東京都知事選が終わって10日後にあたる7月15日、新宿区の飯田橋セントラルプラザで、比例代表制推進フォーラム主催のシンポジウム「スライドで見るスウェーデンの自由で楽しい選挙の模様」が行われた。
冒頭、登壇者の比例代表制推進フォーラム代表世話役人・変えよう選挙制度の会代表・田中久雄氏は、スウェーデンの選挙について次のように語った。
「スウェーデンの選挙制度の変遷ということですが、比例代表になったのが1909年という世界的にも早い時期に、男子の普通選挙と同じ年に、スウェーデンで導入されたと。だいたい北欧は、同じような時期に、比例代表というのが導入されております。
それともう一つ特徴的なのは、最近になってからですが、1970年に、2院制から1院制になりました。この辺が特徴的です。北欧は、全部5カ国とも、同じように比例代表で1院制というシステムになっております。
スウェーデンの選挙制度ですが、比例代表でだいたい、県単位に選挙区が分かれているということです。それから、調整議席というのがあり、21の県単位の比例で議席配分するわけですが、選挙区が21ですので、かなり細かく分かれているので、得票数が少ない政党は、そこで比例の議席を取れないという可能性も出てくるわけです。
そういう事をある程度防止する為にも、小さな政党にもできるだけ手厚く、議席配分をしようということで、もう一度全国ペースで一括して、配分をしなおし、県単位で議席が取れなかった政党にも、全国ベースである程度の得票数があれば議席配分を受けられるということで、調整議席というのを置いております。
で、スウェーデンの場合ですと20ちょいぐらいか、30ぐらいですかね、調整議席がありますけど、この制度は北欧全部同じようなシステムになっております。
それからもう一つ特徴的なのは、スウェーデンの場合は、政党しか、選挙に算入できないということです。ですから無所属で、個人で立候補はできないというシステムです。
これは北欧では、デンマークやノルウェーなんかは個人でもできるようなシステムになっており、同じ北欧の中でもスウェーデンの場合はかなり厳しいというか、政党でなければ、選挙に参入できないということです。
ただ一方、政党を作ることが、非常に簡単になっている、ということです。国政の場合はかなりハードルが高いが、最低1500人の署名が必要なんです。ただ、都道府県の場合には100人とか、あるいは市町村の場合には50人の署名を集めれば、政党は起こせるということです。
申し遅れましたけども、スウェーデンの場合は、全国ベースでも、都道府県ベースでも、市町村ベースでも、全て比例代表でやっております。ですから、供託金がないわけで、署名があれば、すぐ政党を起こして、政党ができれば国政選挙であろうが、参入できるということです。ちなみに、2年前に行われた国政選挙で32の政党が、候補者を送り込んでます」
また、田中氏は、スウェーデンの政治の特徴を
・高い民主主義の成熟度
・対話と調整のコンセンサス政治
・高い政治の透明性と政治への信頼感
・議員と一般市民との距離感が少ない
・多様性と平等性の尊重
・子供世代からの主権教育・民主主義教育の徹底
・投票率向上へのあくなき努力
だと述べた。