日本維新の会・石原慎太郎代表に質問!(「IWJ通信」11月30日号 巻頭言より) 2012.11.30

記事公開日:2012.11.30 テキスト
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(岩上安身)

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 25日(日)、孫崎享さんをゲストに迎え、トークイベント「Deep Night4」を開催しました。東京都知事選への立候補を表明している前日弁連会長・宇都宮健児弁護士も飛び入りで参加。盛会となりました。ヤミ金では最大手だった山口組五菱会をはじめ、全国のヤミ金を片っ端から刑事告発し、警察組織を動かしてことごとく潰したという宇都宮弁護士。体を張って生きてきたその宇都宮弁護士が、孫崎さんの『戦後史の正体』を読んで、「この人は死を覚悟しているんじゃないか」と思ったといいます。

 トークでは、孫崎さんから驚くべき話が飛び出しました。石原慎太郎前東京都知事が尖閣諸島の購入を発表したのは、アメリカのヘリテージ財団というタカ派シンクタンクでした。そのヘリテージ財団のクリングナー上級研究員が「米国は日本の政治的変化を利用し同盟を進化させるべきである」という論文を発表したというのです。

 その論文はまず、「安倍が次の首相になるであろう」と指摘。そのうえで、高まりつつある日本の対中ナショナリズムを、日米同盟のさらなる強化のために利用すべし、という論調だというのです。この絶好の機会に、アメリカは軍事費負担を軽減するため、日本に防衛費支出を求めるなど、政治目的を達成すべきだ、と論じています。石原慎太郎氏に発言させ、尖閣問題で日中関係をこじらせて、アメリカは利益を得よう、と言っているのです。この論文はすでに日本の「しかるべき人」には渡っているといいます。この件については、26日(月)に、私がレギュラー出演している文化放送「夕やけ寺ちゃん活動中」で解説しました。

 27日(火)、政局は大きな動きを見せました。滋賀県の嘉田由紀子知事が「日本未来の党」の結成を発表。嘉田知事が代表に、飯田哲也氏が代表代行に就任しました。これをうけ、「国民の生活が第一」と新党「脱原発」が解党し、合流することを発表。また、「みどりの風」も緊急会見を開き、衆議院の3名が「日本未来の党」から立候補すると発表しました。脱原発を旗印に、これまで分散状態にあった第三極中道リベラルが結集したと言えます。

 翌、28日(水)、私がレギュラーで出演している東京MX「ニッポン・ダンディー」に出演した後、渦中の人となった飯田哲也氏を自宅までたずね、緊急独占インタビュー。新党結成の裏側を聞きました。飯田氏は私の質問に答えて、「日本未来の党」は、党名や政策について事前の根回しはほとんどなく、タカ派的な空気感が高揚していることへの警戒感と、脱原勢力が分散していることへの危機感から、自然発生的に結集した党だと強調しました。

 29日(木)は朝から大阪へ移動し、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教に、約9ヶ月ぶりのインタビュー。「政治とは関わりたくない」と日頃から公言している小出氏ですが、それでも今後の日本の行方を占う今回の衆院選について、あえておたずねしました。権力におもねることもなく、「脱原発」をつらぬいてきた小出氏の視座から、今の各政党の原発をめぐる政策がどのように映っているか、ぜひともお聞きしたいと思いました。

 小出氏は、各政党の原発政策をはっきりと批判。日本維新の会に対してはとりわけ厳しく、「私が政治を嫌いなのは、橋下氏のような人が政治家だからです」と酷評を口にしました。他方、設立されたばかりの日本未来の党に関しては、「原発をやめたいと願う人の受け皿となる政党の誕生を欲しており、その観点から、日本未来の党には期待したい」と、肯定的な評価を寄せていました。

 30日(金)は、自由報道協会主催・石原慎太郎「日本維新の会」代表記者会見に出席。「DeepNight4」で取り上げられたクリングナー上級研究員の論文について質問しました。「尖閣を購入する」という石原氏の発言が、日本の対中ナショナリズムを煽ろうとするアメリカに政治利用されたのではないか、という質問です。石原代表はこの論文の存在を知らないようで、困惑した様子を一瞬、見せましたが、「日本はアメリカの傭兵になる必要はまったくない」という答えが返ってきました。しかし、石原代表が意図しなくても、彼の発言後、日本の状況がアメリカの筋書き通りに進んでいることはまぎれもない事実。都知事選にしろ衆院選にしろ、日本の論点を考えるには、なによりもまず、アメリカの戦略的意図を見抜く必要があります。

 この日は、記者会見が終わった後、大急ぎで移動し、福島みずほ社民党党首にインタビュー。福島党首は、今回の選挙について、「第一に格差是正か格差拡大か、第二に脱原発か否か、第三に憲法を守るのか否か」の三点が焦点となると語り、元祖「脱原発派」との自負をにじませました。党首へのインタビューは、主要政党すべてに打診しています。衆院選公示日までに、出来るだけ多くの党首へのインタビューを行いたいと思います。

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