2013/09/05 泉田知事「汚染水を止めるのは世界、人類に対する責任」、会見後には記者クラブ加盟社以外のフリーランスも知事への取材が実現 ~泉田裕彦新潟県知事定例記者会見とメディア懇談会

記事公開日:2013.9.5
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 「今回、さまざまなメディアから質問要請をいただきましたので、こういう場を設けさせていただきました。質問のある方は挙手をお願いします」

 5日、泉田裕彦新潟県知事定例記者会見の後に開かれたメディア懇談会の冒頭、泉田知事は記者団にこう語った。

 新潟県庁での泉田知事の会見について、新潟県政記者クラブが、加盟社以外のメディアの知事への質問、インターネット中継を許可していない状況が続いていることを受けて、8月28日、泉田知事とIWJ代表の岩上安身が面会。岩上が、IWJと県政記者クラブ・常任幹事である新潟日報社とのこれまでの経緯を知事に伝えたところ、泉田知事の判断により、5日の定例会見後に、記者クラブ以外のメディアも自由に取材できるよう、オープンなメディア懇談会が開かれることになった。IWJは、このメディア懇談会を中継し、泉田知事への質問も行った。

 今後、継続的に懇談会を開催するか否かということについて、泉田知事は「今後の要請を踏まえて考えていきたい」とし、次回の開催等については未定。メディア懇談会終了後には、おしどりマコ、田中龍作、IWJ安斎のフリーの記者3名が、朝日新聞から逆取材を受け、今回の懇談会についての感想を聞かれた。

以下、懇談会での質疑応答(要旨)

IWJ安斎「柏崎刈羽原発の問題に関して、いま何が一番の問題だと考えていらっしゃるのか。また、どういったことを国民的議論にしていかなければならないとお考えなのでしょうか」

泉田知事「知事という立場で、一番最初に考えるのは、住民の安全です。そのためには、過去に学んで問題点を是正する態度が不可欠だと思っております。東電福島事故の本質は、津波事故でもなければ、電源喪失事故でもない。一番の本質は、冷却材喪失事故なんです。すなわち、冷却に失敗すると、放射性物質を大量飛散し、地域に重篤な影響を与えるということが本質。そこを総括しないまま前に進もうとしていて、大きな危惧を持っている」

泉田知事「2号機が最も多く放射能を放出しているわけですが、これは格納容器が破壊されたからです。格納容器はなぜ破壊されたのか。それはベントができなかったからです。ではなぜベントができなかったのか。この検証を一切していない。規制委員会がいま行っていることは、原子力発電所の性能基準を審査するだけ。自治体からの意見も聞かない。柏崎刈羽の火災事故の経験談も聞かない。規制基準適合性の審査をするだけ。大勢の方々が『安全基準』と言っていますが、『安全基準』じゃありません。事故が起きることを前提とした『規制基準』に過ぎないわけです。にもかかわらず、起きたときの対策を進めないで、前に行くということは、『住民の安全を守る』という立場からは極めて問題だと思っております。是非ご理解をいただきたいと思います」

【産経新聞記者の質問を受けて】泉田知事「知事に就任してから感じるのは、事故が起き得るということがタブーになっている。実は、東日本大震災が起きる前に、『複合災害の訓練をしよう』と提案したところ、いろんな理由をつけてとめられた。さらに言うと、『この条件でやると、国との調整がつかないんで、複合災害にこだわると避難訓練ができなくなります』と脅かされた。やむを得ず、豪雪と原発事故が、たまたま重なったというかたちの避難訓練となった。日本全体にそういう空気が蔓延していたんじゃないかと感じますね。安全神話なんです。原発は事故が起きないと」

IWJ安斎「かつて知事と同僚だった元経産官僚の古賀茂明さんが、7月27日の「週刊現代」で規制庁あるいは経産省の役人が「泉田知事は昔から変人で有名だった」と流布し、「これは大変なデマだ」と発言していますが、その受け止めを」

泉田知事「理論で言って、理論で戻ってこないのは極めて残念だと思っています。何が問題で、どう困るのかということを聞いたときに、『所管外』などと答えないで、ネガティブキャンペーンがやられているとすれば極めて残念」

