2021年3月18日、茨城県水戸市、水戸地方裁判所で、原発から半径30キロ圏内の住民らが、日本原子力発電株式会社が運営する東海第二原子力発電所の運転差し止めを求める民事訴訟の判決があった。
水戸地裁の前田英子裁判長は判決で、原子力発電所の周辺住民は、原子炉運転中の事故により放射性物質が周辺環境に放出され、被ばくにより生命、身体を害される具体的危険が存在する場合には、人格権による妨害予防請求権にもとづき、当該原子炉の運転の差し止めを求めることができる、とした。
その上で、発電用原子炉施設は、大規模地震、大津波、火山の噴火等の自然現象による原子力災害を想定した上で、実現可能な避難計画が策定され、実行できる防災体制が整っていなければならないとした。
前田裁判長は、避難計画の現状について、15万以上の避難対象人口を抱える日立市及びひたちなか市や人口27万人余を抱える水戸市は、いずれも原子力災害広域避難計画の策定に至っておらず、また、原子力災害対策指針の定める避難計画及びこれを実行し得る体制が整えられているというには程遠い状態であり、原告住民らの人格権侵害の具体的危険があるとして、東海第二原子力発電所の運転差し止めを命じた。