2013年1月20日(日)11時から、福島県郡山市のビックパレットふくしまで「健康相談会 in 郡山・山田真(小児科医)講演会 ~子どもたちを守るために~」が開かれた。福島第一原発の事故後、福島市での健康相談会を重ねている山田真医師が、これまでの医療被害事件への関わりや、現在の相談会の状況を語った。
(IWJテキストスタッフ・柴崎/澤邉)
2013年1月20日(日)11時から、福島県郡山市のビックパレットふくしまで「健康相談会 in 郡山・山田真(小児科医)講演会 ~子どもたちを守るために~」が開かれた。福島第一原発の事故後、福島市での健康相談会を重ねている山田真医師が、これまでの医療被害事件への関わりや、現在の相談会の状況を語った。
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※配信状況により、録画が一部欠けております。何卒ご了承ください。
山田氏は八王子中央診療所理事長であり、医療被曝に関する著作がある。子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク代表として、事故以来、福島を訪れる医師が少ない中、2011年6月から、「こども健康相談会」を開催している。その模様は著書『小児科医が診た放射能と子どもたち』(クレヨンハウス)に収められている。
山田氏は「国や東電が、福島県立医大を通じて市民を押えつけている」と感じているという。「また医師会の圧力もあって、福島市で協力者を探すのは難しい。相談会も最初は400名の参加があったが、2回目からは、相談会に参加しただけでもバッシングされるので、報道陣は入れないでほしいといわれた。戒厳令の中で行うような、異常な状況だった。相談者は答えを求めてくるが、発言を制限されているので答えられないことが多く、非常に辛くなっている」とこれまでの状況を説明した。
山田氏は、子ども・被災者支援法に言及して、「放射線の許容量は、本来は決めることができないが、子ども・被災者支援法の中で、被災地域を認定するためには、放射線量はどのぐらいと決めることになる。国は年間5ミリシーベルト以上、10ミリシーベルトなどといってくるだろうから、それに対して被災者側は年間1ミリシーベルトを主張しようという話になっている。しかし、年間1ミリシーベルトなら実際に安全なのかというと、そういうことではない。支援法という枠組みでは、『被災地はここ、被災者は誰』と限定しなければならなくなるが、線引きができるものなのかどうか。困難がたくさんあるが、それでも考えていかなければいけない」と述べた。
「小児科医になってすぐの頃、ヒ素入りミルク事件の被害者の支援運動に関わった。今でも、被害者の健康相談を行っている。この事件では、当時の医療関係者や行政の対応に隠蔽的な体質があり、現在の原発事故後の政府や東電の対応に、それと重なる部分が多いと感じている」と懸念を表明し、「被害者同士が不安を共有し、簡単に納得せず、不安を持ち続けることが重要だ」と強調した。次いで、放射線や内部被曝についての一般的な基礎知識を解説した。
質疑応答後、参加者から、「不安やストレスを持ち続けることが大事と聞いて、困っていることを言い続けていいのだと思った。何とか福島で頑張っていけると思った」と、感謝の言葉があった。