秋山豊寛氏「七代先まで祟(たた)ってやる、と怒る友人が福島にいる。国民を棄てて何が美しい国だ」 ~9.15もう動かすな原発!福井集会 2013.9.15

記事公開日:2013.9.15取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 日本の原発再稼働問題は、世界からの関心も高い。この集会に韓国からやって来たキム・ヘジョン氏は、「放射能は国境に関係ない。韓国と日本と、一緒になって再稼働を阻止したい」と熱く語り、モンゴルからは「ウラン目当てに、外資系企業が勝手に国土を掘り尽くす」とのメッセージが伝えられた。

 大飯原発4号機の定期検査により、国内すべての原発が停止する、2013年9月15日。福井県庁横の福井市中央公園では、12時より「もう動かすな原発!福井集会」が行われた。実行委員長となった小浜市の中嶌哲演氏(明通寺住職)のほか、秋山豊寛氏、広瀬隆氏、斉藤征二氏など、日本各地から脱原発を願う人々が詰めかけた。

■全編動画
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  • 12:00~ 文化行事(うたごえ、パフォーマンスなど)
  • 13:00~ 集会
    朗読 青田恵子氏(南相馬市からの避難者)「拝啓関西電力様」
    開会あいさつ 中嶌哲演氏(主催実行委員長、小浜市明通寺住職)
    主な登壇者 秋山豊寛氏(元宇宙飛行士)/広瀬隆氏(作家)/斉藤征二氏(元原発労働者)
    参加者からの1分間スピーチなど
  • 14:40~ 市内パレード

原発を失くし、自然と子どもの未来のためにも前進しよう

 冒頭、ステージでは歌声合唱団によるコーラス、河合良信氏の原発ゼロを願う自作の歌、名古屋から参加した山口氏の歌、カワハラトモカ氏のフルート演奏などを披露し、集会に移った。

 東日本大震災の犠牲者への黙祷のあと、南相馬からの避難者、青田恵子氏が詩を朗読した。実行委員長の中嶌哲演氏が、「1968年、小浜原発の誘致に対し、1万3500名の市民が反対。今もって原発を阻止し続けている。国民は原発ムラから包囲されているが、反対する者も多い。少しひもじい思いをしながらでも、原発をなくそう。自然と子どもの未来のためにも、前進しよう」と開会の挨拶をした。

福井の人たちも、福島と同じ棄民候補者だ

 元宇宙飛行士の秋山豊寛氏が登壇した。秋山氏は「福島第一原発から32キロ離れたところで、17年間、シイタケ農家をやっていた。発災後は、すぐに京都に逃げた。しかし、棄民状態で、現地に取り残された友人が大勢いる。福井の人たちも、同じような棄民候補者だ」と話した。そして、「福島の百姓たちが七代、八代にわたって守ってきた土地が(原発事故で)使えなくされた。『七代先まで祟(たた)ってやるぞ』と怒っている友人がいる。それほど恨みは強い。国民を棄てて、何が美しい国だ。原発の再稼働を阻止しよう」と強くアピールした。

 続いて登場した広瀬隆氏は、「7月25日、福島の被災地に調査に入った。大熊町では毎時320マイクロシーベルトを計測した。もし、そこに2年半住んでいたら、確実に死んでいる放射線量だ。福井に着いたら、野焼きの光景を目にして涙が出た。福島では危険で、絶対真似できない」と述べた。その上で、「こちらでは、直下型地震の可能性がある。大飯原発、高浜原発は、すぐに止めるべきだ」と主張した。

 さらに、「再び、東北地方に大地震がきて、福島第一原発の4号機が崩壊したら、日本は終わる。なぜなら、あそこにはエネルギーが膨大にたまっているからだ。大飯原発は停止して2年も経てば、燃料は冷えてキャスクに入れられる状態になり安全だ。それを、また動かしてはいけない。だから、みんなで再稼働を絶対阻止しよう」と呼びかけた。

 参議院議員の井上哲士氏(日本共産党)は、「安倍首相は、オリンピックのプレゼンで『汚染水はコントロールできている』と言った。東電幹部は『コントロールはできていない』と反論したが、東電がすぐに修正。さらに安倍首相は、放射能について『健康被害はない』とも発言している。東電は、安全よりコスト重視。政府は原発輸出のために、事故を矮小化する」などと指摘した。

 次に、原発下請け労働者だった斎藤征二氏が話した。「1981年、原発労働者の組合を結成した。プラント内のコンクリートが劣化して砂状態になっていたことや、労働者の死亡が多いことを訴えた。現在、福島第一原発で、事故収束のために働く作業員の健康が心配だ。また、再稼働は絶対阻止すべき。再稼働したら、もう労働者はいなくなる」と訴えた。

放射能は国境に関係ない

 集会は、市民の1分間スピーチに移った。美浜町からの参加者は、ドイツで見聞した再生エネルギーの成功例を語った。韓国から訪れた、環境運動連合のキム・ヘジョン氏が「放射能は国境に関係ない。韓国と日本と一緒になって原発をなくし、再稼働阻止を達成したい」と語ると、会場から大きな拍手が起こり、ヘジョン氏は日本語で「大飯原発、再稼働反対!」と声を張り上げた。また、モンゴルからの連帯メッセージとして、「モンゴルでは国際資本がウランを勝手に採掘し、抽出工場を建設しようとしている」という訴えを、主催者が読み上げた。

 台風の影響か、雨脚が激しくなるが、そんな中、地元の福井以外に、千葉、東京、愛知、滋賀、大阪、富山、奈良、京都などからの参加者が続々とマイクを握り、原発ゼロ、再稼働反対、汚染水問題、福島復興、原発輸出反対、秘密保全法など、さまざまな問題に対する熱いメッセージが、次々に発せられた。

 スピーチの終了後、800名あまりの参加者が、3つのスローガン「再稼働反対、さよなら原発、もう動かすな原発」を掲げてシュプレヒコールを上げ、市内パレードに向かった。途中、右翼団体が街宣活動をぶつけてきたが、大勢のデモ参加者は、雨の中で再稼働反対を訴えて、福井市街を行進した。

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