熊本県南部で死者20人、観測史上最大雨量を更新する豪雨! 球磨川の氾濫で浸水被害の推定水深9メートル! さらに今後8日まで西日本から東日本にかけて豪雨の予報! 2020.7.5

記事公開日:2020.7.5 テキスト
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(IWJ編集部)

 停滞する梅雨前線の影響で、7月4日の明け方から朝にかけて九州で猛烈な雨が降ったことを受け、気象庁は同日午前4時50分、熊本県と鹿児島県(奄美を除く)の自治体に大雨特別警報を発表した。警戒レベルは5段階の中で最も危険度の高いレベル5とされた。

 この大雨により、熊本県内を流れる球磨川が氾濫。国土交通省によると、人吉(ひとよし)市で決壊したほか、八代(やつしろ)市、芦北(あしきた)町、球磨(くま)村、人吉市、相良(さがら)村などで越水などにより家屋の浸水被害などが出ている。

 また、熊本県で23件、鹿児島県で4件の土砂災害が起きている。

 浸水した球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で入所者14人が心肺停止になったほか、洪水や土砂災害による被害は、NHKのまとめによると、5日午後現在、熊本県内では死者20人、心肺停止14人、行方不明14人となっている。

 今回の記録的な大雨は、梅雨前線や低気圧に向かって温かく湿った空気が流れ込むことで両県付近に雨雲が次々と線状に発生・発達する「線状降水帯」が形成されたことが原因と見られている。

 熊本県では球磨川流域を中心に、球磨郡山江(やまえ)村で453.0ミリ、球磨郡あさぎり町で463.5ミリ、球磨郡多良木(たらぎ)町412.0ミリ、球磨郡湯前(ゆのまえ)町で489.5ミリ、水俣市で474.5ミリ、人吉市で410.5ミリ、天草市428.0ミリと、以上の各地点で、24時間雨量が観測史上最大値を記録した。

▲7月4日の24時間降水量の日最大値(気象庁データ)

 しかし2018年の西日本豪雨、2019年の台風19号など、この数年、毎年のように豪雨被害が起き、「観測史上最高」「10年に一度」「数十年に一度」などの言葉が繰り返されている。

 国土地理院は、収集した画像や標高データなどをもとに浸水の深さを推計したところ、大きな被害を受けた熊本県の人吉市や球磨村などについて、最も深いところで8メートルから9メートルほどに達しているとみられることが分かった。

▲熊本県人吉市の浸水推定図(国土地理院データ)

 NHKが球磨村の住民から提供を受けた動画では、濁流が屋根の上まで押し寄せていることが分かる。

 気象庁の発表によると、西日本から東日本に停滞している梅雨前線は、6日にかけて次第に北上。大気の状態が非常に不安定になり、西日本から東日本は6日にかけて、局地的に雷をともなった非常に激しい雨が降り、8日ごろにかけて大雨が続く恐れがあると、警戒を呼びかけている。

 今後の雨の予想は、九州南部で6日12時までの24時間で250ミリ、7日12時までの48時間で300から400ミリとなっているほか、九州北部や四国地方でも7日12時までの48時間雨量が200から400ミリ、東海地方で48時間雨量が300から450ミリとなっているなど、被害が広範囲にわたる恐れがある。

 3日から4日にかけての大雨で、熊本、鹿児島両県で11市町村が計約9万2200世帯、計約20万3200人に避難指示を出した。

 西村経済再生担当大臣は4日の記者会見で、熊本県に対して、新型コロナウイルスの避難所での感染症対策として、ホテルや旅館などの確保に取り組んでほしいと伝えたと説明した。このほか、パーティションや段ボールベッド、それに非接触型の体温計などの物資を現地に送ることも明らかにしました。

 熊本県は4日朝、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。

 一方、紛争や災害、貧困などの支援活動を行っているNGO「ピースウィンズ・ジャパン」が運営する「空飛ぶ捜索医療団 “ARROWS”」が、7月4日、調査、 レスキュー活動、 医療支援、 避難所支援などのため、医師1名、看護師2名、レスキュー隊員11名、救助犬3頭からなる支援チーム熊本県に派遣した。

 IWJは2016年4月に起きた熊本・大分大震災の際に取材と支援を行った。ぜひ、あわせてご覧いただきたい。

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