【第74号】岩上安身のIWJ特報!― 自民党の憲法改正草案についての鼎談・第2弾~澤藤統一郎弁護士、梓澤和幸弁護士インタビュー(後編) 2013.1.25

記事公開日:2013.1.25 テキスト独自
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(岩上安身)

(前編よりの続き)

国家の都合で、『基本的人権』が認められない

【現行憲法】

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

【自民党憲法改正案】

第11条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

岩上「さて、次が『第3章 国民の権利及び義務』という、大変重要なところで、基本的人権の話です。これはすでにお話しいただいているので、いくつかピックアップします。

 現行の憲法では、『第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在および将来の国民へ与へられる』となっています。自民党案は、これを『全ての基本的人権を享有する』と変えてある。『妨げられない』というわけではない。『享有を妨げられない』が『享有する』になっている。

 そして『この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である』と変えられている。『永久の権利である』とまで書いてあるのは変わらないのですけども、『現在及び将来の国民に与へられる』というのがなくなっています。これによって、どのぐらいの影響が出るのか、私にはちょっとわかりません。

 次に、現行憲法第12条です。『国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福利のためにこれを利用する責任を負ふ』とある。ここに、自民党案では『自由及び権利には責任及び義務が伴うということを自覚し』という一文が入るわけです。そしてその次、『公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ』が『公益及び公の秩序に反してはならない』と変わっている。

 以上が、11条、12条です。これは前回のインタビューでも『公共の秩序を政府が決めてしまうと、基本的人権がその下に位置してしまうので、問題が大きい』というお話をうかがいました。ちょっと細かいことではありますが、『将来の国民に与へられる』という文がなくなっているのは、どういう意味を持つのでしょうか」

(続く)

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「【第74号】岩上安身のIWJ特報!― 自民党の憲法改正草案についての鼎談・第2弾~澤藤統一郎弁護士、梓澤和幸弁護士インタビュー(後編)」への1件のフィードバック

  1. 道下啓子 より:

    関西ではすでに、弾圧が始まっている。「反原発」「反放射能の拡散」「反利権のための震災がれき広域処理」の声をあげ、逮捕、起訴されるという異常事態が頻発。自民党による改憲案が万が一施行されれば、国家に対する「表現の自由」が「公益及び公の秩序に反してはならない」の名の元に、さらに規制されるのは明らか。人権と国。どちらが尊重されるのか。ふたりの弁護士によりひもとかれる、安倍政権の望む”希望の国”日本の実態。
    岩上安身氏が弁護士ふたりとともに、現行憲法と照らし合わせ、自民党の掲げる改憲案をひとつひとつ丁寧にひもとくシリーズ後編は、「国民の権利と義務」。
    いまの自分と直結する項目であるだけに、むさぼり読む。ネットを利用している方、「原発はいらない」「TPPにはNOを!!」など、自分の考えや意志を表現している方には、必読の号。
    現行憲法では、「すべての基本的人権の享有を妨げられない」となっている11条が、安倍政権の改憲案では、「全ての基本的人権を享有する」に。12条「国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福利のためにこれを利用する責任を負ふ」が、自民党案では「自由及び権利には責任及び義務が伴うということを自覚し」という一文が挿入され、「公益及び公の秩序に反してはならない」となる。しかも、11条と呼応するものとしてセットで読まれる97条第10章最高法規が、自民党案では全文削除されている。
    これは、何を意味するのか。
    生まれながらにして誰しもが持っている「人権」と、自民党案の「公益及び公の秩序」の、どちらが上位にくるのか。
    現行憲法13条で、「最大限に尊重されなければならない」と保障されている国家を相手に行使する「表現の自由」と、自民党案の「交易秩序に従え」という表現とはまったく異なるものであると、梓澤弁護士は指摘する。
    改憲されれば、たとえば「大飯原発いますぐ止めろ!」「原発反対!!」と官邸めがけて叫ぶことが公益秩序に従わないと判断された場合、「警察がワッと出てきて、黙らせるということになるでしょう」(梓澤弁護士)。
    ネット上で政治家の悪口を書けば、「不敬罪」になるかもしれない。沖縄の基地問題について話し合う集会の場が、規制されるかもしれない。
    在日外国人に対する制約の正当化が盛り込まれた15条、徴兵制は違憲であることの根拠にされてきた18条から、「奴隷的拘束も受けない」が削除されていること…。改憲など、許していいわけがない。

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