宅洋平氏がアテンドした。日頃からテントで新ヘリパッド建設に反対している住民らからは、怒りや戸惑いの声が多く上がった。

 昭恵夫人らは、テント内部を視察。テントの住民らには「撮影NG」の旨が伝達された。安倍総理にも内密で訪問にきたこと、本来、市民メディアなどの中継を受け入れるつもりだったが、テント付近に大手メディアの中継車が停車していたことなどを警戒したという。

 テント内を案内した男性は、「安倍さんの奥さんも我々の仲間になれると思います」と歓迎。「我々は平和を目指す仲間として、辺野古、高江に軍事基地を作るのは反対という立場。課題はありますが、それを乗り越えたい」と語った。

 案内した男性は、「今日は昭恵さんのほうから挨拶はなしということで」と話すと、「聞きたくねぇよ」と投げかけるテントの住人も。案内した男性はさらに、昭恵夫人の訪問は、三宅氏のほうから、事実上のテントの代表者である山城博治氏に話を通していると説明した。

 山城氏は昨日からの徹夜の泊まりこみで疲労が溜まっていたため午後には帰宅。案内の男性は「ヒロジさんに『代行を頼む』と言われた。公的にお招きはできないが、一般参加者が見学するのを拒んではいけない、ただ見学するだけである、という趣旨だ」と続けた。

 三宅氏は「ツイッターなどでの発信は、僕らサイドで、オフィシャルに慎重な情報出しをしてからでお願いします。また誤解を生みかねない。もちろん、皆さんの自由ですが」と訴えたが、テント参加者には「なぜ一方的に?」と疑問を持つ人も多数いた。

 テントの女性は、昭恵夫人に「オスプレイが高江の森にやってきたせいで、眠れずに避難している子どもたちもいるんです私たちはお金もいらないし、子どもたちが幸せに生きる世の中にしたいだけなんです。安倍さんにも伝えて下さい」と語りかけた。

 昭恵夫人は、神妙な面持ちで「(安倍総理に)伝えます。こうして率直な意見を聞く機会がないのでここに来たんです」と応じた。昭恵夫人らは、約15分の滞在でテントを後にした。

 昭恵夫人はテントを訪問した理由について、次のように説明した。

 「『標的の村』という映画を洋平さんに紹介してもらって、それを観て、私は全然高江のことを知らなくて、知らないことは自分の目で確かめたいと思う性格なので、現場を見て、何が起きているか知りたかった」

▲(右から)安倍昭恵夫人と三宅洋平氏

▲(右から)安倍昭恵夫人と三宅洋平氏

 さらに、テントを見た感想については、次のように語った。

 「(政府は)もっとキチンと住んでいる人たちの思いを汲みとって、説明をするべきだったという気はしています。私も今日、来たばかりなので考えたい。私が決められるわけではないですが、皆さんのお話をもう少しうかがいたい」

 平和運動センターの事務局長・大城悟氏は、次のように語った。

 「山城さんの了解をもらっていたのはわかりますが、私たち県民は、当然、怒りを覚えているわけです。総理が高江でやっていることには反発をもっている。その夫人に、現場としては強く抗議したいと思っている。本当は連れてきてほしくなかったと現場は思っています。そういう思いがあることはわかってもらいたい。中で撮影もされていたが、それは一切、公に出さないでください。何の許可もないし、私たちのプライバシーもある」

 大城氏の言葉を受けた三宅氏は、次のように語った。

 「わかりました。断っておきたいのは、僕が連れてきたのではない、彼女が自分の意志できたんです。『標的の村』は観せました。それを観て、感じるものがあったのでしょう。すごく苦しんで、『自分なんかが現場に行って迷惑かな、混乱を生むだけでしょうか?』と相談されました。

 僕は、『現場の人に話は通します』とお伝えしたんです。僕自身、事前に公表すべきか…でも旦那にも内緒で来るというから、公表するわけにはいかない。『受け入れられない人もいることはご理解いただけますよね?』とも話しました。昭恵さん本人は『正々堂々きたい』と言っていた。

 山城さんに尋ねたら、『あまり大仰に来られては混乱も起きるだろうから、スッと来て、テントの中で私が説明するのは構わないよ』という返答だったんです。

 撮影に関しては、僕はメディアコントロールとかしたくないので、オールフリーしかないと思っていたが、現場に着いたらマスコミの車あって、彼女がナーバスになってきて、俺も慌てて、テントでも適切なことは言えていないと自覚しました。

 ひとつお聞きしていいですか? この場所と運動は、どこまで開かれているんですか?『高江に来てください』と不特定多数に呼びかけながら、『お前は来るな』というのが、存在するのか、ギリギリのラインじゃないですか。本当に何もなく一人で来たらどうしますか?」

 大城氏は反論した。

 「一緒だよ。総理夫人が、一般の国民の同一とは常識的に考えてならないと思います。多くの県民はそう思います。総理夫人がここにくることは当然、拒否しますよ。何の目的で来たのか? 『沖縄の基地の整理縮小に頑張っています』とでも言いに来たんですか?

