日弁連主催・コンピュータ監視法〜講演 山下幸夫氏(弁護士/国際刑事立法対策委員会)、基調講演 指宿 信氏(成城大学教授) 2011.2.15

記事公開日:2011.2.15取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

 2011年2月15日(火)12時より、衆議院第一議員会館にて、日弁連主催の「コンピュータ監視法案に関する院内集会」が行われた。

■ハイライト

  • 講演 山下幸夫氏(弁護士/国際刑事立法対策委員会)
  • 基調講演 指宿 信氏(成城大学教授)
  • 日時 2011年2月15日(火)
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)

 冒頭、山下弁護士が「この法案は2003年4月、法制審議会ハイテク犯罪部会で最初に議論され、日弁連は委員に2名を推薦、バックアップしていた。この法案は、欧州評議会サイバー犯罪条約に対応させるために策定された法案である」など、日弁連の活動と国会情勢を報告した。次に参加者の松野議員、熊谷議員からスピーチがあった。

 指宿信氏(成城大学教授)の基調講演「コンピュータ監視法を考える : 手続法的観点から」に移った。「サイバー犯罪条約の締結の狙いとして、まず目的が、情報技術革新への対応とグローバルな情報化社会における安全性の確保といい、そのためには、(1)データに対するアクセス権と捜査権限の確保、(2)執行前証拠保全制度の確立、(3)越境的捜索(Trans-border)の執行、(4)相互援助の確立、(5)国内法化の推進となる。さらにその条約35条を、2〜10条の実体法的規定、11〜22条の手続法的規定、23〜35条の国際協力規定に分けられる」と解説した。

 また、指宿氏は、今回、特に条約の手続法的規定について「サーバー犯罪条約の締結にともなう日本の刑事訴訟法改正のポイントとして、データの差し押さえとその執行方法。リモートアクセス。協力要請。ログの保全要請。秘密保持要請。データ没収などがある。記録命令付き捜査差押さえに関してと、順に改定部分の説明をした。通信記録の内容について、欧州型は全データ保存、アメリカ型は特定データ保存型だ」と話した。

 指宿氏は、続いて本法案の問題点をあげ、「憲法上の刑事訴訟法上の権利保障との整合性、サイバースペース特有の概念との調整、コスト問題、サイバースペースにおけるプライバシー侵害型捜査と現実世界におけるプライバシー侵害型捜査の比較検討などは検討すべき部分で問題だ。インターネット上の監視活動では、トランザクション監視型(パケット・スニッファー、エシュロン)、パーソナル追尾型(キー・ロガー、スパイ・ウエア)、データ・リポジトリ型(データ保全)があげられ、それぞれ、職質、検問。そしてパーソナル追尾型は、尾行・内偵、データ・リポジトリに対しては街頭監視カメラなどが相応する」と解説した。その後、出席議員の挨拶と質疑応答に移った。

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