鮫川村で高濃度焼却炉建設に関する第一回住民説明会が開催 工事着工後の説明会に住民から疑問の声 2012.12.25

記事公開日:2012.12.25取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・花山/澤邉)

 2012年12月25日(火)、福島県東白川郡の鮫川村役場で「鮫川村焼却処分場に関する住民説明会」が開かれた。この焼却処分場は、原発事故で生じた放射性物質に汚染された農林業系副産物の焼却実証実験を行う施設として、同村内への建設が予定されている。

■全編動画
※動画データ変換時のトラブルにより、映像と音声がズレる箇所がございます。

  • 日時 2012年12月25日(火)
  • 場所 鮫川村役場(福島県東白川郡)

 日本原子力研究開発機構OBの中田氏から、放射能と除染に関する説明があった。放射線を低減させる普遍的な原則として、表土の削り取り、枝葉の除去、洗浄などにより「取り除くこと」、土やコンクリートで囲む、表土と下層の土の入替などにより「遮ること」、立入禁止などで「遠ざけること」の3つがあると説明し、除染はこれらを応用して実施すると話した。除染の長期的な目標は、追加被曝線量が年間1ミリシーベルトになることと話し、平成25年8月までに一般公衆の年間追加被曝線量を、平成23年8月と比較して、放射性物質の自然減を含めて約50%の減少および学校・公園など、子供の生活環境の優先的な除染で、子供の年間追加被曝線量を同じく約60%減少させると説明した。

 次いで、住宅除染の実施計画について村から説明があった。除染には相当期間を要するため、村民の協力が必要と話した上で、除染方法は「除染関係ガイドライン」に示す方法で実施し、除染の目標は平成26年に村内全域で0.23マイクロシーベルト毎時未満にすることと説明した。計画期間は平成23年11月から平成29年3月までとし、重点期間は平成24年度から2年で、線量が0.23マイクロシーベルト毎時以上の地区が除染実施区域と説明した。

 仮設焼却施設設置について、環境省廃棄物対策課より説明があった。焼却計画量は600トンで、平成25年1月中に焼却炉設置工事を終了し、試運転で安全を確認後、2月から26年9月までを焼却期間とするという。続いて、仮設焼却施設の安全処理対策について説明があった。農林業系副産物などが収集運搬中に飛散、流出、漏出するのを防止するため、副産物は容器に入れ、遮水シートで覆う対策を実施すること、また焼却後の排ガスは冷却し、放射性セシウムを微粒子の灰に移行させた後、排ガス処理装置で除去する。さらに焼却灰は、セメント固形化した上で、3年間の一時保管を行う予定で、その間に国が中間貯蔵施設・管理型処分場を確保し、速やかに運搬するとした上で、一時保管場所を最終処分場にはしないと説明した。

 質疑応答では、村民に事前説明がないまま工事着工したことに関する疑問の声が多く出たが、これに対して村長は、「事前に知らせなかったことは申し訳ないが、議会や各地区総会では了解を得た。この事業は、鮫川の重要産業である農業復活のために必要である。村の環境や健康を守るために実施する」と話した。また、「隣接市町村への説明は文書通達のみで、説明会は実施していないが、各市町村からの要請があれば実施する」と答えた。焼却処分場建設に反対の意見が多い中、賛成の意見として、農業を営む参加者から「高線量の廃棄物が大量に放置されることは心配であるから、早く安全に処分してほしい」との声が上がった。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です