 時期やタイミングもある。先月(7月)22日、全国から500人の機動隊を投入し、公権力を弾圧と暴力に変えて…そんなことをした国の総理夫人です。そんな時期に『本当に多くの方が反対しているのか情報がないので来ました』…。私たちが『どうぞ』と言えるか!」

 沖縄で平和運動に取り組んでいるKEN子氏も、戸惑いを隠せずにこう述べた。

 「この出来事を少し遠くから見ていた友だちは、抗議行動で頚椎捻挫したり、海保にやられたり…そういう思いをしてきた。よく殴らずに非暴力で繋げてきたと思う。被害にあった友だちらが昭恵夫人を引き止め、『おい!』と迫ることもできた。

 でも、もしここで暴走して昭恵夫人に手でも出せば、運動は終わり。被害を受けた友だちが小声で『なんで誰も何も言わねぇの?』って言っていたのを聞いて、『ごめんなさい』と思った」

 ここから、三宅氏とKEN子氏、大城氏の激論が繰り広げられた。

三宅氏「それをどうにかしたいじゃん」

KEN子氏「すぐにできることと時間を重ねないといけないことがある」

三宅氏「今すぐどうにかしないといけないんじゃない? 一縷の希望を賭けたんだよね」

▲三宅洋平氏

▲三宅洋平氏

 やりとりを見ていたテントの住人らからは、「じゃあ工事が明日止まるのか!?」「無責任だ!」「身体張ったことあるのか?」「わかってないよ、貴方は。急に来て、現場を見ていなくて」という声が上がった。

 三宅氏はさらに述べた。

 「やっぱり、工事を止めさせるように働きかけるきっかけを作りたいんだよ。現場で長く携われる人間と、そうじゃない立場で動く人間、両方必要。もっと現場に来いよ、っていうのはすべての現場の人が思うこと。俺は、各地各地に行きながら伝えていきたい。『信頼関係』というけど、俺としては筋道として、最低限まず、現場の責任者のヒロジさんに相談し、了承をもらったうえで昭恵さんは来た」

大城氏「わかっています。山城さんの了承がなければ、我々は全力で抗議したでしょう」

KEN子氏「怒りの理由はわかっている?」

三宅氏「わかっている。だから昭恵さんも何日も前から心配していたし、でも昭恵さんが来るかどうかを決めるのは俺じゃない」

KEN子氏「連れてきた責任は伴う。アテンドがなければ来られない」

三宅氏「そうだね」

KEN子氏「今日みんなが我慢していたのは、ヒロジさんが我慢したから。あと、機動隊の前で揉めごとをしたくないというのもある。みんなが怒りのコントロールができていた。現場を知りたいなら、他にもまだ方法があったはず」

参加者の男性「スカーっとテントにカメラと一緒に入ってきた、あの15分が何かに繋がるとは思えない。カメラもきて、やっぱり一般市民じゃないよね。みんなギョッとするよ。俺らはみんなテントに最初に来て、まず自己紹介する。昭恵さんもそうであれば、確かに希望になるかもしれないが、あの感じで来るべきなのか?」

三宅氏「最初は区長さんに会うか、婦人会の皆さんに会うか、という段取りもトライしたんだけど、今、色んな意味で、まさに感情が全開になっている時期だから、それは見送ろうという結論になった。でも落ち着いてからというのも違う。今日明日どうなるかという中で…。

 ちょっとでも昭恵さんの感情的に揺らぎが起きて、何か国の内部に働きかけをしてくれないか、そういうチャンスかもしれないと僕は思ったから…」

大城氏「本当に昭恵さんにそういう思いがあったら、もっと早くに行動を起こすべきなんですよ。『明日にでも…』と言うけど、ここまでこんなことしておいて…」

三宅氏「それ、昭恵さんがやっていることじゃないじゃないですか」

大城氏「総理夫人だ。そういうことになるでしょ」

三宅氏「僕も最初はそう思っていました。でも昭恵さんに三度会って、本当に情報が偏っていたり、マジで旦那と考えが違う中で葛藤していると感じたから、ズルさじゃない部分で動いていると思った。じゃないと『来る』って言わないし、彼女もリスクを承知していた。旦那に工事をやめろって言ったからって何かが働く状況でもないし…」。

