イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状!? パレスチナが国際刑事裁判所に正式加盟ーーシンポジウム「ICC加盟はパレスチナを救うか」 2015.4.4

記事公開日:2015.4.5取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

 2015年4月1日、パレスチナ自治政府が国際刑事裁判所に正式加盟した。

 これは、どんな意味を持つのだろうか。

 パレスチナの国際刑事裁判所(ICC)加盟を受けて、2015年4月4日、「ICC加盟はパレスチナを救うか」と題したシンポジウムが青山学院大学で開かれ、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏や、青山学院大学法務研究科の新倉修教授が登壇。ICC設立の成り立ちや今後の展望について意見を交える中で、伊藤氏は、パレスチナのICC加盟で、ネタニヤフ首相の逮捕が「理論上可能になった」と指摘した。

 パレスチナは今後、2014年夏のイスラエルによる軍事作戦によって、2000人以上のパレスチナ人が死亡したことや、ガザ地区の占領、ヨルダン川西岸の分離壁などによる入植活動が国際法違反にあたるとし、イスラエルのネタニヤフ首相の刑事処罰を求めていく。パレスチナのICC加盟は、イスラエルに対する有力な法的対抗手段を手に入れたことを意味し、国際社会からも高い注目を集めている。

■ハイライト

  • 第一部 三者によるステートメント
    志葉玲氏(ジャーナリスト)/伊藤和子氏(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)/新倉修氏(青山学院大学法務研究科教授)
  • 第二部 パネル討論「パレスチナのICC加盟で何が変わるか、注視すべきことおよび今後の課題は?」
    志葉玲氏/伊藤和子氏/新倉修氏/コーディネーター 阿久根武志氏(世界連邦運動協会事務局長)

歴史的な「ゴールドストーン報告書」後の失望

 パレスチナがICCに加盟申請をした時から、イスラエルはこれに強く反発し、パレスチナ自治政府の代行として徴収してきた税金の送金を停止する報復措置を取ってきた。また、米国のオバマ大統領も、パレスチナのICC加盟には激しく反対するなど、パレスチナを取り巻く環境は単純ではない。

 しかし、パレスチナのICC加盟には大きな意味があると強調したのは、ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子氏だ。伊藤氏は、パレスチナが加盟にいたるまでの経緯を紐解き、その展望を語った。

▲ヒューマンライツ・ナウ事務局長、伊藤和子氏

 「パレスチナ紛争の根底にあるのは、人権侵害の不処罰です。民間人の殺害や国連施設を攻撃することは、国際法違反。国際ルールを無視した戦争犯罪に責任が問われなければ、民間人は脆弱な立場に置かれたまま、戦争犯罪の再発防止にもつながりません。

 国連人権理事会は、2009年にゴールドストーン調査団を派遣し、2008〜9年に行われたガザ紛争について報告書を公表しました。その中でイスラエルの軍事行動には、戦争犯罪の高度な疑いがあると結論づけ、ハマスにも戦争犯罪の疑いがある事実がある、としました。

 人権理事会は双方に、6ヶ月という報告期間を与え、この期限が過ぎた場合は、国連安全保障理事会がICCの管轄権を認めるという歴史的な勧告を出したのです」

2011年、ICCがコートジボワールのバグボ前大統領に逮捕状を執行

 ICCの司法制度は、条約に批准した国にのみ効力を発揮する。イスラエルのようにICCの非加盟国である国で発生した問題について、ICCの検察局は原則として捜査を行うことが許されない。しかし、国連安保理が事態をICCに付託さえすれば、ICCの管轄権が発動し、ICCがイスラエル当局を訴追することが可能なのである。

 例えば、2011年2月、国連安保理はリビア問題をICCに付託することを全会一致で決議。ICCのモレノオカンポ検察官は、リビアに関する事態の捜査と訴追権限を与えられ、刑事捜査を開始している。直近では、2011年11月に、コートジボワール危機で人道に対する罪を犯したとして、ローラン・バグボ前大統領の逮捕状を発効。バグボ前大統領を逮捕、収監している。

 こうした背景がありながら、国連安保理の介入を期限付きで明確に求めた、2009年にゴールドストーン調査団が公表した報告書は歴史的なものだったと伊藤氏は説明。しかし、その後、大きな失望に直面することになったと、伊藤氏は続けた。イスラエル政府とハマスだけではなく、国連安保理までもがこの勧告を無視したというのである。

 「イスラエルとハマスは共にまともな調査をせず、安保理もこれを完全に無視し、ICCに事態を付託しませんでした。さらには、イスラエル政府はゴールドストーン調査団長に圧力をかけ、『私の書いたことには一部誤りがある』と言わせてしまった。また再び、ガザ攻撃が繰り返されることになったのです」

 こうした失望を経たからこそ、パレスチナのICC加盟は大きな意味を持ち、国際社会は大きな期待を寄せている。

パレスチナはハードルを一つ乗り越えた

▲2014年のガザ攻撃で犠牲になった市民を埋葬する人々

 国連の場で積極的に発言するなどの外交努力を重ねてきたことが、パレスチナのICC加盟の実現につながったと説明したのは青山学院大の新倉修教授だ。新倉氏は、パレスチナは「ハードルを一つ乗り越えた」と評価する。

(…会員ページにつづく)

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“イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状!? パレスチナが国際刑事裁判所に正式加盟ーーシンポジウム「ICC加盟はパレスチナを救うか」” への 1 件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状!? パレスチナが国際刑事裁判所に正式加盟ーーシンポジウム「ICC加盟はパレスチナを救うか」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/241466 … @iwakamiyasumi
    ICC加盟が効果を発揮するかどうかは、国を超えた声が必要だ。後押しするよ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/584639324651593728

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