原口一博総務相記者会見1 「私の言葉を一部だけ切り取って報道すれば、おかしなことになる。だから会見をフルオープンにしたんです」 2010.1.22

記事公開日:2010.1.22取材地: テキスト動画
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2010年1月22日、原口一博総務大臣オープン記者会見の模様。冒頭に地方交付税、雇用保険二事業に関する行政評価、監視の結果に基づく勧告、年金運用のあり方についての検討会に関する報告。質疑応答では、1月19日に行われたオープン会見でのクロスメディアに対する岩上氏とのやり取りにおいて、「関係者」という報道は不適切との原口総務相の発言が民放連会長など報道各社等から報道批判であり不適切との指摘がある件について、報道の自由、国民の知る権利との関連を交えつつ見解を述べた。

■全編動画

原口大臣「お疲れ様です。閣議後の記者会見をやらさせていただきます。記者さんの声が聞こえにくいということで、今日からマイクを用意させていただきました。

 いくつか申し上げますが、まず交付税です。月曜日に、来週の、全国の都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議というところでご説明させていただきますが、今回一点●●増やすことができましたけれども、その中でも財政力の弱い市町村にしっかりと配慮した配分をしたい。

 それからもう一つは、沖縄県です。沖縄県は島嶼部を抱えて県域全体としては広い。ただその中で、島ですから人口密度が高くて、しかも若い人が多いので、交付税の算定を東京並みにされるのではないかということで、知事からお話がありました。私も調べてみましたら、確かに不合理なところがございましたので、沖縄県については新たな算定基準を示して、そしてしっかりと沖縄の皆さんの自治を支えることができるように、するようにという指示したところでございます。

 また今日閣議において、二番目ですけども、私の方から勧告を厚労省に対して行うことを報告いたしました。それは何かというと、雇用保険二事業に関する行政評価。監視の結果に基づく勧告でございまして、具体的には雇用保険二事業として実施される事業が国民とってより活用しやすく、かつ効果的・効率的に実施されることを主眼に、類似する事業の整理統合の推進や無駄な予算の削減。

 雇用保険といえば何にでも使えるというようなことであっては、皆さん雇用保険がいくらあっても足りない。これは野党時代からずっと追及をしてきたことですけど、これが一つ。それから、職業相談のあり方の見直しとの改善を行っているところでございます。厚生労働大臣はこの勧告を受けて、必要な措置をとるということで、ご報告を申し上げます。

 もう一つは年金です。今朝、第三回目の年金会合。年金積立金管理運用独立行政法人についてですね、いわゆるGPIF(Government Pension Investment Fund)の運営のあり方に関する検討会というのを開かせていただいて、私と長妻大臣が出席を。また、総務省からは階(しな)政務官も出席をし、厚労省からは山井(やまのい)政務官、4人出席をさせていただきましたが、簡単に言うと預り金120兆。この120兆の預り金。本当の予算、もっとですね、私たちは高度経済成長時代を超えてきたんです。

 少子高齢化と言ってますが、私たちは経済・社会に活力のある時代を超えてきている。じゃあ私たちの年金はどうなったのかと。グリーンピアのような施設を作ってですね、それでなくなるということが起こってきたじゃないか。いや、そういう箱物だけじゃなくて、年金運用そのものについても、本当にこれで良いのかということで、今日議論をしたわけです。

 この運用のあり方については、テレビカメラの前で全部を言うということは、これはあの、控えたいと思います。なぜかというと、市場や様々な思惑を呼ぶからであります。

 ただ、私が問題設定したのは、120兆という、これはあの、私たちの今年のその税収、一般会計税収の約4倍。そういうものを一つの機関で本当に運用できるんですか? あるいは、4.2%を国民にお約束をしながら、果たしてトレンドのパフォーマンスはどうだったのですか。そして、どういうリスク管理をし、リスク分散をし、ポートフォリオは誰が決めているんですか。ということをですね、しっかりと見て、そして、年金の安心というのは国民の安心そのものですし、成長点を支えていく、あるいは日本の成長をのばす。その大きな原動力でもありますので、そういう観点から私たちは行政評価局を設けてますから、指摘をしたところでございます。

 それから、交付税については、今申し上げましたけども、今日予算委員会でも議論がありましたが、私たちの鳩山内閣の様々な今後の成長戦略について、今までとは全く違うということを、年末にもご報告を申し上げましたけども、例えば緑の分権改革。今までは中央でエネルギーを作ってそれを分配するというやり方だった。それを地域の一人一人がエネルギーを作れるようにしよう。地域の資源をしっかりと拡大化しよう、そういう形になっていますので。明治5年に私たちの先輩がやった、まさに学制(?)改革。生産性そのものをあげて、そして国民の力をあるいは経済の力を増やしていこう。ICTビジョンというのも出させていただいておりますので、今日の予算委員会の補足にさせてください。

 私の方からは以上です。どうぞ」

毎日新聞-**「大臣、幹事社毎日新聞**から、二問お願いします」

原口大臣「**さん、ありがとうございます」

毎日新聞「まず一問目ですが、大臣は前回の会見で、『関係者』という報道は、電波という公共のものには不適とご発言されました。その後、大臣は報道批判の意図はなかったとご説明されましたけども、民放連会長など報道各社とかですね、有識者からは監督官庁の大臣の発言として、疑問を呈する声が多く出されております。

