東京地裁、脱原発テント訴訟で「撤去と賠償金支払い」命じる ~市民グループ側は闘い持続宣言「終着点は、核エネルギーゼロ」 2015.2.26

記事公開日:2015.3.9取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

※3月9日テキストを追加しました!

 「テントは、反原発市民運動のひとつの象徴」──。河合弘之弁護士は、このように力を込め、すべての原発をなくすことが最終的な目標で、「目の前の浮き沈みに一喜一憂してはならない」と集まった市民らを鼓舞した。

 2015年2月26日、東京・千代田区の参議院議員会館で「脱原発テントといのちを守る裁判 報告集会」が行われ、支援者ら約400人が詰めかけた。

 この集会は、霞が関にある経済産業省の敷地内にテントを張り、脱原発を訴えてきた市民グループのメンバー2人に対し、国がテントの撤去などを求めた訴訟の裁判で、同日に東京地裁から、第1審の判決が出されたことを受けて開かれたもの。判決では、原告の要求が全面的に認められ、市民グループ側の「原発政策に抗議する市民運動を、国が訴えることは違法」という主張は退けられた。

 村上正敏裁判長は、1. 被告はテントを取り払い、当該地を国に明け渡す、2. 被告は損害賠償金約2800万円を払う、の2点を命じた。どちらにも、判決確定前の支払い請求などの強制執行が可能となる仮執行宣言がついた。この対象となる金額は約1100万円。

 判決内容を不服とする市民グループ側は、控訴や強制執行停止の申し立てといった法的対応を含めて、闘いを続けていく方針を示した。

 テントが設置されたのは2011年9月11日のことで、東京電力福島第一原発事故が発生してから約半年後にあたる。それ以降、市民グループのメンバーらがテントに寝泊まりして、日本の原発政策に強く抗議してきた。

記事目次

■ハイライト

今後は「強制執行」との闘いになる

 「裁判所は今日、判決を下し、この3月末までの年度内に、この問題に決着をつける腹づもりなのだろう。(裁判長らは、)少しでも早くこの裁判を終わらせ、経産省前テントという現在の原発情勢では邪魔な存在を、とにかく撤去したいという、政治的立場に立っていることが見え見えだった」

 弁護団の大口昭彦弁護士はこう言い放ち、次のように強調した。

 「今後は、『強制執行とどう闘うか』の段階に入る。この場で、その闘い方を詳述することは控えるが、大切なのは、安倍晋三政権の原発再稼働姿勢に強く反対している市民たちが、ちゃんと存在しているという情報を、国内のみならず、海外に向けても発信していくこと。安倍政権に従属しない日本人の姿は、必ずや、心ある外国人の胸に響くはずだ」

 被告の1人である淵上太郎氏は、「予想通りの判決だったが、実際にこういう判決が出ると、残念でならない」と表明するも、「嘆いているばかりではいけない。私たちは明日からまた、新たな脱原発運動を展開していく」と力を込めた。

選挙ではなく「デモ」で国を変える

 「ゴールは、日本から原発がなくなること」と言い重ねる淵上氏は、昨年2014年5月、関西電力の大飯原発3、4号機に関する訴訟で、福井地裁が再稼働差し止めを命じたことを取り上げ、まことに立派な判決だったと評価しつつも、「それに比べて東京地裁は、相変わらず古い体質だ。(今回の判決からも)国家権力と癒着することに、何の抵抗もない裁判官がのさばっていることがわかった」と怒りをにじませた。

(…会員ページにつづく)

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