前回までのエントリー。前夜に原口大臣がTwitterに書き込んだ、その内容について質問が集中した。私はそもそも、何を大臣が「つぶやいた」のか、その内省を、ネットの中継もある、この公開の会見の場で、大臣自身から語ってもらうことにした。
前回までのエントリー。前夜に原口大臣がTwitterに書き込んだ、その内容について質問が集中した。私はそもそも、何を大臣が「つぶやいた」のか、その内省を、ネットの中継もある、この公開の会見の場で、大臣自身から語ってもらうことにした。
■全編動画
フリー-畠山「フリーランスの畠山理仁と申します。
大臣はTwitterをやられているかと思いますけれども、Twitter上で明日の記者会見は予算委員会終了後、閣議後開きます。インターネットメディアの皆さんがクラブ以外の方が参加できるように、総務省の大臣室で行うよう指示したいと思います。と書き込まれていらっしゃいました。今現在、大臣室じゃなくて会見室なわけですけども、これは単なる書き間違いで……」
原口大臣「私は昨日、大臣室でやってくれと。ただですね、キャパの問題もあり、それから、この間の要望は院内ではやめてくれと。みんな今、院内でやっている。それで、その後のお客さんの関係があって、こちらになっています」
フリー-畠山「広報室に指示は出したということでよろしいですか。私が聞いたところでは、大臣室ではなく会見室でということで。
もう一つ、Twitterのことで、うかがいたいんですけども……」
原口大臣「Twitterは私的な……(笑)」
畠山「大臣が書かれている発言というのは、公式の意見として捉えていいのか、それとも話半分に聞いたほうがいいのか、どちらでしょう」 (笑い声)
原口大臣「こういう時何と答えればいいんでしょう(笑)。ちょっと勉強させてください」
フリー-畠山「公式ということになって大臣のつぶやきが少なくなると、大変寂しいんでけれども(笑)」
原口大臣「しかし公人なので、できるだけ率直な気持ちをあそこに示そうと思っていますし、あの、当たり障りのないことだけを書こうとは思っていません。ただ、その発言には責任がありますので、しっかりと注意しながらやっていきたいと思います」
J-Cast-亀松「すいません。関連で。J-Cast Newsの亀松といいます。
今のTwitterの関連なんですけども、昨夜のつぶやきなんですが、報道に関する原則のことをつぶやかれていました。あと、自民党の河野太郎議員が、ブログで、検察の捜査に関する報道姿勢について批判もしております。そういう形で民主、自民の議員からも報道批判というものが出ておりますが、それはそれとして、昨日のつぶやきの主旨というか、どのような意図でというかですね、おうかがいしたいと思います」
河野太郎氏の発言は、自民党内から出た検察・マスコミ批判ということで非常に重要である、と思う。この話題は、与野党の立場を超えて、危機感を共有すべき問題のはずだ。「官」と「報」の連合軍が政党政治を破壊しようとする暴挙であると思う。
原口大臣「昨日ですね、ICTタスクフォース、言論の砦を守るということで議論をしたわけですね。その中で、何人かの人達が、世界の標準、それから守るべき行動ということを教えていただいて、あ、原則というのはこういうことなんだと、さきほどあの**さん(毎日新聞の記者の名)から『誤解を受けた』というような話があったけれども、私たちはそれは一体何なのか、それを共有したい、国民の知る権利やあるいは推定無罪、そしてクロスメディアといったことの、やはり弊害、そういったことについても、多くの皆さんに情報を共有して、ご意見をいただきたいというのが主旨です。
原則1から原則5まで書いていって、特定のメディアや特定の報道内容をどうこうというのじゃなくて、むしろ、みんながこっちの方向に行けたらいいねという、世界の標準の人たちが言っている、それはこんなもんですね、というのを教えてくださったのを、そのままつぶやいてるということです」
J-Cast-亀松「そうすると、参考というような」
原口大臣「そうですね。」
ここで中途から出席した私が質問した。この流れ、このタイミングでつかまえないと、昨夜のTwitterの内容とその意味が、多くの国民に知られないままになってしまう。
ここに参加している記者たちは、原口大臣のTwitterを、おそらくは読んでいる。しかし、ほとんどの国民は、原口大臣が昨夜、何を語ったのかを知らない。それをまず、広く知らしめなくてはならない。ネットの中継も入っているこの会見で、大臣自身が表明すれば、新聞やテレビなどのオールドメディアが規制して内容を伝えない、あるいは部分的に切り取って、歪めて伝えるという加工報道が意味をなさなくなる。
岩上「すいません、関連してお願いします。フリーのジャーナリストの岩上と申します。Twitter関連の質問といいますか。
そもそもですね、個別の質問、それ以前の段階として、Twitterを見ることができた人というのは、限られていると思います。というのは、私も大臣がつぶやかれた、それをリアルタイムで見ていまして、非常に重要なこと、賛否はあるにしても、重要なことをおっしゃっいていると、私は思いました。
