2013年6月8日(土)13時30分から、愛媛県大洲(おおず)市の肱南(こうなん)公民館で、「フクシマの話を会津弁で聞こう 福島第一原発被災者・木田節子さんを迎えて」が行われた。福島県富岡町から茨城県水戸市に避難している木田節子氏が、事故当時の体験や被災地のさまざまな葛藤を切々と語った。
(IWJテキストスタッフ・松田/奥松)
2013年6月8日(土)13時30分から、愛媛県大洲(おおず)市の肱南(こうなん)公民館で、「フクシマの話を会津弁で聞こう 福島第一原発被災者・木田節子さんを迎えて」が行われた。福島県富岡町から茨城県水戸市に避難している木田節子氏が、事故当時の体験や被災地のさまざまな葛藤を切々と語った。
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木田節子氏は、手作りの地図を交えて、事故当時の様子や放射能の拡散について解説した。福島県の中通りは、原発事故の直接的な被害はなかったとされているが、「法律では毎時0.6マイクロシーベルトを超える場所は、放射線管理区域に指定され、一般人は入れない。しかし、この地域では、放射線管理区域以上の線量の中で、子どもたちが生活している」と、木田氏は現状を説明した。
放射線量の高い地域の、住民の年間被曝限度量の基準が、1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げられたことについて、「愛媛県の伊方原発で事故が起きても、放射線量が年間20ミリシーベルトを下回っていれば、皆さんは避難できなくなる。これは、とても大変なこと。毎時0.6マイクロシーベルトという数字を、しっかり覚えていてほしい」と訴えた。
また、福島県鮫川村で秘密裏に建設が進められている、放射性廃棄物の焼却炉ついて言及した。木田氏は「除染すれば、その代わりに他の土地が汚れる。原発から出た放射性廃棄物をどこに持っていくのか。その議論と同じことが起きている」として、地域住民同士の対立も起きている現状を紹介し、「隣のいわき市も汚染されるおそれがあるのに、いわきで目立った反対運動は起きない。自分たちには関係ない、という姿勢だ」と地域間の軋轢を語った。
除染については、「故郷に帰りたいという、避難者の思いを利用している。巨額の予算が除染に回され、作業を受注するゼネコンだけが儲かる。子どもたちの健康を守るためのお金に回ってこない」と批判した。
また、木田氏は「避難者の思いをよく表現している」として、6月2日、東京都内で開かれた脱原発集会で、福島県田村市都路町からの避難者、渡辺ミヨ子さんが話した内容を紹介した。核の平和利用といった美名の下で、原発が作られたこと。原発で、すべての生活が潤うと思い込まされていたこと。効果の疑わしい除染が行われていることへの疑問。原発輸出に意欲的な安倍政権への批判などに触れ、「未来の日本が苦しむことのないように、今は考えを新たにする時。命をもって、福島の真実を語り、世界中の叡智を結集し、福島を、日本を、母なる地球を作って行きましょう」と、読み上げた。
その上で、木田さんは「失ってからでは遅い。守るべきものを持つ皆さんには、私たちの話をより多くの人たちに伝えてほしい」と訴えた。
講演後、質疑応答が行われた。「家屋などに、保険は適用されないのか」という問いに、木田氏は「テロや戦乱と同じで、原発が爆発して被害を受けた場合に、補償される保険はない。このことは、よく覚えておいてほしい」と強調した。