第5回 日中懇話会 2013.1.22

記事公開日:2013.1.22取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)

 2013年1月22日(火)18時から、東京都千代田区の日本教育会館で、「第5回 日中懇話会」が行われた。尖閣諸島を含む日中関係の摩擦について、日本側と中国側の視点から、両国のあり方について意見交換を行った。

■ハイライト

  • 参加者 岡田充氏(共同通信社論説委員) 朱建榮氏(東洋学園大学文学部教授)

 岡田氏は、尖閣問題に対する日本人の反応を、「主要メディアの影響もあり、昨年9月の尖閣諸島国有化以来、日本の一般の人たちの間に『日本の領土が取られる』『中国の拡張主義にどう立ち向かうのか』といった、条件反射的な意識が強まっている」と話した。

 その上で、尖閣諸島の現状認識として、「このままでは、尖閣諸島は日中の巡視船や航空機以外は近寄れない、ゼロ以下の価値しかない無人島になってしまう」と述べ、「現状では突発事態の発生が怖い。日中の両方で、安全保障の問題が大きくなることにより、本来は一定の抑止力のために整備する軍事力が、相互不信感によって無限に拡大し、安全保障のジレンマという悪循環に陥る可能性がある」と示唆した。

 日本側から見ると強硬に見える中国の姿勢について、岡田氏は「中国の対応は心理戦の要素が強い。段階を踏んで対応をつり上げていき、日本側の出方を見ながらカードを切っている」と述べた。歴史の中で、日中間の領土問題が浮上したことは度々あったが、問題を大きくせずに『棚上げ』と言う方法を両国が取ってきたことについて、「中国と台湾の間で続いてきた『統一か独立か』という対立の歴史は、『現状維持』を掲げることで、両国の関係が大幅に改善した。戦略的互恵関係は有効だろう。島を『非武装地帯にする』『海洋生態のオープン化』『境界交流圏をつくる』など、ゼロ以下の価値にせずにプラスに変えていく方法をみつけるべきだ」と語った。

 朱氏は、尖閣諸島問題に対する中国の姿勢について、「中国は日中間の『棚上げ』に関する歴史的資料を集めている。領土問題に触れた田中角栄氏など、歴代の関係者の談話も細かく検証がなされている」と述べ、「仲介に立たされたアメリカも、これ以上の日中対立は望んでいないだろう」と話した。

 最近の動きとして、朱氏は「中国でも、過激派は100%が自国の領土だと主張するが、学者ら知識人層は、互いに主張があることを認め、両方の顔が立つ解決をしたい、と願っている。今のようなチキンレースを互いにやっているのは危ない。東洋の知恵を使って解決するべきだ」と話した。

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