東京都知事選の投開票日前、最後の日曜日となる2月3日、11時半から街頭演説を行った田母神俊雄候補に続き、安倍総理を応援弁士につけた舛添要一候補、小泉純一郎元総理を弁士につけた細川護熙候補が、時間差で同じ銀座三越前で街頭演説を行った。舛添候補の演説が始まると、銀座三越前には大勢の聴衆が集まり、続いて細川候補の演説が始まると、さらに2万人（陣営発表）を超える聴衆が、銀座四丁目交差点と歩行者天国を埋め尽くした。

• 日時 2014年2月2日（日）14:00～ 舛添候補　15:30～ 細川候補
• 場所 銀座四丁目交差点（東京都中央区）

安倍総理の応援演説に非難の声

　14時スタート予定だった舛添候補と安倍総理の街頭演説が始まる2時間以上前から、銀座四丁目交差点にはすでに多くの聴衆が集まり始めていた。両氏が到着すると、交差点一帯は大混乱となり、写真を撮ろうと街宣車に携帯を向ける人で溢れた。

　舛添候補の応援弁士には、安倍晋三総理の他、公明党の山口那津男代表や、東京都議会議員の吉原修幹事長など、豪華な顔ぶれが揃った。しかし聴衆の中には、細川候補のチラシや、「原発反対」のプラカードを掲げる者など、後に控える細川候補の街頭演説を待つ人の姿も多かった。

　都議会幹事長の応援演説が終わると、今度は舛添候補がマイクを握り、「世界都市ランキングで一位を取りたい」「東京を世界一の都市にします」などと力強く訴えた。しかし、演説に拍手する人の数は少なかった。

　舛添候補の演説は、わずか9分で終了。その後、公明党の山口代表が、「舛添議員は、現実的で、リアリティのある政策をお持ちです」と応援演説を始め、「舛添さんをトップに、日本を変えていこうじゃありませんか！」と訴えた。

　続いて安倍総理が応援演説を始めると、聴衆からは「安倍さん、失望したよ！」「田母神閣下が可哀想だ！」などと非難の声が上がった。さらに、同場所で街頭演説をしていたマック赤坂候補も、「安倍さーん！　あなたは首相としての資格がありますか？」などとマイクで話し始め、安倍総理の声ほとんどはかき消された。

　舛添候補も安倍総理も原発問題には触れず、景気回復をメインに演説。公明党の高木陽介幹事長代理は、「脱原発と言っても具体的にどうするのか」と問いかけ、舛添候補が掲げる省エネ政策を推奨した。最後に、司会の丸山珠代参院議員が「マスゾエ・コール」を聴衆に呼びかけるも、聴衆からの反応はなく、舛添候補、安倍総理、公明党・山口代表の3人が、ともに支持を呼びかけるのみだった。

細川・小泉コンビに聴衆2万人

　舛添候補の街頭演説が終わると、聴衆の数は一気に増し、街宣車の回りから、三越店内、銀座歩行者天国までが細川候補支持者で埋め尽くされた。聴衆の中には、細川候補のイメージカラーである緑色のリボンを持参してきた者も多く、細川候補が街宣車に上がると、大きな拍手が交差点一帯に沸き起こり、「殿様！」「応援してるよー！」などの声援が響いた。

　街宣車に上がった細川候補は、すぐに演説を始めた。「知事の仕事は、都民の命と暮らしを守ること」と細川氏が述べると、聴衆からも多くの声援が上がり、小泉総理も聴衆に応えるように手を振り続けた。

　舛添候補や、安倍総理が原発問題に言及しなかったこととは対照的に、細川候補は「原発の問題が都政に関係ないはずがない。事故が起こったことで、みんな大荒れだ」と原発反対を強く主張。小泉元総理も、「恐れなくてはならないのは、原発がテロの標的になること。政府の中では、原発を安全に再稼働させる動きが強まっている。今の日本の安全基準で再稼働させたら、危なくて仕方ない」と力強く訴えた。

　演説後の両陣営スタッフによる報告では、舛添候補に1万人、細川候補には2万人の聴衆が集まったという。しかし街宣での感触とは裏腹に、報道各社の世論調査によると、舛添候補がリードし、細川候補と宇都宮健児候補が後に続いていると伝えられている。