2013年3月2日(土)10時30分、大阪市北区のNPO法人AMネット事務局において、「TPP緊急記者会見~市民で市民の暮らしどないなんの!~」と題する記者会見が開かれた。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
特集 TPP問題
2013年3月2日(土)10時30分、大阪市北区のNPO法人AMネット事務局において、「TPP緊急記者会見~市民で市民の暮らしどないなんの!~」と題する記者会見が開かれた。
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昨年12月に行われた衆議院選挙において、自民党は「TPP断固反対」の姿勢を打ち出して政権を奪還した。にもかかわらず、2月22日に安倍首相はオバマ大統領とともに、TPP交渉への参加を前提とした文言を含む日米共同声明を発表したほか、2月28日に国会で行った施政方針演説において、TPP交渉への参加に前向きに取り組んでいく方針を明らかにするなど、TPP参加へ前のめりの姿勢となっている。
今回の会見は、これらの状況を踏まえ、TPPが国民の暮らしに与えるさまざまな影響について、周知を図っていくために開いたもので、複数の市民団体やNPO法人の関係者がTPPの問題点を解説した。
西濃環境NPOネットワーク副会長の神田浩史氏は、「日本政府は、『聖域の死守が認められた』と主張している。しかし、アメリカ政府の声明からは『非関税障壁の除去に前向きに取り組むことを、日本政府が受諾した』としか受け取れない」と述べた。また、「韓米FTAに象徴されるような不平等条約を、アメリカから受諾させられる素地ができたと認識している」と語った。
AMネット事務局長の武田かおり氏は、TPPが与える医療分野などへの影響を説明した。この中で、武田氏は、「TPP参加によって自由診療が拡大し、医療機関の株式会社化が加速する」と述べた。また、がん保険の分野において、アメリカ企業の日本国内でのシェアが8割となっている現状を紹介し、「株式会社(の販売する保険)による、営利目的の医療保険が増えることによって、相互扶助を目的とした従来型の保険が『時代遅れ』とされ、なくなっていく。命がお金に左右されることになる」と懸念を示した。その上で、「日本の、優れた健康保険制度を壊してはだめだ」と強調した。
このほか、出席者らは、アメリカ議会における「90日ルール」の説明や、今後のTPP交渉の行方、食の安全への懸念など、さまざまな観点から、TPP参加の危険性を各社の記者に訴えた。