2013年6月7日(金)16時から、東京都千代田区にある衆議院第一議員会館で、「院内集会『地震、事故の危険性~リニア計画の凍結!再検証を求める』」が行われた。主催はリニア新幹線沿線住民ネットワーク。長野県など、リニア計画ルート沿線から多くの住民が集まり、計画凍結を求める議論に熱心に耳を傾けた。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
特集 リニア新幹線
2013年6月7日(金)16時から、東京都千代田区にある衆議院第一議員会館で、「院内集会『地震、事故の危険性~リニア計画の凍結!再検証を求める』」が行われた。主催はリニア新幹線沿線住民ネットワーク。長野県など、リニア計画ルート沿線から多くの住民が集まり、計画凍結を求める議論に熱心に耳を傾けた。
■ハイライト
この日、院内集会に先立って国土交通省との交渉が行われた。リニア新幹線沿線住民ネットワーク共同代表の天野捷一氏や、リニア市民ネット代表の川村晃生氏(慶応大学)らが、累計で約1万9000筆のリニア新幹線計画の凍結を求める署名を持って、国交省を訪問。対応した鉄道局の担当者に提出した。
大田昭宏大臣宛の、リニア新幹線計画の再検証を求める要請書も提出された。天野氏は「JR東海が計画しているリニア新幹線は、スピードだけを追求している。採算性、安全対策、環境への影響について、主に沿線住民から多くの問題点が指摘されている。われわれ沿線住民は、こうした不安部分について、JR東海から具体的かつ詳細な説明を受けていない」と要望書の文面を読み上げた。
その上で、天野氏は「国交省にはすでにJR東海を通じて、沿線住民の声が届いているはずだ。そういう中で、リニア計画をどう考えているのか」と質問をぶつけた。これに対し担当者は、「3大都市がリニア新幹線でつながることで、日本の国際競争力が上がる」などと、審議会でまとめられた有識者の見解を紹介するだけであった。沿線住民の間に高まっている、安全性を巡る不安などについては、「一昨年から、公的環境影響法に基づく手続きを実施している。昨年の12月に現地調査を開始した。今秋には、その結果がまとまる予定。それに伴い、地元説明会も開いていく」などとし、「国交省としては、その環境影響評価がまとまるまでは、具体的な話はできない」とした。
一方、川村氏は「南アルプスにトンネルを掘る場合、地下水の枯渇が大きな心配事だ」と語り、「先般、甲府で行われた、JR東海による説明会では、井戸水と湧水の調査を実施中とのことだったが、報告された12カ所の調査ではまったく不十分。少なくとも、数100カ所のボーリング調査が必要だ。国交省の指導が足りないのではないか」と迫った。これについての回答も、「環境評価については、不足部分は再度行うことが可能。指摘された懸念事項については、国交省としても注視していく」といった歯切れの悪いものだった。
交渉終了後、市民グループは、そのまま永田町へと移動。定刻に始まった院内集会では、主催者による交渉の結果報告に続き、かねてリニア新幹線計画の撤回を訴えている、共産党・衆議院議員の佐々木憲昭氏がマイクを握った。「そもそも、リニア新幹線は本当に必要なのか、という点に着目すべきだ。JR東海側は輸送能力の立場で必要性を訴えるが、東海道新幹線の平均乗車率は約35パーセント。盆暮れ正月など、乗車率120パーセントに達するピークは、年間で10日しかない」。さらに、「今後の人口減社会の本格化に照らせば、政府自身もその必要性を説明できない」とし、「政府は『主体はJR東海。その主体がやると言っているのだから、やってもらう』という態度。要するに、国民のためというよりも、JR東海の株主のためなのだ」と、重ねて批判を口にした。
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