「なぜ、福島の事故が起きたのか、それに対処できなかった。防げなかったことに対して、どう対処するのか一度も説明していない。それでリスクだけとれっていう議論をするのか」
泉田裕彦新潟県知事は21日の定例会見で、原発再稼働の議論の前に、原因究明と対策の必要性を改めて強調した。
(IWJ・安斎さや香)
「なぜ、福島の事故が起きたのか、それに対処できなかった。防げなかったことに対して、どう対処するのか一度も説明していない。それでリスクだけとれっていう議論をするのか」
泉田裕彦新潟県知事は21日の定例会見で、原発再稼働の議論の前に、原因究明と対策の必要性を改めて強調した。
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柏崎刈羽原発の再稼働について、産経新聞が新潟県内30市町村の首長を対象に行ったアンケート調査で、8首長が「条件付き容認」、9首長が「再稼働を認めない」との結果が出たことについて、泉田知事の受け止めを質問した。
これについて泉田知事は、「今の段階で再稼働の議論はしない。なぜかと言うと、福島の事故の検証・総括が終わっていないから。そもそも4つの事故調が総括をしていない。2号機はベントもできていなかった。同じ状態になったら今度はどう対応するのか。格納容器の圧力も下げられなかった。たまたま破壊というかたちで、建物全体の水蒸気爆発は逃れているけど、なぜベントができなかったか知っていますか」と、現時点で再稼働の議論ができる段階にはないという理由を説明した上で、産経新聞の記者に逆質問した。
記者が知事からの質問に答えられないでいると、泉田知事は、「産経新聞は、原発がなんでベント1つできなかったのか説明できなくて、安全確保できると思っているのか。ぜひ産経本社から回答を教えていただきたい」と一蹴りした。
東京電力の汚染水漏えいが新たに発覚した件で、東電の対応に関する見解を聞かれると、「後手後手。その場しのぎというか、汚染水の海洋流出の件もそうだが、以前から指摘されていたこと。菅直人元総理が指摘していた通り、1000億の投資は負担になるんでやらないってことだった。地下水がやってくるのを分かっていながら、地下水遮蔽対策を怠ったということ。その原因が東電の経営問題にある。経営を優先して安全をないがしろにした結果が、タンクの暫定設置、汚染水対策を先送りにしたことにつながっている」と苦言を呈した。
さらに、事故の対策について、チェルノブイリの例と比較し、ソ連が国家をあげて事故の対策に総力をあげたことを挙げながら、「日本のように放射線管理区域に人が住み続けるという、事後的に基準を緩めるなんてことはせずに、真面目に対応したということ。(日本では)訴訟も起きて子ども被災者支援法ができているのに、基準すら定めていない。政府としての取り組みが充分行われていない。本来、国として取り組まなければならないことを、原賠法の見送り、全て東電の責任の範囲内にしてしまったという最初のボタンのかけ違いが、経営問題とその対処、被害者に対する補償問題、全てをこじらせている」と、事故の対策を東電任せにした国の無責任さにも言及。
「規制基準をクリアしても事故は起きる。では、放射能をばらまかないために対策を考えてますかと。それでも被害を受けた人に対して生活再建とか、補償のスキームを作ってますかと。被害者にすべてのしわ寄せがきている。甲状腺がんの問題でも、福島で6人追加の発表が出た。新潟県でも調査したら甲状腺がんになったのが1人。福島では確定でその18倍。疑いを合わせると30数倍というかたちになっている。5年後、事故後に生まれた赤ちゃんの発症率を見れば明らかになる。経営と安全を天秤にかけること自体が、今の事態を招いているし、国際的に日本の信用を落としている」と、安全よりも経営を優先させた東電の姿勢を厳しく批判するとともに、国としても事故の対策や被害者の補償について、なんら責任を果たしていないことを咎めた。
泉田知事の発言は筋が通っており、東電や政府の責任や不作為をストレートに批判している点を大いに評価します。地元の一部の利権保護や自己保身から知事又は行政の長として県民、市民の安全を第一と考えない組長が跋扈する中で、
泉田知事の存在は大いに勇気付けられ、政治に多少の希望を託すことが出来ます。 泉田さん最後まで意思貫徹してください。
全くその通りだと思います。然し知事の意見を発信し続けるのは県民の支持があってこそ。新潟の皆様の応援、バックアップを切に願います。