「改革勢力の結集」という理念はどこへ カネと看板をめぐる前代未聞のゴタゴタ! 内紛勃発の維新の党で今、何が? ~岩上安身が維新の党・松木謙公衆議院議員に緊急直撃インタビュー 2015.10.22

記事公開日:2015.10.25取材地: テキスト 動画 独自
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(記事構成:平山茂樹)

※10月25日テキストを追加しました!

 「橋下徹さんという人は、こんな人だとは思わなかった。ちょっと、常軌を逸しているとしか思えない」――。

 集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法案を巡り、「嵐」が吹き荒れた今年の通常国会。「採決の強奪」とも言える強引な手法で安保法案を「可決・成立」させた自民・公明の与党に対し、国会閉幕の直後から、国民の間では野党に共闘を求める声が上がっている。

 しかし、こうした国民の期待の声に水を差す事態が勃発した。維新の党の分裂騒動である。

 橋下徹大阪市長は、10月1日、維新の党から大阪系の議員が分離独立して作る「おおさか維新の会」の設立を宣言。今後、国政政党となることを目指して活動すると一方的に宣言した。

 これに驚いたのが、松野頼久代表が率いる維新の党執行部だ。執行部側とすれば、このような突然の分党は当然認められるものではない。これに対し、大阪系の議員が新執行部の選出を目的とする臨時党大会の開催を要望すると、現執行部は大阪系の議員163名を除籍処分とした。

 ここで問題となるのが、維新の党に配分される政党交付金の行方である。10月20日、6億6000万円の政党交付金は、維新の党の口座に予定通り振り込まれている。しかし、その口座の通帳と印鑑を、大阪系の議員が大阪の事務所から外に持ち出せないようブロックしてしまっているのである。この6億6000万円は、現在、銀行によって凍結されている。

 この通帳と印鑑を大阪系の議員から奪取すべく、東京から大阪に乗り込んだのが、2014年12月の衆院選で維新の党から立候補して当選した松木謙公衆議院議員だ。松木議員は大阪の事務所で、大阪系議員の一人である井上英孝衆議院議員らと交渉したが、通帳と印鑑を取り戻すことはできなかった。

 この、突然にも見える維新の党の分裂騒ぎ。しかしこの動きは、既に7月の段階から橋下氏側によって仕掛けられていた。橋下氏は7月4日、大阪系の議員に対し、「いつでも自立できる準備をしておくように」と国政政党化への準備を指示。松井一郎大阪府知事も同様の動きをしていたことが明らかとなっている。

 橋下氏が維新の党の分裂を画策した背景として、新代表戦で松野頼久現代表に対して勝算がなくなったから、という見方がある。この間、維新の党は関西地区での党員拡大に失敗していた。逆に、党員拡大に成功していたのは、現執行部側である。松木議員は、地元である北海道を中心に、新しく1万人もの党員を獲得している。いざ代表選となった時、橋下氏は松野代表に勝てないと見て、党を割る戦略に打ってでたのではないだろうか。

 「こんなことになってしまい、支援者の方には本当に申し訳ない」と語る松木議員。今回のゴタゴタで、維新の党が国民の支持を失ったことは間違いない。

 なぜ、維新の党はこれほどまでの混乱に陥ってしまったのか。そして、政界引退を表明しているはずの橋下徹大阪市長の思惑とは何か。10月22日、岩上安身が松木謙公議員に緊急直撃インタビューを敢行した。

■イントロ

  • 日時 2015年10月22日(木) 17:30~
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)

政党交付金が振り込まれる通帳と印鑑の引き渡しを求めて直談判したが、大阪系の議員らにより拒否 「松井一郎さんと橋下徹さんがとにかくケンカ腰なんでしょ」

▲岩上安身のインタビューに応じる松木謙公議員
▲岩上安身のインタビューに応じる松木謙公議員

岩上安身(以下、岩上)「本日は、維新の党の松木謙公衆議院議員にお話をうかがいます。今、維新が何かゴタゴタしているらしい、ということまでしかご存じない方もいると思うのですが、今日は松木議員に維新内部が今、どうなっているのか、という点についてお話をお聞きします。

