関西電力八木誠取締役社長・緊急ぶらさがり会見 2012.4.9

記事公開日:2012.4.9取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ・ぎぎまき)

 2012年4月9日に行われた、関西電力八木誠取締役社長による緊急ぶらさがり会見の模様。

 同日朝10時に、関西電力が枝野経産大臣に大飯原発3,4号機に関する安全性の工程表を提出。IWJは記者クラブに属していないため中継は許可されなかったが、その後に行われた八木社長のぶらさがり会見に参加。USTREAM配信のアーカイブ一部のみ保存。以下、約10分にわたる会見の文字起こし。

■全編動画

  • 日時 2012年4月9日(月)
  • 場所 経産省(東京都千代田区)

幹事社NHK「今日、工程表を提出されたわけですが、これで大飯原発の安全性が十分に確保されたという風にお考えでしょうか」

関西電力 八木誠取締役社長「今日は大臣のご要請によりまして、私どもの大飯3、4号機の安全性確保に関する実施計画を提出させていただいたわけですけども、これまでの緊急安全対策、それから当社の自主的な取り組みによりまして、福島事故と同様の事故に至らない安全性は確保できていると思っていますが、しかし今日も申し上げた通り、安全性向上への取り組みに終わりがあるわけではなく、更なる安全性向上についてこれから一層自主的に取り組んでいくと、決意を述べさせていただいたので、我々としましては、原子力発電所の安全性向上を経営の最重要課題と位置付けて、引き続き私が先頭に立って努力いたしまして、世界最高水準の安全性確保を目指してがんばって参りたいと思っております」

幹事社NHK「今後、政府による大飯原発の安全性のチェックが始まるわけですが、政府にはどのような対応を望みますか」

関電 八木「私どもの実施計画をご報告させていただいたわけですが、その上で今後、国の方から福井県やおおい町へのご説明に入ると思いますが、私どもとしては我々の実施してきた対策にご理解が賜われるようにお願いしたいと思いますし、我々としては引き続き、粛々と着実に対策を進めて行きたいと思います」

田中龍作「ベントフィルターもまだですよね、防潮堤もまだ。その間に事故が起こったらどうしますか」

関電 八木「まずベントフィルターにつきましては、これは念のために設置をするという考え方でございます。すなわち、今、私どものPWR(*)の格納容器は非常に大きく、更にその除熱機能を高めるために、冷却用の非常用発電機を置き、海水ポンプを置きました。それによって除熱機能がございますので、格納容器の内圧が高くならない対策が打てておりますので、そういう意味で放射性物質を閉じ込めることが可能となっております」

(*)PWR: Pressurized Water Reactorー加圧水型原子炉。普通の水を減速材と冷却材として用いる軽水炉で、現在世界で最も多い型式の原子力発電用の原子炉である(PWRはPressurized Water Reactorの略称である)。加圧水型原子炉は、一次系に約160気圧の圧力をかけて、高温の一次冷却水が沸騰しないようにし、この熱を蒸気発生器に通して二次系の水に伝え、蒸気を作ってタービンを回して発電する。一次系と二次系が分離されているので、タービンを通る二次系の蒸気には放射性物質を含まない点が沸騰水型原子炉(BWR)と異なる。【文部科学省原子力安全課原子力環境防災ネットワーク出典

田中「社長は今、福島の事故のような事にはならないとおっしゃいましたけど、矛盾しているじゃないですか。ベントフィルターがないのは一緒でしょ」

関電 八木「ベントフィルターは念のために、更なる安全性向上のために設置をするものでありまして、基本的には福島の事故のようにはならない対策ができているということでございます」

記者不明「今日、提出された計画で、実際には政府が決定することだと思いますけども、社長ご自身としては、地元の理解を十分得られるものだとお考えですか」

関電 八木「私どもとしては昨年の3月11日以降、国からのご指示を承りました緊急安全対策を始め、自主的な対策をずっと取り組んで参りまして、今回これを整理したわけでありますが、こうしたことについてはこれまでも、いろんな場を通じて、地元等にも説明をしにまいってますが、改めてこういう整理をしたので、しっかりとご理解を賜うように説明して参りたいと思っています」

記者不明「いつまでに判断をしていただければ、夏までの需要期に間に合うとお考えですか」

関電 八木「私の方からスケジュールを申す立場にはございませんので、私どもとしては、できるだけ早いご判断をいただければと思っております」

記者不明「大臣が安全神話から脱却してくれと繰り返し言っていましたが、八木社長としてはそれはあったと思いますか、それについてどう対応していきますか」

関電 八木「結局ですね、これまでの反省を致しますと、私ども事業者としましては、安全性に対する取り組みという事について常に取り組んで来たわけですけども、安全というのはやはりここまでやったらいいというものではなく、終わりがなく続けていくものという意味ではですね、そういうことを十分我々として考えていたかどうかという意味では不足があったのではないかと。そういう意味では、先ほど申しました例えばフィルターベントについても、基本的にはPWRではそういうことが起こらないように閉じ込め機能が確保できていますけども、万が一、そういうことが起こった場合でも、そういう影響を減らすようなこと、そういう意味ではそういうのが安全神話からの脱却に相当して行くものだという風に思っています。そういう意味では、我々のそれまでの安全性の取り組みにはまだ不足する点があったのではないかと思っています」

記者不明「改めてなんですけども、もし再稼働がなければ御社の管内での夏の需給はどうなりますか」

関電 八木「これはですね、今後の需要というのがどうなるのか分かりませんが、今、その精査をしている所でありますけども、仮に昨年は関西は節電をお願いして、冷夏でございましたが、昨年並の需要の中で原子力がなければ、大変需給が厳しいということが一応出ていますので、今後の需要想定をどうするか、供給力確保をどうするかによってありますけども、再稼働がなければ需給力は大変厳しいと今、思っております」

記者不明「27年度までの対策で、対策費はどれくらいを見込んでいますか」

関電 八木「今日報告致しました30項目に対して、大飯では85項目ありますが、これは大飯だけではなく他の発電所にも展開しておりますので、2,000億強のお金がかかる見込みでございます」

田中「防潮堤完成前に大津波が来たらどうされますか」

関電 八木「先ほども申しました通り、今回の対策というのは、津波によって同時に冷却機能と電源機能が同時に失われた。したがって、ここの電源機能と冷却機能の多様性をはかるということで、いろんな対策をしております。したがって、先ほど申し上げたように、福島と同等の津波が来てもこれが同時に機能喪失しない対策はできていると。更に信頼性を高めるという意味では、津波による影響を緩和するための防潮堤を作る、といういう考え方でございます」

記者不明「今回の対策は、地元福井県には関電側からは説明に行くスケジュールはあるのでしょうか。国の判断を待たずに行くこともあり得ますか」

関電 八木「これからご説明にあがる事になると思いますが。基本的には今日、国にご報告させていただきましたし、各皆さま方にもこれからきちっとご説明させていただく場を儲けておりますので、そういった意味では福井県のみならず、原子力発電の理解を受けたまわれるようご説明にあがりたいと思っています。具体的なスケジュール等は今後になってくると思います」

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です