院内集会「奇跡の海を守ろう ~カンムリウミスズメと上関(瀬戸内海)の生物多様性~」 2011.4.14

記事公開日:2011.4.14取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

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 2011年4月14日(木)14時より、参議院議員会館にて院内集会・カンムリウミスズメと上関(瀬戸内海)の生物多様性〜奇跡の海を守ろう〜が行われた。

 講演者:Harry Karter氏(生物学コンサルタント)、Nils Warnock氏(オーデュポンソサエティ副会長)、飯田知彦氏(九州大学研究員、農学博士)、西海功氏(国立科学博物館研究員)、野間直彦氏(滋賀県立大学環境科学部・日本生態学会上関アフターケア委員会副委員長)、高島美登里氏(長島の自然を守る会)主催:長島の自然を守る会

  • 日時 2011年4月14日(木)
  • 場所 参議院議員会館(東京都千代田区)

 冒頭、主催者の高島氏より挨拶があった。生存が危ぶまれるカンムリウミスズメ保護のため、上関原発建設の再考と生物多様性の保全を訴えた。

 まずカーター氏から講演がはじまった。「1993年に来日したとき、すでにカンムリウミスズメの生息数は危惧されていた。上関原発建設が中止になれば種の保存がなされる。国の水質、エサ、個体数などのモニタリング調査は重要で建設再検討を後押しする。調査は陸上、海上も含め、特にカンムリウミスズメがもっとも生息している宮崎県の枇榔島の調査も重要だ」などを語った。

 次にウォーノック氏が登壇し「北太平洋沿岸は鳥類の多様性に富み、アラスカ、アリューシャン列島、カムチャッカ、北海道周辺には45種の海鳥が住み、世界の3分の1にあたる75種の水鳥が繁殖、個体数も8000万羽ぐらいいる。しかし、石油流出被害、漁業での混獲、汚染物質(PCBなど)の危惧。最近では干潟の埋立問題があり日本は、2000年までに45%の干潟が消失した。諫早湾はとくにダメージが大きかった。1974年、渡り鳥と絶滅危惧種の生息地を守るため日米渡り鳥条約が結ばれた。生物多様性に富む瀬戸内海の保全は最重要課題だ。上関原子力発電所は生物環境に甚大な被害を与えるので再検討が必要」などと説明した。

 次に飯田氏が「瀬戸内海西部(上関)の希少な鳥類について」話した。「カンムリウミスズメは、ほぼ日本にしか生息せず、日本が保護しないと絶滅する。世界のウミスズメ類の中で最も個体数が少なく生息数5000羽程度。国の天然記念物でもある。生息数5000羽程度というのは虎やサイと同じで、地球上に殆どいないレベルにあたる。環境省のレッドリストでは深刻に捉えられていないが、IUCN(国際自然保護連合)ではアホウドリ以外に唯一のレッドリストの国際保護鳥扱いである。それが上関周辺に多数確認されている」と報告した。

 また、上関周辺で生息していることが最近発見された準絶滅危惧種のオオミズナギドリの生態についても話し、最後に「瀬戸内海西部の上関、長島周辺は失われたと思われていた50年前の瀬戸内海の生態系がほぼそのまま残っているところで、現実のロストワールドだ。多様な生物種のシェルターでもある。原発建設の中止もしくは立地の変更は絶対に必要」と語った。

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