いくつかあります。報道の原則について1から5まで。それからあるいは検察に対して、記者が取材をする時に、『出入り禁止にするぞ』などと脅して、書く記事をある種操作するというようなことがあっていいのかと、等々ありました。
インターネットも、(この会見場に)入っていると思います。いくつか大臣が大事なことをおっしゃっても、メディアで記事にならないこともありますので、是非ですね、国民に直接見れる場所でもありますから、昨日おっしゃられたことを、Twitterの内容を大臣の口から重ねてご説明いただけないかなというふうに思います」
大事なことは、加工せずに、ダイレクトに国民に伝えること。国民が考え、評価し判断する材料を提供することだ。
原口大臣「わかりました。(手もとの携帯を操作しながら)自分のツイートが見れない(苦笑)。わかりました。昨日申し上げたことは二つ。かつてあったことということで、私のジャーナリストの友人達が、SNSに書き込んだり、私にメールをくれたことです。 「関係者」という言葉はかつてはですね、捜査機関のメディアに対する制約要件だった。「関係者」と書かなければ、まずは取材はさせないし、逆に、そのイニシャライズというか、その文字がないと、『出て行きなさい、あなたは、もう私のところは情報は渡しません』、ということを複数の人達が教えてくれて、ああ、かつてそんなことがあったのかと、これは真偽はわかりません。その人達がそうおっしゃっているということを書いたわけです。
もしそんなことがあれば、逆に公的な機関、もし僕がここで気に入らない人に、『あなた出て行きなさい』なんてことは言ってはならないし、本来公的な会見というのは、その人の身分と名前をオープンにするというのが原則で、それができないからと言って、それを排除するというやり方はダメですね、というが第一です。
5つの原則。(携帯を片手に)ちょっと自分で出せないのであれですけど、ああ、あった(かたわらの事務方が、気をきかせて自身の携帯に原口大臣のツィートを表示して手渡し、大臣がそのまま読み上げる)。5つの原則の1は、メディアの各国の事件報道の原則。1は推定無罪の原則。最初から有罪であるような印象づける報道はしないこと。
それから原則2は公正な報道。検察の発表だけを垂れ流すのではなく、巻き込まれた人や弁護人の考えを平等に報道すること。
原則3は人権を配慮した報道。他の先進国並に捜査権の濫用を防ぐため、検察・警察の逮捕権、家宅捜索権の行使には正当な理由があるか取材・報道すること。
原則4。真実の報道、自主取材は自主取材として、検察・警察の情報はあくまで、検察・警察の情報である旨を明記すること。
原則5。客観報道の原則。問題の歴史的経緯、背景。問題の全体構図、相関関係、別の視点などをきちんと報道すること。
これらが報道の方から教えてくださったもので、こういうものが大事なんだなと。あわせて昨日、各国はどうしているんだ。これ、日本も同じなんです。原則は、そこのソースを明示するということが原則で、よその国もそうだと。そのことを申し上げたわけです。それが国民の知る権利に応える総務省としたら、頭の中に入れておかなきゃいけない。あくまでそれは(報道機関の)自主規制であり、私たちがそれを誰かに押しつけるという話ではない。そのことを申し上げておきます」 岩上「あの、重ねてで申し訳ありません。フリーの岩上です。
大変あの際どい質問で、お答えできないかもしれませんけども、今言った5つの原則は、どう考えても、今現在、小沢幹事長に対して行われている捜査および報道のあり方に対して、間接的な形であれ、警鐘を鳴らしたものというふうに思われます。
これについて個別のことは申し上げられないというお答えもあるとは思いますが、できれば、原口大臣のほうからですね、現在の、この、ある種別件逮捕のような形、見込み捜査のような捜査の仕方、被疑事実が示されないまま、すでに小沢氏が容疑者であるかのように、『推定無罪』の原則等々が踏みにじられた形での報道、こうしたものに関して、危惧の念を覚えていらっしゃるかどうか、お答えいただきたいと思います」 原口大臣「それはまさに答えられません。今回、民放連の会長が私を優しくたしなめて下さってますけども、なぜ今かと、という問いをされても。今、自分らの身内がそうなっいているからだろうと、言われたのでは、私も説得力を無くしてしまいます。
私自身は、前から申し上げていることで、国民の知る権利や、あるいは安全な環境の元で情報を取捨選択できる、そういうものを目指してきているわけで、今、この間も、(記者に)聞かれて答えているわけで。積極的にこの事を個別の案件についてコメントすることは、余計に控えたいと思っています」
大臣の回答は、そのお立場であれば至極もっともである。あとは、各自が読み解けばよい。このエントリーの終わりに、昨夜(1月21日)の原口大臣の、「深夜の決起」とすら思えるツィートを、コピーしておく。ぜひぜひ、衣を着ていないときの原口大臣の「本音」を読んでもらいたい。