【IWJブログ:スクープ証言! 超過酷労働により精神障害に~『ワタミの介護』元正社員が語る驚愕の実態】

記事公開日:2013.7.21 テキスト動画
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(取材:ぎぎまき・野村佳男、文責:岩上安身)

 ワタミフードサービス株式会社に勤めていた当時26歳の女性が、入社してわずか2ヶ月というスピードで過労自死に追い込まれるという事件が起きたのは2008年(※1)。厚生労働省が定める過労死ラインは月80時間の残業だが、亡くなった女性が強いられたのは残業141時間。国は長時間労働が死に至ったと認定、労災を認めたが、親会社であるワタミ株式会社の渡辺美樹前会長は、未だに遺族との面談や謝罪にも応じていない。

◇長時間労働を強いて、若者を使いすてる「ブラック企業」問題(※2)

 渡辺美樹ワタミ前会長が自民党公認でこの参院選に立候補したことで、この「ブラック企業」問題に、社会の注意がようやく向けられるようになり始めた。

 そんな中、新たな証言が飛び出した。ワタミグループのひとつ、「ワタミの介護」(以下、ワタミ)の元正社員のAさんが、IWJの取材に応じて、想像を絶する過酷な労働について語った。

――ワタミはブラック企業などと批判されていますが、介護事業ではどうだったのか、労働環境について教えてください。

Aさん「『ワタミの介護』で働いていた時、私の労働時間は週40時間と残業が月間平均100時間でした。中には残業200時間をこなしていた同僚もいました。夜勤も月に10〜15回が普通でした。この介護業界では、夜勤日は平均5回ほどだと聞きます(※3)。

 欠勤する場合、ワタミでは自分で代理を探して初めて休むことが許されます。もし代わりがいなければ、40度の熱があっても出社しなければいけません。このルールは、契約前には知らされませんでした。休みが取りづらい上に長時間労働が続くと疲労がピークに達します。高齢者の命を預かっているという緊張感もあり、次第に睡眠不足になり、食も喉を通らなくなって、体重が5〜6kg落ちました。同僚たちもみるみる痩せていきました。

 従業員の入れ替わりも激しく、1年で20人以上が退職しました(※4)。『やっぱり何かおかしいのかな』と思うようになったのは、ブラック企業の報道を知ってからですね」

 職場でまかり通っている「常識」を疑問視するようになったAさんは、退職を決意。すでにその頃には、心身ともに限界に達していたという。

Aさん「体調を崩しました。精神障害です。2ヶ月間病欠したあげくの退職です。今は新しい職場を見つけましたが、40代で再就職して新入社員の給料ですから、家族にも迷惑をかけています。家に居場所がありません。それが一番つらいですね」

――身体を壊す前に、改善はできなかったのですか。会社に相談はしましたか。

Aさん「ワタミでは月1回カウンセリグの場が設けられるのですが、そこで自分の症状を訴えました。それでも、『無理をしないように』と言われるだけでした。少ない人数でシフトを回しているので、上司もそう言うしかないのは理解できました。たいがい、『プレッシャーに弱い自分が悪いんだ』と、自分で自分を責めることで追い込まれていく人がほとんどです」

 過酷な労働が美化され、それが内在化されてしまうと、そこから脱落する自分を責めてしまうようになる。退職した今、Aさんは症状が少しずつ改善しているが、今でも、自分の弱さを責める習慣が治らずに苦しむことがあると語る。

 それでもAさんは、残っている仲間の労働環境が少しでも是正されれば、という思いから、取材に応じて実情を話そうと決意したが、同じく体調を崩し、退職した元同僚は、「会社は悪くないから」と「告発」を躊躇したという。

この続きは「IWJウィークリー」に掲載いたします。

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注:
(※1) 共同通信 2012年2月21日 ワタミ社員の過労自殺を認定 入社2カ月の26歳女性

(※2) 東証一部上場の売り上げ上位百社の7割が、過労死ラインと言われる月80時間以上の残業を社員に認めていることが分かっている。
ニュース解説:7割過労死基準以上 残業協定 大手100社調査(東京新聞)

(※3) 「2012年度 夜勤実態調査」によると、介護・福祉業の平均夜勤日数は3交代制(一人8時間)で月7.42回、2交代制(一人12時間)で月3.67回である。ワタミの場合、平均残業時間からすると、実質2交代制に近いシフトを取っていると考えられることから、月10〜15回というのは異常な頻度であると言えるだろう。
日本医療労働組合連合会 「2012年度 夜勤実態調査」

(※4) ワタミの離職率が高いという意見に対して、渡辺美樹氏は自身のホームページ上に、「『ブラック企業』と呼ばれることについて」というブログ記事を5月31日に投稿し、「ワタミの外食事業の離職率(平成22年4月入社社員の3年以内離職率42.8%)は、厚生労働省公表(平成23年統計、以下同じ)の宿泊業・飲食サービス業の離職率(同48.5%)を下回っています」との反論を展開している。
わたなべ美樹オフィシャルサイト JOURNAL 『ブラック企業』と呼ばれることについて

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「【IWJブログ:スクープ証言! 超過酷労働により精神障害に~『ワタミの介護』元正社員が語る驚愕の実態】」への3件のフィードバック

  1. ミルキー より:

    「ワタミ」の渡辺美樹氏が当選しました。渡辺氏は10万に届かず当選しました。一方、三宅洋平氏は17万とって落選しています。心のない人が労働者を奴隷のように扱い、次は、国民を奴隷のように扱うのでしょう。日本は理不尽の世界になってしまいました。

  2. 答えになっていないシリーズ より:

    【答えになってないシリーズ】

    「離職率高い」
    「新卒3年内離職率は高くないよ。」
    「うちの施設には新卒はいない。」
    「え?」
    「中途採用とアルバイトだけ。」
    「・・・・」
    「新卒いないのに新卒の離職率言われてもなあ。中途採用とアルバイトの離職率が高いって言ってるんだよ。」

  3. 答えになっていないシリーズ(2) より:

    「施設は入居者様の幸せのためだけにある。」

    「私たちの幸せは?」

    「入居者の幸せが自分の幸せでないのだったら、どうぞ辞めてください」

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