「日本の大学はブラック企業だ!」「教育をビジネスにするのはやめろ!」――。年間100万円超の学費や利息付きの奨学金制度。日本で高等教育を受けるのは金額がかかりすぎるとし、貧しさや借金に苦しむ学生や、制度に疑問を持つ学生らが2013年7月14日(土)、豪雨の中、新橋〜霞ヶ関周辺でデモを行い、怒りの声を上げた。
大阪経済法科大学の5年生で、社会保障・ベーシックインカムの研究をしているという斎藤隼人さんは「僕は高校の時から奨学金を利用していた。今、1000万円を超える奨学金を借りている。昔、親父がパチンコにはまって闇金から900万円の借金をして逃げたが、僕は高等教育を受けるために、その額を超えるほどの借金するはめになった」とスピーチ。去年、学費の滞納で除籍になったと話し、「その時、教育を受ける権利ってこの社会じゃ平等じゃないんだな、と強く感じた。やっぱりおかしいと思う」と、デモに参加した動機を語った。
主催者は、全国学費奨学金問題対策委員会の代表を務める東洋大学社会学科4年生の渡辺みきさん。渡辺さんは、日本の教育費は世界でトップクラスに高く、「奨学金」も名前を変えた学生ローンでしかない、ということに怒りを覚え、今日のデモを開催したという。
「政府は学費に公的予算を割かず、高等教育は高くて当たり前なんだという構造を作り出している。昨年、長年留保し続けた国際人権規約の高等教育の無償化という条項の留保を撤回したが、一向に無償化されない。それを支える日本学生支援機構の奨学金も、問題だ」
日本最大の奨学金機関ではあるが、無利子の奨学金を借りるには条件があり、やむを得ず、利息付きの奨学金を借りる学生が多いとし、「教育の機会の平等が憲法で定められているのに、現在では、高所得者しかその恩恵を受け入れられなくなっている」と、経済格差などが反映されてしまう現行制度の見直しを訴えた。
雷雨の中、約50名のデモ隊は新橋・梅田公園を出発。霞ヶ関方面を通り、「学費を稼ぐために朝も夜もバイトばかりしてて、勉強もできないんだ!」「日本の大学はブラック企業だ!」「教育をビジネスにするのはやめろ!」「教育なんとかしろ文科省!」などと声を上げた。