KEN子氏「でもそこに期待したのでは?」

三宅氏「期待しないでしょ。だったら政治の構造がわかってなさすぎる。そもそも安倍総理が『やめろ』と言ったって止まらないくらいの話。20年前からのロードマップに従ってやっている。安倍総理が全部決めてスイッチを押しているのではない。自民党や政権という組織が持っている思想や構造の問題では?」

大城氏「誰がこの沖縄で基地強行してるの? 自民党の誰だという話じゃないでしょ。日本政府が、特にこの辺によく関わっているのは知っての通りだよ。なぜ95年の海兵隊撤退まで検討して、なぜ未だに駐留しているのか…」

三宅氏「自衛隊の配備まで視野に入れた基地建設をしていると思う」

KEN子氏「私は洋平がやっていることに矛盾があると思う。安倍昭恵を連れてきたのは総理の夫人だからでしょ?」。

三宅「旦那というよりは、内部的な世界、彼らが思い至っていない視点を彼女が持ち帰ってくれると」

テントの女性「テント以外になかったのか。昭恵さんの政治に利用されただけではないでしょうか?」

三宅氏「『テントに来たい』とは、俺も昭恵さんも言っていない。『現場を見たい』とヒロジさんに相談したら、『こっちに連れてくれば案内する』って言われた」

大城氏「現場は怒っていたと、山城さんに伝えてください」

三宅氏「みんなで話し合いましょう」

大城氏「山城さんの了解があったとはいえ、実際にテントに入ったことは許せない」

男性「話を聞いてわかったのは、あなたは何十年間も虐げられている沖縄の人の気持を、あまり理解していない」

三宅氏「完璧にはわかっていないが、ないちゃーの中ではわかっていて、そのために動いていて、ヤマトの人たちにも声をかけ続けていると思う」

 議論は1時間以上も続いたが決着はせず、時間の都合上打ち切られた。

三宅氏「お騒がせした部分はすみません。自分の判断ややり方が全部あっていたとは、毛頭思っていません。ただ、話してくれてありがとうございます。もう一度納得いくまで話させてください」

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  1. 西遠寺 透 より:

    安倍昭恵さんは以前2004年の映画「ホテル・ルワンダ」を鑑賞し、ラジオ番組でルワンダ虐殺を映画で語ろうとして、アフリカから日本に来て現実を知る出演者に強くたしなめられたことを記憶しています。映画と現実とは当然違います。

    今回の件は安倍昭恵さんの行動の是非にかかっています。あいだを取り持った三宅洋平さんの強烈な個性と有名人がもつ「いい加減さ」が、安倍さんには寛容的な態度と映ったのかもしれません。
    記事を拝読すると、安倍昭恵さんは、「賛成か反対かは直江を観てから決めるので保留、でもやっぱり東京に戻ったら賛成」であると思います。ぜひ検証しましょう。

    ちなみに「アベ政治を許さない」と書かれたプラカードを持って安倍晋三さんの演説を聞いた一女性が、安倍総理支持者に小突かれる映像を最近みました。

    安倍昭恵さん、そして三宅洋平さんは、現地で懸命に頑張る人々の許容に身をゆだね、自分たちが皆さんの気持ちの限度を試す「挑発的態度をとっていること」に気付いてほしいと思います。
    すでにお気づきなほど底意地は悪くなさそうですね。

    1. 西遠寺 透 より:

      上記コメントで高江の地名を間違えましたので、お忙しいところ恐縮ですが削除おねがいします。

  2. 西遠寺 透 より:

    安倍昭恵さんは以前2004年の映画「ホテル・ルワンダ」を鑑賞し、ラジオ番組でルワンダ虐殺を映画で語ろうとして、アフリカから日本にきて現実を知る番組出演男性につよくたしなめられたことを記憶しています。
    三宅洋平さんの強烈な個性と有名人ゆえの緩さが、安倍さんには寛容的な態度と映ったのかもしれません。
    記事を拝読すると、安倍昭恵さんは、「賛成か反対かは観てから決めるので保留、でもやっぱり東京に戻ったら賛成」であると思います。ぜひ検証しましょう。

  3. 黒門町伝七 より:

    例え、ファストレディの訪問が有ろうと、あの国が一度決めた事を翻す事は考えられないが、現地の住民にとっては責めて、内地の人々に高江ここに有りとの印象は与える事は出来る、明治以来悔しい思いの連続に内地の者として、何も成す事が出来ない事に誠に無念さを覚えるが、どうか命尽きるまで長生きをして頂きたい、所詮は強者が支配するこの地球、弱者はただただ耐え凌いで居なければ成らない人生、攻めて念仏を唱えブッタの元えと、行ける事を願うのみ

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