2013年2月18日(月)9時から、東京都港区の原子力規制庁舎で「東北電力東通原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第3回評価会合」が行われた。「F-3とF-9の断層が、後期更新世以降に活動した、耐震設計上考慮する活断層である可能性が高いと考える」などと記された評価案に、出席者はおおむね合意。東北電力の、自前調査に根ざした「敷地内断層=非活断層」との主張を否定した。
(IWJテキストスタッフ・富田/澤邉)
2013年2月18日(月)9時から、東京都港区の原子力規制庁舎で「東北電力東通原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 第3回評価会合」が行われた。「F-3とF-9の断層が、後期更新世以降に活動した、耐震設計上考慮する活断層である可能性が高いと考える」などと記された評価案に、出席者はおおむね合意。東北電力の、自前調査に根ざした「敷地内断層=非活断層」との主張を否定した。
有識者会合による活断層可能性の指摘は、敦賀原発に続き2カ所目。この日の評価会合は、「東通・現調4-1」と「同4-2」の2つの配布資料を題材にするもので、前者は、有識者会合として、東通原子力発電所敷地内破砕帯の調査の結果を、原子力規制委員会に提出する評価書の案であり、後者は、同評価書案に対する有識者のコメントをまとめたものだった。
事務局企画調査官の御田俊一郎氏は「現調4-1」の説明をした。「本有識者会議の役割は、東北電力東通原子力発電敷地内破砕帯について、現地調査を行い、耐震設計上、考慮する活断層であるかどうか、評価を行い、その結果を規制委員会に報告することで、会議に臨む有識者は各学会からの推薦である。その名前は14ページに示している」。
そして御田氏は、調査・評価の要点と称されている「現調4-1」の4ページを読み上げた。「東北電力は、敷地内断層を覆う第4紀の地層のずれ、亀裂、変形などの成因を、主として、地下水位の上昇に伴い、粘土鉱物を含む地層や断層内物質が、水分を含んで膨張することによるものとしている。しかしながら有識者会合としては、現時点の調査結果から、以下のとおり第4紀の地層の変状の主な成因を膨潤だけに特定することは困難であり、敷地内の断層は、第4紀に活動した断層である可能性が高いと考える」。
有識者会合は、昨年12月中旬、東通の現地調査を実施。その結果から、敷地内を南北に伸びるF-3断層とF-9断層は、活断層である公算が大きいとの見方を、すでに示している。さらにまた有識者会合は、1号機のそばを走るf-1断層が、耐震上の安全がことに肝要な、取水炉の真下に位置することに危惧を表明した。
東北電力が自前調査の結果を基に行ってきた、「乾燥した地層が水分を含むことで地層を持ち上げた」との主張に対しては、この日も有識者が、出席した東北電力に「直接のデーターがそれを示しているのか」との疑問をぶつけており、これに対し東北電力は、「(上部のずれが)非構造的なものとしたのは、ほかの敷地内全体のいろいろな第4系の変化の状況から、総合的に判断した」と応じている。
御田氏はその後、「現調4-1」の学術的記述を次々に紹介し、最後には「今回の評価は、有識者会合として、現在までに得られたデーターなどを基に、『東北電力東通原子力発電所敷地内断層については、耐震設計上考慮すべき活断層である可能性を否定できない旨、を判断できる』としたものであり、今後、新たな知見が得られた場合、必要があれば、これを見直すこともあり得るが、その際には、追加調査などによって、活断層である可能性を否定する客観的なデーターを揃えることなどが必要」などと、評価案のまとめの部分を読み上げた。
その後、評価会合は「現調4-2」に関する討議に移行。「4-2」は評価案を完成形へとブラッシュアップするためのもので、配布された資料には、すでに合意が得られそうなコメントが記されてあった。会合では、そのほかのコメントについての議論が行われた。
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