 今、政党交付金が振り込まれる銀行口座の通帳と印鑑を、維新の党を除籍された大阪系の議員が死守している状態にあるのですね。それを松木議員が、10月16日に引き渡しを求めて直談判に行った、と。しかし、大阪系の井上英孝衆議院議員らに拒否された、ということですが」

松木謙公議員(以下、松木・敬称略)「基本的には、私もこの党に入ったばかりで、1年も経っていないんですよ。誰が好きとか嫌いとかいうこともないですし。だから、自分が行くのがいいだろうということで、行ったわけです。

 そこには井上君がいたんですが、別に罵り合いのようなことにはなっていないですよ。でもまあしかし、『返してくれなきゃダメだぞ』と言ったら、『いや、まだ党を出ると決めたわけじゃないんですよ』と。それだったら、『戻ってくればいいじゃないか』という話なんですけど…。

 大阪府知事の松井一郎氏と大阪市長の橋下徹氏が、とにかく喧嘩腰なんでしょ。彼ら(井上議員ら)としたら、もう付き合うしかないんでしょ」

岩上「橋下氏は、もうお辞めになられる方で、かつ政界も引退すると発言しています。その方が、これだけの影響力を行使できるものなのでしょうか?」

松木「僕は19歳からこの世界でやっているんですけど、今までにこういう揉め事は経験したことがないですね。いい加減にしろよ、という話ですね」

事態収拾のため、橋下氏、松井氏、松野氏、江田氏の4人で話し合いをするべき!

岩上「10月21日、橋下氏の新党に参加する片山虎之助議員が、維新の党の小野次郎議員ら執行部5人について、参院の会派からの離脱を要請し、これが参院で受理されました。これにより、参院は執行部側が無所属となる一方、除籍された片山議員らが会派に残る異常事態となりました」

松木「わけが分からないですね」

岩上「この片山さんが、密使のような役割を果たした、と」

松木「そうそう。松井知事が、『馬場信幸議員と片山議員に任せた!』ということを言った、と。そもそも、『党を作ったのが俺たちだ!』というのなら、橋下氏と松井氏が出てきて、江田憲司氏と松野頼久氏の4人で、話しあいをすればいいわけです。そうしたら、『俺たちは辞めた人間だ!』とか、グズグズグズグズ言っている、と。

 それで、『金なんかいらないんだ』『守銭奴だ』とか言いながら、『金よこせ』と言って、裏でやっているんです。そもそも今、維新の党には、5億円の借金があるんですよ。

 私らとすれば、どうしても新しい党を作りたいというのであれば、離党は認めて、円満に解決しようと思っているんです。それで、5億円の借金については、こちらで持つ、ということも言っています。でも、それじゃあ駄目で、『もっとよこせ』ということなんでしょう」

岩上「一昨日の10月20日、政党交付金の6億6000万円は振り込まれているわけですね。それが本来であれば、執行部に来るはずが、通帳と印鑑を持っている大阪組の方にいってしまっている、と」

松木「いや、そうではありません。お金は口座に振り込まれているんですけど、それは凍結ということになっています。揉めているから、銀行が受けつけないのです。銀行だって、こんな馬鹿な争いに巻き込まれたくないでしょう。公の党がこんなことになってしまったのが、本当に情けない話ですよ」

東京系の議員が大阪都構想の住民投票で汗をかいたにも関わらず、ねぎらいの言葉ひとつかけない橋下徹氏

岩上「これまでの経緯を改めて振り返ります。橋下氏は7月4日、大阪維新の会合で、『いつでも自立できる準備をしておくように』と、国政政党化への準備を指示しています。

 松井氏も翌7月5日、大阪系の議員が維新の党を離脱し、国政政党とする準備を検討していることを明らかにしました。

 これに対し、柿沢未途幹事長は、7月6日の会見で、大阪維新の会の国政政党化について、『聞き流すわけにはいかない』と発言しました」

松木「これ(橋下氏と松井氏の言動)はもう、反党行為ですよね。

 要するに、こういうことなんです。私もかつて、内閣不信任案に賛成して民主党をクビになりました。なんで私がその時にそういうことをしたかと言うと、民主党が政策を変えたからです。4年間消費税を上げないと言っていた政党が、やはり上げる、ということになった。選挙の時に言ったことと実際にやったことが違うのは、駄目だぞ、ということです。

