2022年8月10日、午後10時10分頃より、東京・千代田区の文部科学省庁舎にて、永岡桂子 新文部科学大臣の就任会見が開催された。
質疑応答において、各社記者のご祝儀質問が続く中、IWJ記者は旧統一教会問題について、以下のとおり厳しく切り込んだ。
IWJ記者「旧統一教会は、2009年に霊感商法で懲役刑を受けた『新世』事件以降、コンプライアンスを徹底して、それ以降のトラブルはないと主張していますが、全国霊感商法対策弁護士連絡会がまとめた資料では、2009年から2021年までの被害件数は3988件、被害額は約176億円にものぼります。
このような反社会的組織が、宗教法人格を得ており、しかも無税というのは、重税感や税の不公平感を感じている市民としても、許し難いものを感じます。
このような不当利益を上げる組織に対し、まずは文科省が厳しい対応を示すべきであると考えます。
文科省は、旧統一教会の宗教法人の法人格を剥奪するお考えはありませんでしょうか。また、もしくは解散命令をだすことはできないのでしょうか。ご教示ください」。
IWJ記者の質問時には、他社の記者らの速記のタッチ音がぱったりと消えるのが常である。これは、IWJの質問と回答も、記事にすることはないので、タイピングすらしない、という、記者クラブのメンバー達の暗黙の統一行動なのだが、この質問の際には逆に、そのタッチ音がにわかに倍増した感があり、IWJの質問のインパクトの大きさを感じ取ることができた。
この質問に対して、永岡新大臣は次のように答えた。
永岡大臣「なかなか、あの、激しいご質問、ありがとうございます。宗教法人法というのは、信教の自由ということで、政教分離の原則を基本と致しまして、宗教団体へ法人格を与えております。
これはあの、憲法でも保障される信教の自由ということでございます。宗教法人が自由で自主的な活動をするための基礎を確保することを目的とする法律でございまして、宗教法人の規制であるとか、また、取り締まりを目的とした法律ではないんですよね。
今日は、先ほど、岸田総理が、会見をしていらっしゃいました。その中でですね、今お話し申し上げましたように、宗教、これは、信教の自由を守るのが、憲法に守られている、というお話がございました。
そして、その、宗教法人もですね、社会の一員として、関係法令を守らなければならない、と、そういうようにもお話をしていらっしゃいました。それに続きまして、悪徳商法のような不法行為は、被害者の救済をしなければいけないというふうにおっしゃっておりました。
それを考えますと、やはり、信教の自由を守るということで、やはり、あの、この宗教法人法というものには手を付けずに、周りで何か社会的な問題が起こった団体に対しての被害の救済、これをすることがよかろう、というお話でしたので、今のところ、宗教法人法を変えるということは考えてはいない、ということでございます」。
永岡新文科大臣の回答は、真実が今ひとつわからないものであった。
統一教会に宗教法人格を与え続けることの是非を聞いているのに、いつの間にか、「宗教法人法を変えるか否か」という話にすり替わっている。
その場での重ねての質問(さら問い)は、禁じられているので、会見の場で問いただしてゆくことができないのは、はなはだもどかしい限りであるが、回答の「ニュアンス」をあえて汲み取ってみると、法人格(法人法)をいじることはせず、被害が出た人の救済はする、というように聞こえる。
このあたりは、また、次の機会にでも、大臣に問い直して行きたいと思う。
永岡新文科大臣の冒頭あいさつ、および質疑応答の詳細については、全編動画をご確認ください。