【岩上安身のツイ録】「米国が石油備蓄を放出 日本も協調し備蓄を放出へ」という重大ニュースを岩上安身が解説! 2021.11.24

記事公開日:2021.11.24 テキスト
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(岩上安身)

 11月23日夜遅くに重大なニュースが入ってきた。原油価格高騰を受けて、米国政府が国内石油備蓄を放出する決定を下したという。日本などの石油備蓄国にも、協調を求めるとの報道もある。しかしながら、石油産油国が対抗して減産体制をとるのでは、との憶測も生まれ、原油価格の動きは混沌としてくることが予想される。

 岩上安身はこのニュースを受けて、夜の10時過ぎから12連投ものツイートを行った。

 「速報。米国が産油国の石油減産による原油高に対抗するため、石油備蓄の放出を決定。同盟国にも協調を求めていたため、間髪置かず、日本政府も石油の国家備蓄放出を決定。史上初のこと。しかし産油国によるOPECプラスは、備蓄石油放出の場合、さらなる減産を予告しており、焼け石に水となる可能性も」

 「米国内ではさでにインフレ基調。産油国対輸入国の対立が深まり、原油価格がさらに高まれば、インフレ懸念も高まる。70年代のオイルショックの際の急激なインフレを、当時の福田赳夫総理は『狂乱物価』と命名した。あの再来は、高度成長期でもなく、高齢化が進んだ日本社会に耐え難い痛みをもたらす」

 「米国は、協調に応じる同盟国だけでなく、石油輸入国である中国に対しても石油備蓄放出の協調を求めるというが、現在の米中対立を脇において、本当に米中の協調ができるかどうか。米中のデタント(緊張緩和)が実現して、産油国との間にも妥協が成立し、急速なインフレを回避できれば万事よし、だが」

 「そう簡単には問題は解決しそうもない。日本国内でも、すでにガソリンの高騰は続いており、リッター200円突破という史上最高値更新の可能性さえ取り沙汰されている。米中の協調が必要、なのに、このタイミングで、元防衛相の中谷元首相補佐官は、中国を念頭に人権侵害制裁法導入を求めている」

 「人権侵害は許すべきではない、というのは『正論』であるとしても、タイミングが悪過ぎる。拳は一度振り上げたら、そう簡単に振り下ろせなくなる。自分の頭で外交をやらないで、対米追従だけしているから、政策の優先順位や整合性がおかしくなる」

 「もともと、脱炭素の世界的潮流の中で、石油増産の設備更新の投資が鈍っていた。設備投資が細れば生産力も落ちる。そこにコロナ禍で、世界的に急激に石油需要が鈍った。コロナが一段落したとみられたところで、各国で人々の行動制約が緩められ、急激に石油需要が回復したが産油国は減産体制を変更せず」

 「あらゆる要素が絡んで、この急速な原油高が起きている。ときほぐすのは容易ではない。日本は世界でも最も負の影響を受ける。まず、先にも挙げたように高齢化しているので、年金生活者はインフレの直撃を受ける。現役世代も、高度成長期ではないので賃金が物価につれて上昇するとは考えにくい」

 「その上、最悪なことに、安倍政権のアホノミクス以来、行われてきた円安誘導が、石油の購買力を奪い、マイナスに出る。円高は今、さらに進みつつある。日本では他国以上に、石油の価格が高騰する可能性がある。しかも、国内の石油元売り会社が寡占化され、価格競争のメカニズムが昔のようには働かない」

 「この石油価格の高騰は、世界的な脱炭素への方向性をさらに強めるだろう。しかし、EV自動車の開発などは、日本は周回遅れになってしまっている。その点でも日本は痛い。どこかに石油増産余力のある国はないかと考えるとイランが真っ先に思いつく。米国とイスラエル主導で経済制裁にあっているからだ」

 「日本も米国の圧力でイランとの取り引きが細っているが、米国から睨まれても、この経済制裁網から抜け出してイランからの原油の輸入を増やせばいいのではないか。ところがそんなにうまくはいかない。中国がイランとの間で石油の大量の輸入を契約しているからだ。米国の圧力をはねのけられる国の強みだ」

 「そうなると、考えられるのは、ガソリンにかかっている重税の減税である。これは、国内の消費者への打撃を軽減する上で、もっとも手っ取り早い。必ず、ガソリン税の軽減の要求が出てくるだろう。しかし、そうなると歳入が不足するので政府は間違いなく消費税率の再々度の引き上げを画策するだろう」

 「巡り巡って、この原油高のしわ寄せは、弱い庶民に押しつけられる可能性が高い。頭を抱えたくなる。こんな時に、庶民の側に立った政策を打ち出せる野党が本当に欲しい。今、立憲民主党の代表選が行われているが、候補4人の中に現在の政府与党の政策に代わる代替案を用意できる者はいるのだろうか」

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