 大臣の発言の主旨は別なところにあったとしても、監督官庁の大臣として誤解を招くような発言があったということについては、不適切だったとはお考えにならないでしょうか」
(※前回の会見で、私の質問に対して、原口大臣がこたえたくだりに関しての質問である。)

原口大臣「まったく思いません。あの全体をご覧いただければ。今の受け取り方がおかしいんです。

 クロスメディア、いわゆるクロスオーナーシップについて議論をしていたわけですね。それはここにいらっしゃる皆さんは、よく聞いておられると思います。大きな資本が、あの時質問した方、今日おられますか」

(今、休んでます。間もなく駆けつけます。との声)※たぶん田中龍作さん

「あの時、質問した記者」とは、私のことである。この日の会見は国会の予定が押していて、時間が未定だった。そのために、他の予定と重なりあい、時間調整に手間取って遅れてしまい、このときには会場にまだ間に合っていなかった。こんな騒動になっているときに現場に居合わせなかったのは、誠に申し訳ない。

原口大臣「あの時の質問を、正確に是非読んでいただきたいと思います。

 こうやって記者会見をしているのは、そこを切り取って、そして今の**さんがね、読まれたところだけ切り取ればそうなるでしょうけども、あの時の質問は、一つの資本がテレビもラジオも新聞も支配をして、そしていわゆる検察リークというものにしたがって、報道が一色になる、集中報道がある、あるいはメディアスクラムというもので、多くの人達の人権や推定無罪が犯されることについてどう考えるか、というのが、あの時のご質問でした。

 ですから、私はそんなことはあってはならないと、そして多くの『関係者』という言葉は、昔は**さんご存知かどうか知らないですけれども、私が多くの皆さんから聞いたところによると、かつては、ある捜査機関が『関係者』という言葉を言わないと、もうこの中にも入れませんよと、出入り禁止にしますよ。そんな事はあってはならない。公的機関は、私が名前を出して顔を出してしっかり皆さんにとご説明をしているように、国民の知る権利に答える必要がある。

 少なくとも、どちら側かということを言わないと、国民は、私が守っているのは単なる報道の自由、これも大事です。報道の自由だけではなくて、国民が知る権利。どこの誰が言ったか分からないものが国民に流されるということは、国民の安全な環境における知る権利を侵害する恐れがある。

 だから、民放連も多くの皆さんも自主コードをお作りになって、原則ソースをオープンにすると、これが原則だとおっしゃっている。私は、取材源や、あるいはそれそのものをオープンにしなきゃいけないなんてことは、言う気もないし、マスコミに介入する気もまったくないです。合わせてその事をご理解下さい。ずうっとその為に守ってきたんですから。ジャーナリスト一人一人を守るためにも、今まで、それこそ、昔あったと言われる、検察はリークをし、そしてそのリーク通り書かないと、それを『検察』と書くと出て行けというようなことがあるというお話を聞いて、それはだめでしょうと、いうことを申し上げています。

 感謝されこそすれ、非難されるいわれはない。ただですね、**さんがおっしゃるように、一部が切り取られ、そして、誤解を受けるような発言というのはできるだけ、絶対に避けなきゃいけないと思っています。

 だから、今、こうやってフル・オープンにして、あの時の会見も皆さんご覧になれると思います。議事録もオープンにしていますので、真意のところをご理解下さい」

 原口大臣の言う通り、前回の私との問答を是非、読み返してもらいたいと思う。そして片言隻句を文脈から切り離して取り出し、あえてことさらに「問題視」することが、「新聞」のするべき「仕事」であると、根本的に勘違いしている記者達の誤謬を、多くの方々に知っていただきたい。

 よく、自民党の支持者たちが、麻生前首相の「失言」や「漢字の読み間違い」をメディアがあげつらい、あげあしをとり続けた、ということに怒りを示す。そして現在の鳩山内閣へのバッシング報道を批判していると、「麻生さんの時に同じことを言いましたか!?」などと、なぜか八つ当たり気味にメールを送ってくるのだが(苦笑)、怒りの矛先が違う。文句は、恣意的に言葉を切り取り、揚げ足取りに終始するマスコミに向かって言うべきである。新聞やテレビ報道の揚げ足取り批判という点では、自民党支持者も民主党支持者も、「共闘」できるはずなのである。

 検察の強権行使と主要メディアが検察リークたれ流し報道を続けているという大問題と比べれば、麻生前首相の「漢字の読み間違い」をしつこく揶揄し続けたなどという問題は、とても同次元ではくくれない。とはいえ、公正な立場で建設的批判を行うという、メディア本来の使命からの逸脱という点では、どちらも問題がある。

毎日新聞-**「もう一問、お願いします。先日の中央行財政検討会議の中で、委員の中から地域主権の理念を謳ったり、二元代表制の見直しに踏み込むならば、憲法改正が必要じゃないかという意見も上がりました。大臣は地域主権を推進する姿勢なりを明確にするために、憲法改正をするということについては、どのようにお考えでしょうか」

原口大臣「それは、連立政権の中で、憲法改正まで射程に入れた地域主権の議論をする気はありません。あの時は、私がお答えしたのは、当時民主党で、どう議論をしていたか、それは憲法を変えて、地域主権というものをしっかりとメイテイ(?)して、そして様々な作法や基本法に入っていくのがいいんじゃないか、とそういう議論をしていた。しかし閣僚の立場で、憲法改正について、ここで言及することは、さきほど**さんがおっしゃった、あらぬ誤解を与えてしまう危険がありますので、そこについては考えていないと申し上げます」 (続く)

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