 政治家というのは、選挙の時に何と言ったか、ということを指針にしなければなりません。そういう中で、松野頼久という人物は、選挙の時の公約の通りにやっている。改革勢力の結集ということで、一貫しています。

 私は、大阪都構想実現対策本部長というものをやりました。そこで一生懸命やりましたが、少しの差で負けることになりました。その後、橋下氏と松井氏が上京した時、我々維新のメンバーの所に来るのではなく、安倍総理の所に行っている。『みんな、ありがとう』ぐらい言ってくれればいいのに」

山形市長選での対応を巡り、柿沢未途前幹事長を怒鳴りあげた松井一郎大阪府知事

岩上「8月の山形市長選では、柿沢未途幹事長が野党4党の推薦候補である梅津庸成候補の応援に回りました。これに大阪系が反発し、柿沢氏に辞任を求めるという事態になりました」

松木「これは、自由投票ということになったはず。この梅津氏が憲法学者の小林節・慶大名誉教授の教え子ということもあって、連携していきました。しかし、自由だったはずなのに、橋下さんや松井さんが反発をした。

 私は、『怒っているんだったら』ということで、柿沢君を大阪に謝りに行かせたんですよ。そうしたら、そこで松井さんに怒鳴り上げられたのです。本当、何なんだこの人、という感じです。この態度には、本当にびっくりですよ。

 100の事柄があったとして、100一緒じゃなかったら『ぶっ殺すぞ!』みたいな態度は、本当に冗談じゃないですよ。党というのは、色んな考えを持った人がいて、ある程度幅を持ってやっていくしかないわけですよ」

岩上「それで、8月27日、橋下徹氏と松井一郎氏が正式に離党を表明しました。そして橋下氏は翌28日には『大阪維新の会』の国政政党化を宣言しました」

松木「27日には、橋下氏から党を分裂させることはない、というメールが来ていました。それが28日には、『北海道から九州まで落としてやる』というようなことになった」

岩上「これは、話を面白くするためのプロレスじゃないんですか?」

松木「それだったら、まだ分かるんです。喧嘩しているほうが、大阪のW選挙が盛り上がってうまくいく、ということであれば、我々も喜んで悪者になりますよ。でも、そうじゃないんです。本当に、意味が分からない」

コロコロ変わった代表戦の仕組み 「自分で言って自分で変える。本当になんなんだ」

岩上「国会を終え、9月29日から松野頼久代表ら執行部と大阪系の新党に合流する議員との間で分党に向けた協議が始まりました。新党に合流する片山虎之助議員と馬場伸幸議員は、『橋下徹あっての維新だ』と主張し、執行部側が維新の党名を使い続けるのは駄目だ、と主張しました。

 政党交付金の関連で言えば、橋下氏の公約集『船中八策』の中に、『政党交付金3割減』ということが書かれていました。にも関わらず、政党交付金をよこせ、というのは矛盾ではないでしょうか。

 政党助成法では、党を分ける『分党』で合意すれば、政党交付金も議席数に応じて配分されます。しかし、新党に合流する議員が一方的に集団離党する『分派』の場合は、新党組に交付金は配分されません」

松木「要するに、不明なお金を分配することはできないわけです。維新の政策の柱は、政権交代可能な改革勢力の結集、ということでした。それから松野代表が変わったというなら問題ですが、変わっていません。こちら側には、何の問題もない。党が分かれる理由は何もないわけです」

岩上「これは、松木議員にぜひお聞きしたいことなのですが、今回の分裂騒ぎには、党内の代表戦に関する思惑が影響しているのではないでしょうか。

 代表戦には、党員がどれくらい増えたか、ということが関わってくるわけですが、この間、大阪地区では党員が全然増えなかった。一方、圧倒的に増えたのが、松木議員の北海道でした」

