TPPをめぐる攻防が、「待ったなし」の局面を迎えつつある。
野田総理が11月12日からハワイで開かれるAPECでTPPへの交渉参加を表明すると報じられている。
国民に充分な説明もなく「不意打ち」とも言うべき参加表明強行が行われようとしているさなか、慎重派・反対派の議員が10月後半に入ってから、やや遅きに失した感はあるが、ようやく猛然と巻き返しを始めた。
民主党ではTPP推進派と慎重派の間で、党内を二分する議論が連日展開されている。その舞台は党の政策調査会の下に設けられた経済連携PT(プロジェクトチーム)の総会である。
これまで政府は、TPP交渉参加に向け「意見集約を行い、積極的な論議をしながら一定のまとめに持っていく」として、TPP協定交渉の現状や21分野の交渉内容について政府と与党国会議員が議論する経済連携PT総会を、10月14日から11月4日までに計21回行なってきた。
ところがその「積極的な議論」の内容は、マスメディアではほとんど伝えられることがない。「TPP推進」で記者クラブメディアが足並みをそろえているためでもあるが、PTが報道陣を完全にシャットアウトして議員だけで行われているせいだ。
PT総会の傍聴が許されるのは記者クラブメディアのみで、その記者クラブメディアですら、後半の国会議員間の意見交換は退室を促され、傍聴が許されない。国民にダイレクトに影響する問題であるにも関わらず、その情報はメディアにも完全シャットアウトで、国民に対して開示されていないのである。
10月末にさしかかり、野田内閣がAPECでのTPP参加表明を行うらしいという見通しが強まると、PTでの討論は俄然熱を帯びるようになった。
10月31日月曜日からのPTの内容を、これから連続して明らかにしていく。
なお、このPTの場では、参加した議員に79ページにおよぶ政府資料『TPP協定交渉の分野別状況』が配られている(この資料は外務省と国家戦略室のHP上で全文公開されており、誰でもダウンロードして読むことができるが、本メルマガ読者からの御希望もあったので、注解つきでこの文書を次の号外で配送する)
(続く)
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