フリー田中龍作「泉田知事は原発再稼働に懐疑的ですが、政府や東電から何か脅されていたりはするでしょうか」

泉田知事「今のところ、直接的なプレッシャーはあまり感じていない」

フリー田中龍作「福島県の佐藤栄佐久前知事はプルサーマル計画に反対していました。それが直接の原因かはわかりませんが、0円の収賄で逮捕起訴されました。(泉田知事は)第2の佐藤さんのようになると感じたことはありますか」

泉田知事「感じたことはあります。車をつけられたときはやはり怖かったです。ひょっとして、降りて何かあると嫌だなと(感じました)」

IWJ安斎「規制庁から新潟県に対してどういった説明をしてもらっているのでしょうか」

泉田知事「(説明に関しては、)保安院時代から(比べて)悪くなっている。保安院時代は、説明能力のある人が来て、県の技術委員会で説明をする、ということをやっていただいていた。今はそれが十分できていない。『説明しているからいいじゃないか』というのは、『自分の言いたいことを言ったよ』というだけであって、住民の納得・理解を得るための努力はしないというふうにしか聞こえない。規制委員会がやらなければいけないのは、住民の安全を守るということで、公益を実現することであって欲しい。住民を守るのか、事業者行政だけやって王様になりたいのか、ここのところがはっきりしない。私も通産省にいましたが、経済産業省という役所は事業者行政をやっているんです。事業者をどう規制するかということはやるんですが、住民と向き合う機会がほとんどないんですよ。だから、事業者に規制をすればそれで終わりという体質を引き継いでいるのだとすると、住民の安全を守るということではない」

おしどりマコ「東京電力は、今年度決算の黒字化のためにどうしても柏崎刈羽を動かしたいと言っていますが、その受け止めを」

泉田知事「経営を優先して安全をないがしろにするとどうなるかというと、汚染水問題と同じようになるわけです。1000億をケチったおかげで、世界からどれだけ信用を落としたか。『安全は何物にも代えがたい』という人でないと、原子力発電所の運営なんてしてはいけないんではないかなという感想を持ちます」

おしどりマコ「柏崎刈羽の稼働について、国が一歩前へ出ると言っていますが、泉田知事はどこまでの覚悟がおありなのか。また国策についての考えを」

泉田知事「国とは誰なのか。例えば、茂木大臣が説明をしてくれても説得力がないですよね。誰が来るんですか? 規制委員会が来るのであれば、要望していたことですからちゃんとやっていただきたい。むしろ歓迎です」

以下、懇談会の前に行われた定例記者会見要旨

 定例記者会見では、これまでに引き続き、原発政策についての質問が集中。再稼働問題や福島原発の汚染水に対する東電の対応、また安全対策の不備や規制基準に関する問題点、さらに地元自治体に対する説明責任を果たしていない点など、改めて知事から指摘された。

 汚染水漏えいにおける東電の対応について、泉田知事は、「対応が遅い。場当たり的」であるとし、「安全より経営を優先させた」ことを改めて批判した。「汚染水を止めるのは世界、人類に対する責任」であるとして、「原発を安全に運転する資格があるのか」と東電への疑念を拭いきれない見方を示すとともに、破綻処理の必要性についても言及。規制委員会に関しては、「規制基準は性能基準であり、安全基準になっていない」ことを指摘した。

 「住民の被曝を避けられるのか」という点をめぐっても、地元への充分な説明はなく、「地方行政をわかっている委員が1人も入っていない」などと規制委員会の体質を批判した。
(IWJ・安斎さや香、大西雅明)

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  1. 危機に直面して、リーダーは、何をすべきか。それを示す好例の一つだと信じます。良い取材、そしていい知事さんの存在もおかげで知りえました。一日も早い「まずは、汚染水を止める」ことに、全力をあげるとき。同時に、全原発を停止して、国民世論の多数に従い、「エネルギーの自立」と言う「安全保障」・民族の存続に係る課題に取り組む時期がいまだと考えます。
    本当に日本の自立を考えることが、今求められています。(岩手被災地にて)

  2.  泉田知事が、いつものように独善的な判断で、柏崎刈羽原発や経営主体の東京電力そして日本国の復活に掛けた取組みを止めていると思う。原発の安全確保は、規制委員会の調査の中で図られるもので、それを止めているのは誰か考えてほしい。心配する気持ちは、理解できるが、心配を克服するのは、知事ではない。勘違いも甚だしい。他の知事はアホということですか。

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