自衛隊中東派遣「閣議決定」は「特措法に匹敵」と公明・山口代表!! 立法府無視を肯定する衝撃発言に一斉に批判!! 2020.2.2

記事公開日:2020.2.2 テキスト
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ編集部)

特集 中東|特集 中東有志連合構想|特集 集団的自衛権~自衛隊が米軍の「下請け」になる日
※この記事は2019年12月29日発行の日刊ガイドに加筆・修正したものです。

 2019年12月28日の日刊IWJガイドでご紹介した、自衛隊の中東派遣が27日に「閣議決定」された件について、公明党の山口那津男代表が同日、自衛隊の海外派遣は「これまで特別措置法を制定」「それに匹敵する閣議決定」と記者団に語った。

▲公明党・山口那津男代表(IWJ撮影)

 この発言に、すぐさまネット上で「つまりは内閣が国会の権能を侵害して立法行為をしたに等しいという意味」「ナチスでさえ手順を踏んだのに」と批判が起こった。戦史/紛争史研究家の山崎雅弘氏はそれを引くとともに、メディアの反応も批判した。

「これも論理的に思考すれば重大な権力暴走だとすぐ理解できるはずだが、メディアの反応は異様に弱い。形式的な言葉の羅列と詭弁を『説明』と錯覚する思考の陥穽に、多くの大手メディアは落ちている」

■山崎雅弘氏のツイート

 作家の室井佑月氏も「超えてはいけない一線を超えてしまった」、参議院議員の小西ひろゆき氏が「与党の力不足」など、さまざまな人が山口氏の発言を批判し始めている。

■室井佑月氏のツイート

■小西ひろゆき氏のツイート

目的が明らかにされなければ「緻密な計画」で「万全な運用」ありえない!言論機関としての中身のなさ、空虚さが歴然とあらわれている読売新聞の社説

 一方新聞各紙は、閣議決定そのものへの批判を社説などで行っている。

 逆に派遣を当然視する論調も見受けられる。読売新聞である。

 しかし、社説の題名にも記されている「緻密な計画」で「万全な運用」をとは、そもそも何を目的にしての行動なのか、それが明らかにされなければ、「緻密」も「万全」もありえない。すべて言葉遊びである。言論機関としての読売の中身のなさ、空虚さが歴然とあらわれている。

国会論議を経て「特別措置法」をつくって実施したこれまでの海外派遣の過程をすべて無視!自衛隊の中東派遣の目的も明らかではない!

 1991年のペルシャ湾への掃海艇派遣はじめ、イラク戦争の復興支援など、従来の海外派遣では、国会で論議し「特別措置法」をつくって実施された。今回その過程をすべて無視したのだから、批判が起こるのは当然である。

 しかも、過程だけでなく、繰り返すが、自衛隊の中東への派遣の目的が明らかではない。米国とイスラエルを中心に、イランへ武力行使を行うのか? それに日本はなし崩し的に追随しようとしているのか。その点を問うことなく、目的を明らかにしようとする努力を一切せずに盲従するのは問題がある。

本来尽くされるべき議論や説明、多くの理解を得ることなく決定された事実を是認する公明党・山口那津男代表の主張の矛盾

 山口氏の発言は以上の点だけでも十二分に問題ではあるが、看過できないのはそれだけではない。

 山口代表は27日に「閣議決定されました。この決定に至るまで公明党は歯止めの役割を果たした」と自慢げにツイートしている。

■山口氏のツイート

 山口氏は27日の発言で、「(目的とする)情報収集が、優先順位の高い外交努力と連動して効果」「1年間という期間を区切って」「結果を国会に報告するシビリアンコントロール」など、活動への歯止めを訴えていたとアピールした。にもかかわらず結局のところ「重要性と説明責任を尽くさせる」「国会での議論を通じ、国民に広く理解してもらう必要」などと自ら主張しておきながら、本来尽くされるべき議論や説明、多くの理解を得ることなく決定された事実を是認してしまっているのである。こんな矛盾はない。

 関連する岩上安身によるインタビューとして、ホルムズ海峡の契機的状況から、米国による対イラン戦争のために自衛隊派遣を行うのかという喫緊の問題、そして背景となるイスラエル、イラン、アメリカの複雑な関係について、放送大学名誉教授・高橋和夫氏と軍事ジャーナリスト・田岡俊次氏のお話を以下にご紹介する。ぜひご覧いただきたい。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です