松木「北海道に限らず、全国で増やしました。全部で一万人くらいでしょうか」

岩上「大阪はどれくらい増えたんでしょうか」

松木「2,3000人くらいだと聞いています。なんでも、国会議員の中には、20数人しか増やしていない人もいるとか」

岩上「党員は、一人一票なのでしょうか」

松木「そうです。

 しかしこれも、コロコロと変わったのです。最初、東徹議員が、代表戦での票の割合を、国会議員と地方議員と党員で、1対1対1にしよう、と言い出しました。国会議員と地方議員が同じ権限を持っているのが”維新スピリット”なんだ、ということでした。私もそれで納得して、一回これで決まったんです。

 ところがその東議員が、国会議員と地方議員が同じ1票を持てるようにしたい、と言い出したのです。その後、橋下氏が『大統領選挙のようにすればいいんだ!』と言い出して、党員も同じ1票を持てるようにした。松野代表も、それで合意しました。

 その後、推薦人が必要だよね、という話になって、国会議員から15人、地方議員から15人の推薦人を出すことにしました。そうしたら、また東議員が、推薦人は国会議員と地方議員で5対30にする、と。自分で言って自分で変える。本当になんなんだ、と。名簿も、大阪のほうで押さえられてしまって、返してくれないのです」

▲大阪系議員への不信感について語る松木謙公議員
▲大阪系議員への不信感について語る松木謙公議員

首相官邸と接近する橋下氏、狙いは憲法改正か? 「選挙の時と言っていることが違ってしまっている」

岩上「橋下氏は10月1日、大阪市内で記者会見を開き、新たな国政政党『おおさか維新の会』の設立を正式に発表しました。政界を引退する、と言った人がなんでこんなことをやっているのか、訳が分かりませんが。

 そして、ここに来て急に、橋下氏と安倍総理が接近しているように見えます。2人は7月14日に会談した他、菅義偉官房長官も『おおさか維新の会』について『考えが合う』と発言しています。憲法改正という点で、両者は一致しているのです。首相官邸としては、改憲勢力の一つとして、引きつけておきたいという考えがあるのではないでしょうか」

松木「このあたりから、改革勢力の結集、ということではなくなってしまっているんですね。ということは、選挙の時と言っていることが違っている、ということです。これは、政治家として一番やってはいけないことだと思います」

岩上「維新の党の国会議員は、内閣不信任案に賛成票を投じています。にも関わらず橋下氏は、首相官邸と気脈を通じている、ということですね」

松木「まあ、組んでやりたい、ということなんですかね」

岩上「官邸側には、自民・公明とおおさか維新の会をあわせれば、来年の参院選で3分の2を取れるんじゃないか、という思惑があるのではないでしょうか」

維新の党の国会議員に向け、Twitterで罵詈雑言を撒き散らし始めた橋下徹氏

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  1.   《事態収拾のため、橋下氏、松井氏、松野氏、江田氏の4人で話し合いをするべき!》この一語につきるだろう。何のために揉めているのか、それは橋下氏お得意の炎上商法なのではないか。ネットでYoutubeやブログ、twitterのアクセス数を上げる為にワザと炎上をするような書き込みをしたり動画を上げる炎上商法をやる人は多い。関心を呼ぶためにわざと炎上させるのだ。橋下氏のやり方は今まで炎上商法そのものだった。
     松木氏が指摘するようにワケの判らないことをしている間に、今度は橋下氏が《本日成立した維新の党の新執行部は松野氏を有印私文書偽造、同行使罪で告訴することを決定した》と発表した。この“発表”は《決定した》というところが味噌で、民事専門の弁護士らしく脅しをかけている状態だ。警察には土日は関係ないので、今のところ脅しである。しかし、橋下氏が23日の会見で述べた『松野氏らが「勝手に住所変えて、印鑑証明を使えなくしている」と述べ「もうヤミ金融の手口と同じだ」と批判した』というのは何だろう。何に印鑑証明を使う必要が有るのだろうか。
     橋下氏について語るときに絶対に考慮に入れなければならないことがある。それは偽装裁判事件と呼ばれるもので、発明家の臼井さんと協和特許法律事務所、橋下氏の間に起こった“稀有”な事件である。Youtubeに臼井さん本人のインタビュー映像が有るので是非御覧いただきたい。協和特許法律事務所の吉武弁護士による書類の偽造事件でも有り、橋下氏が依頼人を裏切った事件でも有る。

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