第2回 双方向シンポジウム どうする高レベル放射性廃棄物2013 2013.2.17

記事公開日:2013.2.17取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田/澤邉)

 2013年2月17日(日)14時から、東京都港区の田中田村町ビル会議室で、午前中の第1回に続き、経済産業省資源エネルギー庁が主催する「第2回 双方向シンポジウム どうする高レベル放射性廃棄物2013」が、「地層処分の『安全』とは?」をテーマに行われた。実際の運営を手掛ける事務局会議は、「インターネットでライブ中継を視聴している人も、アンケートで意見を述べてほしい」と呼び掛けた。

第2回 双方向シンポジウム どうする高レベル放射性廃棄物2013

 第2回の司会役は、松浦正浩氏(東京大学公共政策大学院特任准教授)が努めた。松浦氏は「午前中は政策面など、いわば上流の議論が行われたが、午後は、廃棄物処分の技術面にスポットを当てる」とし、「地層処分を行うか否かの決定は、会場にいる皆さんを含む国民に委ねられる。廃棄物処理の安全性を、2人の専門家の講義を基に判断、確認していこうと思う。賛成・反対の立場に固執すると、見え方が偏ってしまう。立場を越えて、事実を粛々と確認していく姿勢で、これから行われる2人のスピーチに耳を傾けることが大切だ」と提言した。

 最初のスピーカーである石黒勝彦氏(原子力発電環境整備機構〔NUMO〕技術専門役)は、地層処分を手掛ける事業者の専門家だ。石黒氏はまず、「今日の話の中心は、地層処分の安全確認をどのように行うかという点になる」と表明し、「地層処分システムは通常の工学的プラントとは異なり、時間的に考慮すべきスパンが極めて長いため、安全機能が働くことを(今の世代が)直接確認することは不可能。そのネックを補うのが安全評価と呼ばれる手法だ」と強調した。

 石黒氏は安全評価を次のように説明した。「想定したシナリオに基づく解析の結果と安全基準との比較が安全評価のベースで、このことは国際的にも認知されている。ただ、安全評価の前提や過程にはさまざまな不確実性が絡むので、それをいかに考慮するかで、安全評価の社会的信頼度は変わってくる。得られた安全評価の結果を中心に、その裏づけとなる広範かつ多面的な論拠を統合し、安全性の程度やその信頼性について、事業の各段階で繰り返し説明していくのが事業者側に課せられた役割だ」。

 その上で石黒氏は「重要なのは、科学的知見を集約して将来シナリオをいかに想定するかだ」と力説。一例として、地下水の浸入によってガラス固化体(廃棄物)周辺が、時間の経過とともに変遷(外部容器の腐食・亀裂の発生)していく様子を示した図を掲げ、「あくまでも保守的な視点で安全性を担保するのが事業者側の基本姿勢」と強調した。さらには、活断層や火山などを巡る、発生の可能性は極めて低いが、無視できない現象の扱い方について、「リスク論的な視点の有効性をも認め、ある程度の差別化を図ってもいいのではないかと考える」と語った。

 続く藤村陽氏(神奈川工科大学基礎・教養教育センター教授)は、冒頭で「これから地層処分に批判的なことを話すが、廃棄物を不用意に地上に保管するのがいいわけではなく、私は地層処分自体を否定するつもりはない」と表明、「地層処分を推進する側には、最低限これぐらいのことには言及しないと、安全性を主張することは不可能ではないかという点を指摘していきたい」と述べた。

(…会員ページにつづく)

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「第2回 双方向シンポジウム どうする高レベル放射性廃棄物2013」への1件のフィードバック

  1. 古川典保 より:

     「髙レベル廃棄物の深海溝(プレートの沈み込み帯)への収納」を研究しております。技術士会の部会等で発表(パワーポイント60枚で)しております。メールを頂ければ資料を送らせていただきます。
      日本は地震国であります。平成24年度の日本学術会議の報告でも地層処分の抜本的見直しを提言しております。パンゲア計画も挫折しております。最終処分方法の一方法として検討頂ければ幸いです。

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