26日、国立代々木競技場の第一体育館で、東京電力の第89回定時株主総会が開かれた。冒頭の挨拶では、下河辺和彦(しもこうべ・かずひこ)会長が、福島第一原発事故について謝罪し、「事故の責任をまっとうし、世界最高水準の安全確保と競争の下での安定供給をやりぬく」と決意を述べた。
本年の総会では、株主から過去最多となる15の議案が上程された。東京電力第3位の株主である東京都は、第7号議案の中で、事業の収益について第三者からの検証が行えるように経営情報の開示を求めた。また、ある個人株主は、福島第二原発や新潟県の柏崎刈羽原発の廃止を求める議案などを上程した。
各議案についての説明が終わると、株主との質疑応答の時間がとられたが、およそ1時間半で一方的に打ち切られ、最後に各議案が採決にかけられた。個人株主からのすべての議案が流れ作業のように否決され、そのまま株主総会は閉会した。
株主総会の終了後、体育館の外でインタビューに応えてくれたご高齢の女性は、総会の進行について、「(はじめから)決まりきっている」と激しく批判した。会場全体を見ると、社員株主や関係会社の株主で固めて統制が取れていたように見え、飛び交った怒号や罵声も一部からだけだった、などと会場の様子を語った。