【IWJ号外】背後に『暴力団』が関与し凶悪化する『特殊詐欺』を『高齢者差別』が後押し! ルフィ事件と、高齢者に『集団自決』を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! 岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク 田崎基氏インタビュー第4回 配信

記事公開日:2023.4.13 テキスト
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 IWJ代表の岩上安身です。

 4/12午後6時から、「背後に『暴力団』が関与し凶悪化する『特殊詐欺』を『高齢者差別』が後押し! ルフィ事件と、高齢者に『集団自決』を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! 岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク 田崎基氏インタビュー第4回」を、内容の公共性を鑑み、フルオープン配信しました。

 20年ほど前から、被害者に息子などを装って電話をかけて騙し、指示した口座に大金を振り込ませる「オレオレ詐欺」が注目を集めてきました。その後、手口が多様化・凶悪化し、暴力団との関係も指摘されています。

 今年1月19日に東京都狛江市の自宅で90歳の女性、大塩衣与さんが手足を縛られるなどして暴行を加えられて殺害され、高級腕時計や指輪を奪われるという凄惨な強盗殺人事件が起きました。

 狛江の強盗殺人事件は、単発の事件ではないことが明らかになってきました。同様の手口の事件が全国各地にわたって起きており、かつ、現場の実行犯に、携帯電話などを通じて指示を出していた「指示役」の存在が明らかにされ、組織的な犯罪が行われていたことが明らかになってきたのです。

 2月9日、指示役の「ルフィ」ら4名がフィリピンから日本へ送還され、特殊詐欺事件に関与した疑いで逮捕されました。「ルフィ」ら4名には、一連の広域強盗事件の実行役に指示を出していた可能性が指摘されています。

 2月22日には、実行役と見られる19歳から52歳までの男ら4人が、現場付近の防犯カメラの映像から不審なレンタカーなどが確認されたことから逮捕されています。

 「オレオレ詐欺」に始まった「トクサギ」・特殊詐欺事件が、強盗殺人事件にまで凶悪化しているのです。日本を震撼させた「ルフィ事件」ですが、狛江の強盗殺人事件や「ルフィ」は氷山の一角かもしれません。

 岩上安身のインタビューで、田崎氏は、2022年の特殊詐欺の被害総額が360億円を超え、「毎日1億円」に上っていると話しています。田崎氏は、しかし、「被害届を出さない人も多」く、「騙されていることに気がついていない人もいる」と、さらに隠れた被害がある可能性を指摘しています。

 田崎氏は、特殊詐欺に関わっている組織は「金主=投資家、番頭=社長、店舗=現場」と、まるで一般企業のような構成を持ち、若者は企業に就職する感覚で特殊詐欺組織の中に取り込まれていくと指摘しています。この組織の中で、実際にジャーナリストが取材できたり、警察が逮捕できたりするのは、ほとんどが「店舗=現場」までで、「金主=投資家」の存在は闇の中にあり、そこには暴力団が関与している可能性もあります。

 4月11日、カンボジアを拠点としていた特殊詐欺グループのメンバーとして、岡本大樹容疑者(38歳)ら、25歳から55歳の日本人の男19人が、詐欺容疑で逮捕されました。

 1月、グループのメンバーとみられる人物から現地日本大使館に「ホテルで特殊詐欺をやらされていて外に出られない。助けてほしい」とのSOSが契機となって、摘発に至りました。逮捕された19人はカンボジア南部の港湾都市・シアヌークビルにある、プール付きリゾートホテルに住み込み、特殊詐欺をしていたとみられています。

 「ルフィ」とはまた別の組織が浮上してきました。田崎氏は、「今の特殊詐欺グループは、自転車の車輪がいくつも存在していて、そのハブのスポークが、また別の車輪のハブになっているみたいな円環構造」になっている、「グルグルグルグル、反社会的な構造の中で、お金と人が回り続けている」と指摘しています。

 逮捕された19人の中には暴力団関係者も含まれており、警視庁は「詐欺の収益が暴力団の資金源となっていた可能性がある」と指摘しています。

 特殊詐欺は主として高齢者を標的にする卑劣な詐欺です。その背景には、「老人喰い」「老人殺し」を正当化する動きがあることを無視できません。
 
 2010年には、山野車輪氏が『マンガ「若者奴隷」時代』(晋遊舎)で、増え続ける年金負担額などを理由に「高齢者が若者を搾取している」と主張、「ジジババを殺らなきゃオレたちはこのままなのか!?」と訴えています。

 日本経済の停滞や格差の拡大を高齢者の責任にする言論は、日本社会に広がっています。「高齢者ヘイト」はそのまま、「働けない者は不要」、「人工透析患者は自己責任」、「尊厳死の議論を」などと命の選別を主張する、新自由主義的な価値観や優生思想とつながっています。

 2月12日に『ニューヨーク・タイムズ』が、イエール大学助教授・成田悠輔氏による「高齢者の集団自決」発言を一面で報じました。成田氏の「高齢者の集団自決」発言は、今に始まったことではなく、繰り返し行われてきました。IWJ調べでは、最も初期の発言は、2019年「日本版ダボス会議」を目指す「G1サミット」の第3分科会「安倍政権の残された聖域~社会保障制度改革は進むのか~」の席で行われていました。

 なぜごく普通の若者が、軽いアルバイトのつもりで特殊詐欺を行う組織に入り、抜け出せなくなってしまうのでしょうか。特殊詐欺では実際にどのような手口が使われているのでしょうか。どのような経緯で「オレオレ詐欺」が強盗殺害事件にまで凶悪化してきたのでしょうか。特殊詐欺のグループと暴力団の関係はどうなっているのでしょうか。そして、「いつでも誰でも特殊詐欺の被害者になりうる」日本社会で、それぞれ、どのように防衛策を打てばいいのでしょうか。

 岩上安身による田崎基氏インタビューの第1回から第3回では、上記の問いについて、田崎氏に丁寧にお話をうかがいました。

 今夜配信する第4回インタビューでは、特殊詐欺の背景にある「高齢者ヘイト」・「高齢者の集団自決」の広がりの核心に迫ります。ぜひ御覧ください。

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 今回、第4回の配信にあわせて、岩上安身による田崎基氏インタビューの第1回から第3回を、公共性を鑑み、2週間フルオープンにします。ぜひ、多くの方に見ていただき、また皆さまにSNSなどで拡散していただければと思います。

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