原子力規制委員会の田中俊一委員長は、3月19日の定例会見で、関西電力大飯発電所の安全評価の進め方について、「特例扱い」とする私案を示した。
7月に新規制基準が策定された後、電力事業者らは、国内のすべての原発について再稼働申請を行う。申請の前提となる条件を満たさなければ、再稼働は許されない。しかし、田中委員長の私案によれば、大飯原発3、4号機だけは、別途設ける「評価会合」で特別に審査するため、これら条件を満たす必要はない、というのである。
しかし、この評価会合に法的根拠がないことを、当の原子力規制庁側が認めている。加えて、7月に施行される新規制基準が適応されないとなると、9月に定期検査のため停止するまでの間、大飯原発3,4号基に関しては、合法性がないまま、違法状態で運転していることになるのだ。
この日の院内交渉で、市民らが、大飯原発3,4号機の稼働を9月まで許可する法的根拠について説明を求めると、規制庁安全規制管理官付企画班長の布田氏は、「現に稼働している状況ですので」と回答。「現行法に照らせば、安全性は確認できている」と語った。
しかし、大飯原発3,4号基の再稼働は、暫定的に設けた安全基準をもとに、民主党政権下で閣議決定されたものにすぎない。現に、敷地内の破砕帯調査はいまだ継続中であり、活断層かどうかの評価もまとまっていない。もし、活断層と認定されれば、現行法さえ満たしていないことになる。
多くのグレーゾーンを残したまま、大飯原発の稼働を許す規制庁の対応について、市民らは、「再稼働推進委員会ではないか」と詰め寄るなど、終始、規制庁を厳しく追求した。