「市民運動は超党派でゆるやかな団結ができている。野党がついて来られるのか、それが最大の懸念」 〜市民運動家らが野党共闘を語る 2015.11.27

記事公開日:2016.1.10取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ)

※1月10日テキストを追加しました!

 「5月3日、横浜の憲法集会の壇上では、民主党の長妻昭代表代行は、他党議員と手をつながなかった。だが、今では各野党の議員同士が手を離さないくらい、協力が進んでいる」と高田健氏は話した。

 2015年11月27日、東京都の板橋区立文化会館で、「一点共闘から政治変革をめざす共闘への発展に関するシンポジウム」が開催された。経験豊かな3名の市民運動家を招き、野党共闘や市民グループとの連携をどのようにするべきか、意見を交わした。共産党が提唱している国民連合政府については、同党の市田忠義参議院議員が、現在の状況などを具体的に説明した。

 許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健氏は、「産経新聞は、世論調査では安保法案反対デモの参加者は3.5%(1億人の比率で350万人)に過ぎず、参加を望む国民は20%(同2000万人)だった、とネガティブな視点で書いたが、それはむしろ、すごいことだ」と述べ、今回のデモ行動の注目すべき点は、徹底した非暴力であり、それにより、多くの人たちが参加できるようになったことだと評価した。

 首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフ氏は、「市民運動の方では、超党派でゆるやかな団結ができている。そこに、野党がついて来られるかが最大の懸案事項だ」と語る。その上で、(国民の中には)共産党アレルギーもあるので工夫が必要だとし、「国民連合政府は、まだ理想」との厳しい意見も発した。

 「オール沖縄の闘いは、鈍角的な闘いだ」と発言したのは、沖縄革新懇代表世話人で弁護士の仲山忠克氏。「鋭角的な闘いは、鋭いかもしれないが、カミソリの刃は及ばず。戦後70年間、沖縄は米軍権力と対峙してきた。その経験から、沖縄県民は非暴力の闘いが有効だと身をもって学んだ。それがオール沖縄に引き継がれた。憲法9条の精神が、沖縄の闘いの本質だ」と熱く語った。

 市田議員は、「今は、立憲主義、民主主義の根幹に関わる日本の非常事態。そういう時に、政策などで他党と競う猶予はない」と明言。国民連合政府構想について、「各政党の相違点は横に置き、調整できるところだけに手をつける」と話した。

 さらに、「日米安保条約にかかわる問題は凍結する。国民連合政府として、安保廃棄に向けた措置はとらない。万一、国民連合政府下で、有事、緊迫不正な侵略を受けた場合は、これまでの条約と法律の枠内で対応し、自衛隊も活用する。こういう原則で政策調整を図れば、野党共闘は可能だ」と強調した。

記事目次

■ハイライト

  • タイトル 一点共闘から政治変革をめざす共闘への発展に関するシンポジウム
  • 日時 2015年11月27日(金)13:00〜16:20
  • 場所 板橋区立文化会館(東京都板橋区)
  • 主催 東京革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす東京の会)(詳細

安保法案反対デモ「参加したかった」国民が全体の20%

 司会の東京革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす東京の会)事務局長の今井文夫氏が、「野党共闘で、打倒・安倍政権のために、何が求められるか、意見を交わしたい」と述べ、まず、総がかり行動実行委員会(戦争をさせない1000人委員会・解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会・戦争する国づくりストップ! 憲法を守り・いかす共同センター)共同代表を務める、高田氏から報告を始めた。

 「安保法が成立してしまい、忸怩たる思いだが、私の周辺の人々には挫折感や敗北感はない。打ちひしがれている暇がない、ということ。そして、今回の闘いを通して、まだまだやれるという確信を持ったからだ」

 そう語る高田氏は、「各団体の共同体制が、この1〜2年で作れたことは画期的だ」と胸を張る。「産経新聞は『(安保法案反対の)デモ参加者は3.5%(350万人)のみ。参加を望む国民は20%(2000万人)』とネガティブに報じたが、それはむしろ、すごいことだ」と言い、今回のデモの注目すべき点は徹底した非暴力であり、それによって、多くの市民がデモに参加できることになったと評価した。

 そして、戦争法を阻止することで野党各党の意見が一致したことを率直に喜び、「5月3日、横浜での『5・3憲法集会』では、民主党の長妻昭議員は他党の議員と手をつながなかった。しかし今では、各政党の議員同士、手を離さないくらいに協力が進んでいて、こちらも励まされる」と語った。

 高田氏は、「地方でも、市民団体の共闘の枝葉が伸び始めている。中心を求めずに、ゆるい横のつながりで、ここまできた」と振り返り、さらなる躍進を願って、同団体が押し進める2000万人署名を、2016年4月までには成し遂げたいと力を込めた。

反対の意志をデモで可視化、政府にプレッシャーをかけ続ける

 2007年から非営利団体「NO NUKES MORE HEARTS」を立ち上げているミサオ氏は、東日本大震災を期に他のグループも集まり、現在の首都圏反原発連合を結成したと説明。「反原発」を掲げて、2012年3月末から首相官邸前などで開始した週1回の抗議行動は、現在までに170回を数えている。市民運動のピークは2〜3ヵ月、と冷静に分析するミサオ氏は、「しかし、デモをやることで反対の意志を可視化して、政府にプレッシャーをかけ続ける」と語った。

 市民運動の連帯についてミサオ氏は、原水禁(原水爆禁止日本国民会議。総評、旧社会党系)と原水協(原水爆禁止日本協議会。共産党系)の分断に疑問を持ち、国会議員に尋ねたことがあるという。その議員は、双方とも歴史が長く組織が固まっているから、簡単にはまとまれないとした上で、「しかし、無党派の市民グループが双方に声をかければ、協力する可能性はある」と応じたという。

 「その言葉を思い出し、2012年に平和フォーラムを開催する際、原水禁が関わる『さよなら原発1000万人アクション』と、原水協の『原発をなくす全国連絡会』に声をかけて、共催を実現できた」

 政府の第4次エネルギー基本計画では、原発をベースロード電源と位置づけている。ミサオ氏は、「細川護煕元首相が原発に懸念を抱き、東京都知事選(2014年2月9日投票)に立候補した。安倍政権はそれを見て、いったん原発をベースロード電源にする案を引っ込めた。だが、細川氏が都知事選で負けると、2014年4月に基本計画を閣議決定した」と述べ、「なぜ、当時、オール沖縄のようにできなかったのか」と悔しさをにじませた。

 国民世論の7〜8割は脱原発に賛成していると言うミサオ氏は、「しかし、安倍政権のもとでは原発は止まらない。そのため私たちは、SEALDsなどの他の市民運動と連帯する。なぜ、総がかり行動実行委員会と連携しないのかという苦言もあるが、趣旨は共有しており、メンバーも重なり、足並みは乱れていない。すでに、市民運動は超党派でゆるやかな団結ができている。そこに野党がついて来られるかどうかが最大の懸案点だ」と語った。

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